強気マニュライフ・ファイナンシャルマニュライフ / MFC / 予想配当利回り5.8% / 強気:高配当保険株の株価分析と今後の見通し(前編)

- 伝説の投資家ウォーレン・バフェットは、保険関連ビジネスを「現金を生み出すマシーン」と呼んでいる。
- 保険会社は、経済の安定とリスク軽減に重要な役割を果たしている。
- 今回は、バーゲン価格で推移し、「5.8%の予想配当利回り」を提供する、カナダの大手保険会社、マニュライフ・ファイナンシャル(MFC)について話したい。
はじめに
「オマハの賢人」とも呼ばれるウォーレン・バフェットは、世界で最も有名な投資家の一人である。
バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)の会長兼CEOである彼は、その並外れたビジネスと投資における才覚、そして、何よりもある業界に対する特別な愛情で知られている。
バフェット氏は、保険会社を「現金を生み出すマシーン」と呼んでおり、長い間愛してきた。
バークシャーが保有する保険会社には、GEICO、バークシャー・ハサウェイ・プライマリー・グループ、バークシャー・ハサウェイ再保険グループがあり、これらの保険部門は、2022年度に756億ドル(バークシャーの総収入の4分の1)を生み出した。
バフェット氏が、保険業界の優良企業を賞賛し、彼のポートフォリオに蓄積している理由は、これらの保険ビジネスが、彼に対して、Free Money(自由に使える資金)を提供してくれるからである。
保険会社は、サービス(保険金の支払い)を提供する前に、前もって手数料(保険料)を徴収する。
保険会社は、「フロート」と呼ばれる多額の現金を保有しており、保険契約者の保険金請求の決済が必要になるまで、このフロートを活用することができる。
バフェット氏は、これを「私達が保有し、投資することはできるが、私達のものではないお金」と指摘している。
このユニークなゼロ・コストでのレバレッジ機能に加えて、保険事業は以下のような形で現代社会において重要な役割を果たしている。
- 経済の安定:保険業界は、手数料と引き換えに消費者からリスクを買い取るため、保険は経済安定の基本要素である。不測の事態や災害に直面した場合、保険金は、被災した個人や企業に経済的支援を提供し、彼らが回復して経済活動を継続できるよう支援する。このような安定性は、大災害による経済的影響や崩壊の可能性を軽減し、経済全体の回復に貢献している。
- 必要性の高い商品とサービス:生命保険や年金などの保険商品は、長期的な資金計画において重要な役割を果たす。 保険商品は、個人に対して、退職後の生活資金を貯蓄し、生涯を通じて経済的な豊かさを確保し、更に、相続人に財産を引き継ぐための手段を提供する。 保険会社は、財務上のリスクを軽減することにより、個人や企業にセーフティ・ネットを提供している。保険会社は、事故、自然災害、健康問題などの予期せぬ出来事から保護する保険を提供している。このリスク軽減は、安心感をもたらすだけでなく、個人や組織の財務的健全性を安定させるのにも役立っている。
更に、北米の大手保険会社は、株主への配当を惜しまない。
その為、投資家は、優良な保険会社への投資を通じて、個人や企業の日常生活における当保険事業のスティッキネスと重要性故に、優れたパッシブ・インカムを得ることができる。
ここでは、保険商品とサービスの世界的リーダーを調べてみたい。
マニュライフ・ファイナンシャル(MFC:年間予想配当利回り:5.8%)
130年前に設立されたマニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーション(MFC)は、3400万人以上の顧客にアドバイザリー・サービス、保険、資産運用ソリューションを提供するグローバルな金融サービス会社である。
マニュライフは、カナダに本社を置き、アジア、カナダ、欧州、米国の13カ国に拠点を展開している。
2022年度末現在、マニュライフは1兆3,000億カナダドルの運用・管理資産を有し、世界第38位のウェルス・マネジメント会社となっている。
金利が上昇する中、政府保証債は平均を上回る利回りを誇り、結果、マニュライフは、リスクを大幅に軽減しながら投資目標を達成することができている。
マニュライフの資産は、主に国債や公共債など、安全性の高い資産に分散投資されている。
ポートフォリオ債券の96%は投資適格債であり、71%はA格以上である。
(出典:投資家向けプレゼンテーション資料)
2022年度末現在、マニュライフの中核収益は米国、カナダ、アジアでバランスよく推移している。
中核収益ベースでは、アジアが最大のセグメントである一方で、同社の最大の運用資産残高(AUM)のシェアは、ジョン・ハンコック・インベストメンツとして営業する米国セグメントによるものである。
(出典:マニュライフによる提出書類を基に筆者作成)
マニュライフのアジア事業は雑草の如く成長しており、第2四半期の年間保険料相当額は26%増加した。
保険料相当額とは、生命保険事業における新契約価値の算定に用いられる業界指標である。
マニュライフの中核利益は16億ドル(前年同期比4%増)であり、保険部門と法人部門全体の成長を反映しており、カナダと香港のリタイヤメント・ビジネスで第1位、米国のミッドケース・リタイヤメント市場で第2位等、主要市場で好調な販売ランキングを維持している。
また、汎アジアの生命保険会社でもトップ3に入っている。
マニュライフの自己資本は引き続き強固であり、強固な財務安定性と不況を乗り切る能力を示している。
生命保険自己資本比率テスト(LICAT)とは、生命保険会社の財務の安定性を測定する方法である。
これは、会社の資産(投資や資金など)に注目し、それらを債務(将来支払う必要のある保険契約など)と比較するものである。
LICATレシオが高いということは、会社が契約者との約束をカバーするだけの資金を持ち、財務的に健全であることを意味し、一方、レシオが低いということは、財務リスクを示している可能性がある。
マニュライフの第2四半期末のLICATレシオは136%、レバレッジ・レシオは25.8%であり、加えて、当四半期中に前年同期比5%の簿価上昇を達成した。
そして、マニュライフのバランスシートは、大手格付機関から投資適格の格付けを取得している。
更に、マニュライフは、卓越した事業運営と成長性に加え、株主重視の姿勢を一貫している。
実際に、2022年以降、マニュライフは、自社株買いと配当を通じて、66億ドル以上の資本を株主に還元してきた。
また、2023年6月時点で、同社は、更に3,000万株の自社株を買戻すことが可能である。
(出典:投資家向けプレゼンテーション資料)
投資家にとって最大の魅力の一つは、マニュライフの手厚い配当金であり、2014年以降、毎年配当金を増加している。
(出典:筆者による計算)
同社の現在の四半期配当は、1株当たり0.365ドルであり、年換算利回りは5.8%となる。
マニュライフの配当は、2023年度のコアEPSガイダンスに基づくと45%の配当性向であり、更に、同社は新興市場へのエクスポージャーも有しているため、当面の間、株主への手厚い還元を続けることができると見ている。
マニュライフは、継続して成長しつつも、健全なファンダメンタルズを維持する当社の保険事業故に、投資家に対して、堅実な高配当銘柄への投資機会を魅力的な価格で提供している。
更に、2024年3月に再増配が期待できることからも、今こそ、投資家は、この5.8%の利回りを獲得し、パッシブ・インカムを増やす時である。
※続きは「アメリカン・ファイナンシャル / AFG / 予想配当利回り4% / 強気:高配当保険株の株価分析と今後の見通し(後編)」をご覧ください。