やや強気マネーライオンマネーライオン(ML)目標株価は125ドル!最新の2024年第2四半期決算は予想上回り業績好調も株価は軟調!

- 本稿では、注目の米国フィンテック企業であるマネーライオン(ML)の最新の2024年第2四半期決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- CFPBによる給与前払い商品のニュースで同社の株価が下落しましたが、その影響は限定的な可能性があると見ています。
- Instacashはマネーライオンの収益の一部に過ぎず、年平均成長率(CAGR)20%と効率的な資本運用が期待されます。
- 現在の来年の予想EBITDAの6倍というバリュエーションは割安で魅力的であり、株価予想として、2025年夏までの目標株価を125ドルとしています。
- CFPBの件に関しましては、私の前回のレポートをご覧ください。
マネーライオン(ML)の2024年第2四半期決算に関して
マネーライオン(ML)は、2024年8月6日に2024年第2四半期決算を発表しており、予想以上の業績を報告しました。さらに、2024年のガイダンスによると、同社はこれまで期待されていた年平均成長率(CAGR)20%ではなく、約25%のペースで成長していることが示唆されています。
しかしながら、同社の収益性にはまだ課題が残っています。2024年第1四半期には非常に高い収益性を示したものの、残りの2024年については、それほど明るい見通しではありません。これは当然のことで、同社はまだ成長段階にあり、現時点で収益性の最大化を目指しているわけではありません。
市場がこのビジネスに対して懸念を抱く理由は理解できますが、来年の予想EBITDAの6倍という現在の割安なバリュエーションは、これらの多くの不安要素を許容できる水準であると考えています。特に、非常に強い顧客獲得の実績を考慮すれば、このバリュエーションは妥当と言えるでしょう。
マネーライオン(ML)の短期的な見通し
マネーライオン(ML)は、テクノロジーを駆使して消費者に手軽でコストパフォーマンスの良い金融ソリューションを提供する金融サービス企業です。クレジットカードやローンなど、さまざまな金融商品の取得プロセスを効率化することに力を入れています。
同社の大きな強みの一つは、他社が通常かかるコストのごく一部で新規顧客を獲得できる点です。この効率性により、彼らはサービスを非常に低価格で提供し、多くの人々に金融商品を手軽に利用できるようにしています。
また、同社は、ソーシャルメディアやユーザーデータを活用して、個々のニーズや好みに応じた金融商品やサービスを提供しています。ソーシャルメディアプラットフォームが個人情報を活用してコンテンツや広告を提供するのと同様に、同社も金融データを利用して適切な金融商品を提案しています。
ここで、さらにお伝えしたいことがあります。投資は非常に難しい分野です。情報が多すぎて、混乱しやすいこともあるでしょう。私の投資哲学では、そんな雑音を2つの重要な指標に絞り込んで、各企業を分析しています。その点を踏まえて、次の図をご覧ください。
2024年第2四半期時点での総顧客数は1,700万人、前年比で73%の成長
(出典:2024年度第2四半期決算資料)
ここで注目すべき点は、顧客が同社のプラットフォームに非常に強く共感しているということです。この観点から、現在の株価水準に過度にこだわるのではなく、顧客数の増加を投資の中心に据えることが大事であると考えています。
(出典:YCharts)
ちなみに、上記のチャートは、ウーバー・テクノロジーズ(UBER)、ネットフリックス(NFLX)、スポティファイ・テクノロジ-(SPOT)といった、同社とは全く関連のない3つのビジネスです。しかし、これらのビジネスはいずれも、時折ネガティブな財務ニュースが出ることがあります。
それでもなお、消費者はこれらのプラットフォームを着実に利用し続けています。そして、時間が経つにつれて、株価はユーザーや加入者の増加に伴って上昇し続けています。
この状況を踏まえて、次に同社の財務パフォーマンスを見ていきましょう。
マネーライオン(ML)の売上高:25%の売上高成長率を予想
マネーライオン(ML)の売上高成長率
以前のマネーライオン(ML)に関するレポートにおいて、下記の通り、私は、同社が2024年後半において年平均成長率(CAGR)20%で成長すると述べました。
「それにもかかわらず、同社は、今後数四半期で約20%の成長を続ける可能性があると考えています。低金利は、個人ローン、信用構築ツール、モバイルバンキング、投資、給与前借りなどの金融商品を提供するこの種のフィンテック企業に非常に有利な環境と言えます。また、低金利は同社の借入コストを削減し、その結果、利益率を改善します。さらに、借入コストの低下によるローン需要の増加は、2025年の売上高を押し上げる可能性もあると見ています。加えて、2024年第2四半期から2025年初頭にかけて、同社の前年同期比での四半期比較の成長率はすべて30%未満になるため、比較対象としてのハードルも低くなります。このような背景を踏まえて、年平均成長率20%で成長する可能性のある同社について、そのバリュエーションについて議論していきましょう。」
さて、経営陣が投資家向けに最新情報を提供した結果、2024年通年のガイダンスが示され、レンジの上限では前年比約26%の年平均成長率を示しており、私の予測を大幅に上回っています。
とはいえ、私は常に慎重な姿勢をとるようにしており、20%という予測が悲観的な見通して、実際には同社が20%を少し上回る成長を遂げるのではないかと予想しています。
この状況を踏まえて、次に同社のバリュエーションについて見ていきましょう。
マネーライオン(ML)のバリュエーション:来年の予想EBITDAの6倍
マネーライオン(ML)は、さらなる市場シェアの拡大と売上高の成長を目指しています。しかし、売上高を成長させるためには、短期的な収益性を犠牲にする必要があります。その一例として、2024年第1四半期のEBITDAは2,400万ドルでしたが、第2四半期には1,900万ドルに減少しました。そして、2024年第3四半期のガイダンスでは約2,000万ドルが見込まれています。
これは、同社の収益性が安定していないことを意味します。投資家が嫌うのはこのような不安定さであり、将来の収益性を評価することが難しくなるからです。
(出典:2024年度第2四半期決算資料)
さらに問題を複雑にしているのは、同社のフリー・キャッシュフローがまだ弱い点です。具体的には、2024年上半期のEBITDAが4200万ドルであったにもかかわらず、フリー・キャッシュフローはわずか400万ドルにとどまりました。ただし、これは事業が拡大するにつれて改善される見込みです。しかし、現時点では、まだ成長過程にある企業であり、規模拡大を目指して努力している段階です。
2025年に同社のEBITDAマージンが17%に達すれば、1億1000万ドルから1億2000万ドルのEBITDAを達成する可能性が高いと考えています。これにより、現在の株価は2025年度の予想EBITDAの6倍という非常に魅力的なバリュエーション水準になります。収益性の不安定さを考慮しても、このバリュエーションは非常に魅力的です。
さらに、同社は約3000万ドルのネットキャッシュを保有しており、これは時価総額の約5%に相当します。
マネーライオン(ML)に対する結論
結論として、マネーライオン(ML)の顧客獲得率の高さと強力な成長軌道を踏まえると、来年の予想EBITDAの6倍という現在のバリュエーションは魅力的だと見ています。
市場が同社の不安定な収益性や控えめなフリー・キャッシュフローに対して懸念を抱いている一方で、同社の成長戦略と新規顧客を効率的に獲得する能力は、その潜在力を示す強力な指標となっています。
予想される年平均成長率が25%で、2025年にはEBITDAマージンが17%に達する見込みがある中、マネーライオンは大きなリターンを提供する準備が整っているように見えます。この力強い成長と健全なネットキャッシュポジションを考慮して、マネーライオンに対する目標株価である125ドルを維持したいと思います。
※ネットキャッシュ:企業が保有する現金や現金等価物から、負債を差し引いた後に残る資金のこと。簡単に言うと、企業が負債を全て返済した後に手元に残るお金のこと。これは、企業の財務の健全性を評価する指標の一つ。
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