中立マケッソンマッケソン / MCK / 中立:最新の2024年3Q決算・強み(競争優位性)分析と今後の株価見通し・将来性(McKesson)
- マッケソン(MCK)は医薬品と医療用製品を世界中に販売している。
- 同社は2024年2月7日に2024年度第3四半期決算を発表しており、トップラインの売上高は伸びているが、利益は減少している。
- 私の同社株価に対するは見通しは、当面は「中立」としている。
マッケソン(MCK)について
マッケソン(MCK)は2024年2月7日、2024年第3四半期決算を発表し、売上高とコンセンサス利益の両予想を上回った。
同社は、医薬品の流通と関連用品、モニタリング、レポーティング、その他の機能を提供している。
トップラインの売上高は成長を続けているが、営業利益と収益は低下傾向にあるため、同社に対する私の短期的見通しは「中立」としている。
マッケソン(MCK)の概要と市場
マッケソン(MCK)は1833年に設立された米国の大手ヘルスケア企業で、医薬品の流通、医療情報技術、医療用品、ケアマネジメントツールの提供を専門としている。
テキサス州アービングに本社を置き、北米の医薬品の大部分を供給し、78,000人以上の従業員を擁している。
その事業には、マッケソン・ファーマシューティカル・ディストリビューション、マッケソン・メディカル・サージカル、マッケソン・スペシャルティ・ソリューションズなどがある。
同社は活況を呈する市場で事業を展開しており、世界の医薬品業界は、個別化された医薬品に対する需要の高まりと慢性疾患の蔓延の増加により、2028年までに2兆2,000億ドルに達すると予測されている。
マケッソン(MCK)の最近の財務動向
四半期別総売上高(オレンジ色の列:Total Revenue)は、ここ数四半期で大幅に増加している一方で、四半期別営業利益(青色の線:Operating Income)は、ここ数四半期で一進一退となっている。
また、四半期別売上総利益(オレンジ色の列:Gross Profit)は最近の報告期間でばらつきがある一方で、四半期別販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses)はここ2四半期で再び上昇し始めていることが分かる。
希薄化後一株当たり利益(EPS)は最近の四半期で減少傾向にある。
(上記グラフのデータはすべて百万ドル単位・GAAPベース)
ただし、過去12ヶ月で、マケッソン(MCK)の株価は45.2%上昇している。
マッケソン(MCK)のバリュエーションとその他の指標
以下は、同社に関連するバリュエーションの表である。
指標 | 値 |
企業価値 / 売上高(予想) | 0.2 |
企業価値/EBITDA倍率(予想) | 13.9 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 0.2 |
売上高成長率(予想) | 8.5% |
純利益率 | 99.0% |
EBITDAマージン | 1.4% |
時価総額 | $68,730,000,000 |
企業価値 | $74,760,000,000 |
営業キャッシュフロー | $3,490,000,000 |
実績EPS(直近過去12カ月) | $22.10 |
予想EPS | $27.59 |
一株当たりフリー・キャッシュフロー(直近過去12か月) | $21.47 |
マッケソン(MCK)についての見通し
マッケソン(MCK)は2024年第3四半期に大幅な増収を達成したが、これは主に米国医薬品部門が牽引したもので、同部門は18%の増収となった。
この成長は、特に特殊製品、小売ナショナルアカウント、GLP-1薬の処方箋数の増加によってもたらされた。
また、Prescription Technology Solutions(処方技術ソリューション)部門も7%の増収と堅調な伸びを示し、特にGLP-1治療薬の事前承認サービスなどのアクセスソリューションに対する需要の高まりが要因となっている。
同社のバックログは引き続き勢いがあることを示しており、米国医薬品部門は通年で16%から18%の増収を見込んでいる。また、Prescription Technology Solutions部門も持続的な成長を見込んでおり、9%から13%の増収を見込んでいる。
これらの数字は、同社の市場における確固たる地位とサービスに対する需要の高まりを反映したものである。
同社の事前承認サービス、特にGLP-1製剤の事前承認サービスは、契約数の増加に大きな役割を果たした。また、同社は、主に米国医薬品部門とPrescription Technology Solutions部門における成長関連費用による営業費用の増加を指摘した。
加えて、経営陣は、販売網の拡大、自動化と技術の強化、がん領域とバイオ医薬品のサービス・プラットフォームの開発に引き続き投資している。
一方で、営業費用の増加にもかかわらず、同社は第3四半期に1,000億ドルのフリー・キャッシュフローを生み出した。しかし、同社のキャッシュフローは、Rite Aidの倒産とそれに伴う貸倒引当金の影響を受けている。
同社のバランスシートは依然として強固で、第3四半期末の現金および現金同等物は20億ドルであった。同社はローンポートフォリオを積極的に管理し、自社株買いや配当支払いなど、堅実な資本展開戦略をとっている。
今後の見通しとして、マッケソンは2024年度の調整後希薄化後1株当たり利益のガイダンスを27.25ドルから27.65ドルの範囲に引き上げており、これは、同社の継続的な成長と収益性に対する自信を反映したものである。
また、同社の海外事業部門のカナダ事業は引き続き好調に推移している。同社はカナダでのプレゼンス強化に取り組んでおり、カナダ全土の物流センターを近代化するための複数年にわたるイニシアチブを実行している。
一方で、同社は欧州市場からの撤退をほぼ完了し、現在でも事業を展開しているのはノルウェーだけである。
同社は最近、Nashville Oncology AssociatesとSCRI Oncology Partnersという2つの新しい腫瘍科診療所を買収し、米国の腫瘍科ネットワークをテネシー州に拡大した。
経営陣は、特殊医薬品やGLP-1薬の採用の増加、地域ベースの腫瘍科医療へのシフト、薬へのアクセスや購入のしやすさ、服薬アドヒアランス(遵守)を向上させるバイオファーマ・サービスへの需要の高まりなど、いくつかの重要なトレンドがあると見ている。
同社はまた、業務と顧客サービスを強化するため、人工知能(AI)の探求と投資にも積極的に取り組んでいる。
以上より、多くのポジティブな材料が確認されるものの、ここ数四半期の業績悪化が減益につながったことからも、マッケソン(MCK)に対する私の当面の見通しは「中立」としている。