08/05/2024

中立
マクドナルド
中立
最新の決算では、EPSが前四半期より上昇し、堅実な成長を示していおり、さらに、財務指標ではROICがWACCを上回り、継続的にプラスの経済価値を生んでいることを示しているが、バリュエーション面では割高感があります。
マクドナルド(MCD)配当利回りは2.4%!最新の決算分析を通じて注目の配当貴族の将来性に迫る!

red and white concrete building near palm trees during daytimeイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の配当銘柄であるマクドナルド(MCD:配当貴族・予想配当利回り2.41%・配当性向55%・1株当たり配当金1.67ドル)の最新の2024年度第2四半期決算と配当推移を詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。 
  • マクドナルドはフランチャイズモデルを通じて安定した収益を確保し、デジタル化や新メニュー投入で顧客満足度と成長を促進しています。 
  • 2024年第2四半期の決算では、EPSや売上高が前四半期を上回り、財務パフォーマンスも良好で、長期的な成長が期待されています。 
  • 配当は安定して成長しており、予想配当利回りは2.41%と魅力的ですが、EBITDA純有利子負債倍率が理想値を上回っているため、財務リスクには一定の注意が必要です。

マクドナルド(MCD)の概要


レーティング:中立

バリュエーション:フェアバリュー並み

リスクレベル:低リスク


セクター:レストラン

現在の株価:276ドル

時価総額:1994.1億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:298.94ドル

安全マージン:7.44%

過去5年間の配当成長率:7.60%

次回配当落ち日:2024年9月3日

次回配当支払い日:2024年9月17日

予想配当利回り:2.41%

過去5年間の売上高成長率:5.20%

過去10年間の売上高成長率:1.60%

マクドナルド(MCD:予想配当利回り2.41%・配当性向:55%・1株当たり配当金1.67ドル)は、世界最大のファストフードチェーンであり、世界中で3万店舗以上を展開しています。

ビジネスモデルはフランチャイズ形式を採用しており、全店舗の約93%がフランチャイズ運営となっており、売上高の約60%をフランチャイズロイヤリティとリース料から得ています。このモデルにより、資本投資を抑えつつ安定した収益を確保しています。

マクドナルドは迅速なサービスと一貫した品質を提供するための効率的なサプライチェーンを構築し、グローバルなブランド認知度を誇ります。

財務状況においては、安定したキャッシュフローを確保し、配当金の支払いを継続的に行っています。2023年の年間配当は約6ドルで、今後も増配が見込まれていることからも、配当収入を求めるインカム投資家に人気の銘柄となっています。

最近のビジネスのユニークな特徴としては、デジタル化の推進が挙げられます。モバイル注文やキオスクを通じた注文の普及により、効率化と顧客満足度の向上を図っています。さらに、新メニューの導入や既存メニューの改良により、顧客層の拡大を続けています。

最近の買収に関しては、テクノロジー企業の買収を通じて、AIやデータ解析を駆使したマーケティングや業務効率化に力を入れています。これにより、消費者のニーズに迅速に応える体制を整え、競争力を維持しています。

そして、同社は2024年7月29日に2024年第2四半期決算を発表しています。


マクドナルド(MCD)の最新の2024年度第2四半期決算に関して

マクドナルド(MCDは、2024630日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPSEPS without NRI)は2.97ドル(前四半期:2.7ドル)、希薄化後のEPSは2.8ドル(前四半期:2.66ドル)、また、1株当たり売上高も8.989ドル(前四半期:8.50ドル)と、いずれも前四半期比で上昇という着地となっています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は9.70%で、過去10年間の年平均成長率は8.70%となっており、中長期的に継続して成長を実現しており、さらに足元の成長は緩やかながら加速していることが分かります

さらに、市場のアナリストは、今後10年間の飲食業界の安定した成長を予測していることから、マクドナルドの株価パフォーマンスが長期的に良好な見通しであることを示しているように見えます。

※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値


マクドナルド(MCD)の財務パフォーマンスに関して

マクドナルド(MCDの財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社は過去5年間にわたって一貫した財務パフォーマンスを示しており、過去5年間のROICの中央値が17.55%で、過去5年間のWACCの中央値が4.93%であることから、継続してROICがWACCを上回り、ポジティブな経済価値を生み出していることが分かります。

※ROICがWACCを上回ると、企業が投資した資本に対してコスト以上の利益を生み出していることになります。これにより、企業は実際に価値を創出しており、株主にとって魅力的な投資先となります。企業がROICでWACCを上回ることで、持続的な成長や株主へのリターン向上が期待できます。

また、現在のROICは19.37%で、WACCは6.45%となっており、継続して力強い財務パフォーマンスを維持していることが分かります。

以上より、マクドナルドの資本配分は効果的であるように見受けられ、ROICとWACCの差からも、同社の投資が継続して資本コストを上回るリターンを生み出していることを示唆しています。


マクドナルド(MCD)の配当に関して

マクドナルド(MCD)は、過去数年間一貫した配当成長を示しており、5年間の平均成長率は7.60%、3年間の成長率は7.30%となっています。

さらに、同社は過去25年間以上連続して増配を実施しており、米国株配当貴族の一角を担っています。

また、現在の配当性向は55%となっており、これは同社が利益に対する配当支払いを効果的に管理していることを示しています。

加えて、予想配当利回りは2.41%となっており、同セクター内でも競争力のある水準となっています。

しかし、EBITDA純有利子負債倍率は3.78倍と、理想的な範囲である2.0倍を上回っています。

理想的には、当倍率が2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すことからも、現在の倍率は利益と比較して負債が中程度であることを示唆しています。

ただし、実際にはリスクが中程度の部類に入るが、特に飲食業界の標準を考慮すると、多少の注意が必要かもしれません。

以上より、マクドナルドの配当成長実績は堅実で魅力的だが、投資家は、同社が効果的に債務を返済し、長期的に配当支払いを維持できるよう、EBITDA純有利子負債倍率を注意深く監視すべきでしょう。

予想配当利回り:2.41%

配当性向:55%

配当カバレッジ・レシオ:1.75倍

過去5年間の配当成長率:7.60%

EBITDA純有利子負債倍率:3.78倍

※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

Dividend Yield:予想配当利回り

※Dividend Payout:配当性向

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マクドナルド(MCD)のバリュエーションに関して

マクドナルド(MCDの現在の株価は276.69ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である298.94ドルを下回っていることからも、割安であるように見えます。

また、過去12カ月間の実績ベースのPER(株価収益率)は24.21倍となっており、現在の株価が過去の収益に基づくと、公正に評価されていることを示しています。

一方で、過去12カ月間の実績ベースの株価売上高倍率は7.81倍で業界平均より高く、売上高に基づくと現在の株価が過大評価されている可能性を示唆しています。

加えて、過去12カ月間の実績ベースのEV/EBITDA倍率は18.54倍で、こちらも業界平均を上回っており、EBITDAに基づいた場合、同社の現在の株価が過大評価されている可能性を示唆しています。

さらに、株価フリー・キャッシュフロー倍率は28.12倍で、5年平均、10年平均を上回り、フリー・キャッシュフローに基づいた場合にも割高感があるように見えます。

そして、予想PERも23.2倍となっており、将来の収益に比べて、現在の株価が割高で取引されている可能性を示唆しています。

以上より、マクドナルドのバリュエーションは、弊社算出の一株当たり本質的価値以外の指標において、概ね割高であるように見えます。

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マクドナルド(MCD)のリスクとリターンに関して

マクドナルド(MCDのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まずマイナス面では、同社は過去3年間で合計28億ドルの新たな負債を発行しており、これは財務リスクを増大させる可能性があります。

さらに、過去5年間において、会社の総資産は売上高(5.2%)よりも速いペース(7.3%)で増加しており、資産活用において潜在的な非効率性を示唆しています。

加えて、過去3か月間の間に、同社インサイダーは合計5,594株の同社株式の売却を行った一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていません。

一方でプラス面では、同社のピオトロスキーのFスコアは7、ベニッシュのMスコアが-2.37であることから、財務状況が健全であり、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示しています。

また、営業利益率の拡大、高い予想配当利回り、そして強力なアルトマンのZスコアは、同社の今後の株価見通しをサポートする内容です。

総合的に見ると、負債やインサイダーによる同社株式の売却に関連するいくつかの警告信号があるものの、マクドナルドの強力な財務指標は、同社株への投資が比較的低いリスクを伴うことを示唆しています。


マクドナルド(MCD)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

マクドナルド(MCD)のインサイダー取引分析では、過去12ヶ月間、インサイダーによる同社株式の買い付けが確認されていない一方で、24件のインサイダーによる同社株式の売却が確認されています。

そのため、同社の取締役および経営陣の間で同社株式の売却が活発に行われている傾向が顕著であり、同社の役員や経営陣の間で同社の今後の見通しに関して弱気なセンチメントがある可能性を示唆しています。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.21%である点にはご留意ください。

一方、機関投資家の同社株式の保有比率は69.05%と高く、機関投資家が同社株式の大半を保有していることを示唆しています。

このことは、インサイダーによる売却活動が活発であるにもかかわらず、プロの機関投資家が同社の今後の株価見通しに対してポジティブな見通しを維持していることを示唆している可能性があります。

以上より、投資家は、マクドナルドの株式におけるインサイダー取引の動きを注意深く監視し、さらに、高い機関投資家保有比率が同社株式のボラティリティに与える影響を考慮した方がよいでしょう。


マクドナルド(MCD)の流動性に関して

マクドナルド(MCDの流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は9,401,139株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は4,163,824株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は60.07%となっており、取引活動の大部分がダークプールで行われていることを示しています。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。

全体として、マクドナルドは流動性が高く、一貫した取引活動が行われていることからも、流動性を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっているように見えます。

さらに、その他のマクドナルド(MCDに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、マクドナルドのページにアクセスしていただければと思います

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

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