やや強気グローバルX MLP ETFすべて表示【高配当】グローバルX MLP ETF(MLPA)の将来性:配当利回りは7%で配当金は0.91ドルと高配当が魅力的!
ヴェンカット・ ラガーヴァン- 本稿では、注目の米国高配当ETFであるグローバルX MLP ETF(MLPA:予想配当利回り7%・配当金0.91ドル)の詳細な分析を通じて、同MLPの魅力と将来性を詳しく解説していきます。
- エネルギー業界のミッドストリーム事業は、豊富な資産と高い配当利回りが魅力のセクターで、コストの高さや規制による厳しい参入障壁があることから、ミッドストリーム企業は安定した競争優位性を誇ります。
- ミッドストリーム事業では、M&Aが急増しており、主要企業がコスト削減や地域拡大を図る中、2024年第1四半期だけで合計572億ドルに上る取引が行われています。
- ただし、海外投資家にとってはミッドストリーム事業への投資は複雑になる場合がありますが、MLPに投資をしているETFを活用することでこれをシンプルかつ効率的に投資をすることが出来ます。
はじめに:増加する中流のM&A
エネルギー業界のミッドストリーム事業では、統合の動きが加速しており、ここ数四半期でM&A(合併・買収)が大幅に増加しています。
ミッドストリーム事業とは、エネルギー資源(主に石油や天然ガス)の輸送、貯蔵、処理、および流通を担当する分野のことを指します。
これは、エネルギーの供給チェーンにおける「上流(原油や天然ガスの採掘)」と「下流(精製や最終製品の販売)」の間に位置する重要な中間段階です。
そして、一部のミッドストリーム企業はコスト削減を目指す一方、他の企業は、米国最大のシェールオイル生産地であるパーミアン盆地や、米国湾岸の輸出施設など、魅力的な石油・ガス産出地域へのアクセス拡大を図っています。
実際に、北米の石油・ガス業界では、2024年第1四半期に発表されたM&Aの件数は99件、総額は572億ドルに達しました(GlobalDataのデータより)。
中でも注目されたのは、ダイヤモンドバック・エナジー(FANG)によるEndeavor Energy Resourcesの260億ドル規模の買収です。
しかし、これをさらに上回る規模となったのが、EQT Corporation(EQT)によるエクイトランス・ミッドストリーム(ETRN)の350億ドルでの買収発表でした。
今年、エネルギー・公益事業分野では100億ドル超の大型M&Aが3件発表され、金融セクターと並び最多となっています。
これに先立ち、エクソンモービル(XOM)がパイオニア・ナチュラル・リソーシズ(PXD)を600億ドルで買収した歴史的な取引や、シェブロン(CVX)によるヘス(HES)の530億ドル規模の買収も注目を集めました。
さらに、ミッドストリーム大手のエナジー・トランスファー(ET)は、パーミアン盆地での事業拡大の一環として、WTGミッドストリームを32.5億ドルで買収すると発表しています。
堅調な事業基盤
ミッドストリーム企業は現在、成長資金を自己調達しながら、株式の買い戻しや株主への配当増加を進める一方で、負債の削減にも成功しています。
規制上のハードルや高額な参入コストによる障壁のため、エネルギーインフラ企業の数は限られており、それぞれがほぼ独占的な市場を持つ状況です。
さらに、新規プロジェクトは稼働前に契約が完了していることが多く、稼働開始と同時に収益への貢献が期待できる構造となっています。
特にミッドストリーム企業の強みは手数料ベースの契約形態であり、これにより商品価格の変動リスクを受けずに安定した収益を確保できる点です。
現在、このセクターはすべての経費や配当を支払った後もフリーキャッシュフロー(FCF)を生み出しており、積極的な買収を行う余力を持っています。
また、成長投資(Capex)は2019年以降、420億ドルから290億ドルへと30%削減される一方で、配当後のFCFは着実に増加しています。
さらに、レバレッジ比率も平均で調整後EBITDAの4倍以下に抑えられており、セクター全体の財務基盤は非常に健全な状態を維持しています。
MLPは海外投資家にとってハードルが高い?
MLP(マスターリミテッドパートナーシップ:Master Limited Partnership)とは、主にエネルギー分野で用いられる企業形態の一つで、上場しているリミテッドパートナーシップ(有限責任事業体)です。
投資家は株式のようにMLPの「ユニット」を取引所で購入でき、特にミッドストリーム事業(パイプラインや貯蔵施設など)を中心に事業を展開する企業に多く見られます。
そして、ミッドストリームMLPは、パーミアン盆地やバッケンといった石油資源が豊富な地域や、アメリカの主要な輸出拠点など、戦略的な場所に広がるエネルギーのパイプライン、貯蔵施設、加工・流通インフラへの魅力的な投資機会を提供します。
MLPは税制上、パススルー事業体とみなされるため、パートナーシップ契約では一定額の現金を分配する義務があり、MLPのユニット(株式)保有者に安定した収入をもたらしています。
また、MLPは大きな減価償却費を計上しており、分配金の多くがROC(元本払い戻し)として扱われるため、収益への課税が繰り延べられるという大きなメリットもあります。
そして、私のモデルポートフォリオには、エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)やウエスタン・ミッドストリーム・パートナーズ(WES)などのMLPが含まれています。
しかし、収益の繰延税制という利点がある一方で、多くの投資家、特に国内外問わず多くの人が、税務書類のSchedule K-1とその複雑さを敬遠する傾向があります。
さらに、海外投資家にとって最大の課題は、最高税率で課される源泉徴収税です。
この税負担により実質的な利回りが低下し、多くの投資家がこの資産クラスを敬遠する一因となっています。
グローバルX MLP ETF(MLPA):予想配当利回り7%・配当金0.91ドル
グローバルX MLP ETF(MLPA)は2012年に設定されたETFで、経費率は同種のETFの中で最も低い0.45%を誇ります。
このETFは20銘柄のMLPを保有しており、その上位5銘柄はアレリアンMLP ETF(AMLP)と共通しています。
上位10銘柄(%) :保有銘柄は変更される場合があります
(出所:Global X ETFsのHP)
グローバルX MLP ETFはアレリアンMLP ETFよりもエネルギーパイプライン事業への比重が高い一方で、Cross America Partners LP(CAPL)、スター・グループ(SGU)、Suburban Propane(SPH)といった、ミッドストリーム以外のガスや卸売分野の企業にも投資しています。
これにより、エネルギー供給や流通全体への分散投資を通じて、さらなる成長機会を狙う戦略が取られています。
業種別内訳(%)
(出所:Global X ETFsのHP)
直近12カ月(TTM)の配当は1株あたり3.58ドルで、年率換算すると7%の利回りに相当します。
特筆すべき点として、グローバルX MLP ETFの配当金はすべてROC(元本払い戻し)として支払われています。
グローバルX MLP ETFの配当実績
配当支払日 | 配当金 |
2024年11月7日 | $0.91 |
2024年8月7日 | $0.90 |
2024年5月7日 | $0.90 |
2024年2月7日 | $0.87 |
エネルギーセクター、特にミッドストリーム事業はパンデミック後の回復が顕著で、グローバルX MLP ETFはS&P 500を大幅に上回るパフォーマンスを示しています(ROCによる配当を含めても)。
(出所:YCharts)
厳しい規制環境や、運営者が持つ強固な参入障壁、長期的な手数料ベース契約が整っている点を考慮すると、グローバルX MLP ETFの優れたパフォーマンスは今後数年間にわたって継続すると見込まれます。
グローバルX MLP ETF(MLPA)に対する結論
MLPは、優良銘柄を課税口座で直接保有することで、事業拡大に伴う分配金の成長を享受しやすく、最適なリターンを期待できる投資先です。
ただし、個々の投資家の状況によっては、MLPが必ずしも最適な選択肢とはならない場合もあります。
そこで、グローバルX MLP ETF(MLPA)のようなETFを利用することで、MLPへの投資機会を提供しながら、税務手続きの負担を軽減し、同等の利回りを得られる方法をご提案しました。
また、その他の米国高配当銘柄に関するレポートに関心がございましたら、併せて下記のレポートもご覧いただければと思います。
直近では、予想配当利回り5%のAT&T(T)、予想配当利回り8.93%の米国高配当BDCであるアレス・キャピタル(ARCC)や予想配当利回り6.9%の米国高配当MLPであるエンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)、予想配当利回り7.1%の米国高配当REITであるヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)、予想配当利回り5.6%の米国高配当REITであるリアルティ・インカム(O)に関するレポートも執筆しております。
AT&T(T)
アレス・キャピタル(ARCC)
エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ(EPD)
ヘルスケア・リアルティ・トラスト(HR)
リアルティ・インカム(O)
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