04/26/2025

スリーエム(MMM)配当推移と将来性分析:予想配当利回り2.13%・配当性向38%・配当金0.73ドル

white brassiere on white tableイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場高配当株であるスリーエム(MMM:予想配当利回り2.13%・配当性向38%・1株当たり配当金0.73ドル)の2025年4月22日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • スリーエムは売上や配当成長率が減少傾向にあるものの、研究開発力を強みに安定した配当支払いを継続しており、現在の配当性向は38%と控えめです。
  • 2025年第1四半期決算では、特別項目を除くEPSが前年同期比で減少した一方、前四半期比では改善し、ROICもWACCを上回る水準を維持しており、資本効率の良さを示しています。

スリーエム(MMM)の概要


セクター:コングロマリット

現在の株価:137ドル

時価総額:739ドル

過去5年間の配当成長率:-6.30%

前回配当落ち日:2025年2月14日

前回配当支払い日:2025年3月12日

予想配当利回り:2.13%

過去5年間の売上高成長率:-5.50%

過去10年間の売上高成長率:-0.40%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

スリーエムMMM:予想配当利回り2.13・配当性向38%・1株当たり配当金0.73ドル)は、米国ミネソタ州セントポールに本社を置く、世界的なコングロマリット企業です。

スポンジから呼吸用マスクに至るまで幅広い製品を展開し、独自技術を活かした用途開発と高い研究開発力を強みとしています。

事業は「安全・産業」「輸送・エレクトロニクス」「コンシューマー」の3セグメントで構成され、収益の約半分をアメリカ大陸以外から得ています。

配当は2025年初めに大幅減配されましたが、配当性向は38%と抑えられ、将来の増配余地を残しています。

予想配当利回りは2.13%と過去水準より低いものの、安定的な配当継続姿勢を示しており、依然として配当株として一定の魅力を有しています。

そして、同社は2025422日に2025年第1四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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スリーエム(MMM)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して

スリーエムMMM)は、2025422日に発表された最新の2025年度第1四半期決算において、特別項目(NRI)を除く1株当たり利益(EPS)は1.88ドルとなり、前四半期の1.68ドルから11.9%の改善を示しましたが、前年同期の1.93ドルからは減少しました。希薄化後EPSは2.04ドルとなり、前四半期の1.33ドルから大きく回復しました。1株当たり売上高は10.871ドルで、前四半期の11.005ドルからわずかに減少しましたが、前年同期の10.822ドルとはほぼ同水準でした。

過去5年間で、特別項目を除く年間EPSは年率換算成長率(CAGR)で-7.40%減少しており、10年間では-1.20%とわずかながら改善が見られます。今四半期の粗利益率は41.09%で、過去5年間の中央値である41.21%をやや下回り、過去10年の最高値である49.79%とは大きな差がありました。

同社は積極的に自社株買いを実施しており、直近1年間の自社株買い比率は2.70%となりました。これは過去1年間に発行済株式数の2.70%が買い戻されたことを意味しており、EPSの向上に寄与しています。参考までに、過去10年間の自社株買い比率は1.40%であり、株主価値を高めるために一貫して自社株買いを活用してきたことがわかります。

今後の見通しとして、アナリストは売上高が2027年までに255億5,451万ドルに達すると予測しています。2026年と2027年の予想EPSは、それぞれ7.451ドルと8.222ドルとなっており、ポジティブな成長軌道が示唆されています。加えて、同社が属する産業セクターは、今後10年間で年間平均3~4%の成長が見込まれています。

次回の同社の決算発表は2025年7月25日に予定されており、同社の業績や戦略の方向性について、さらなる情報が得られる見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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スリーエム(MMM)の財務パフォーマンスに関して

スリーエムMMMの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社の過去5年間におけるROICの中央値は10.61%であり、WACCの中央値は7.81%でした。これは、同社が一般的に資本コストを上回るリターンを生み出していることを示しており、効率的な資本配分とプラスの経済的価値創出を意味しています。

現在、同社のROICは12.15%であり、現時点のWACCである10.16%を依然として上回っています。このことから、同社は引き続き、事業運営にかかるコストを上回る価値を創出しており、株主価値を生み出していることがわかります。ROICとWACCの間に大きな差があることは、同社が資本を効果的に管理し、収益性の高いリターンを上げていることを示しています。

さらに、過去のROICの高低やWACCの安定性を踏まえると、同社は投資リターンと資本コストのバランスを良好に維持してきたことがわかり、資本効率と価値創出の能力がさらに裏付けられています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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スリーエム(MMM)の配当に関して

スリーエム(MMM)は、配当成長率の低下を経験しています。5年間の配当成長率は-6.30%、さらに直近3年間では-15.20%と、より顕著な減少が見られます。直近の四半期では、1株当たり配当金が2024年初めの1.51ドルから2025年初めには0.73ドルへと減少しました。

この減配は、戦略的な財務体制の再構築によるものである可能性が高く、現在のEBITDA有利子負債倍率が1.85であることからも、財務リスクの低減と債務管理能力の強化が示唆されており、業界における標準的な安心水準に沿ったものとなっています。

予想配当利回りは2.13%であり、過去10年間の中央値である3.63%を下回っており、過去と比較すると配当収入の魅力がやや低下している状況です。しかしながら、配当性向は38%と控えめであり、過去の高水準と比較しても大幅に低いため、もし今後利益が安定すれば、配当の増加余地があることを示しています。

次回の権利落ち日は2025年5月15日の予定であり、四半期ごとの配当スケジュールを維持しています。配当成長が鈍化しているにもかかわらず、このスケジュールの安定性は、たとえ減額されても配当を維持するという同社の姿勢を示しています。

予想配当利回り2.13%

配当性向:38%

配当カバレッジ・レシオ:2.8倍

過去5年間の配当成長率: -6.30%

EBITDA有利子負債倍率:1.85倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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スリーエム(MMM)のバリュエーションに関して

スリーエムMMMの現在の株価は137.32ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である88.56ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-55.06%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

予想株価収益率(予想PER)は17.83であり、過去10年間の中央値である17.09をやや上回っており、市場が安定した利益成長を期待していることを反映しています。

一方、直近12か月(TTM)の株価純資産倍率(PBR)は16.54と、過去10年間の中央値7.44を大きく上回っており、簿価に対して高い評価を受けていることがうかがえます。

その他の指標を見ると、TTMのEV/EBITDA倍率は10.76で、過去10年間の中央値11.26に近く、歴史的な水準と整合しています。

さらに、TTMの株価売上高倍率倍は3.07であり、過去10年間の中央値2.71を上回っているため、売上高に対しても割高感が見られます。

そして、市場のアナリストのセンチメントは慎重ながら楽観的であり、現在の目標株価の平均値は149.57ドルと、1か月前の目標よりやや引き下げられています。この傾向は、マクロ経済要因や企業固有の課題による慎重な見通しを反映している可能性があります。

以上より、安全余裕率の欠如やバリュエーション指標が入り混じる中で、投資家は市場環境や企業のファンダメンタルズを踏まえ、リスクとリターンを慎重に見極めながら対応する必要があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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スリーエム(MMM)のリスクとリターンに関して

スリーエムMMMのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社は、投資家にとってリスクとなり得るいくつかの懸念すべき財務トレンドを示しています。同社の粗利益率は長期的に減少傾向にあり、年平均で4%のペースで低下しています。これは、収益性の維持やコスト管理に課題を抱えている可能性を示唆しています。さらに、過去5年間で1株当たり売上高も減少しており、成長の持続や運営コストの効果的な管理に困難が生じている可能性がうかがえます。

最近のインサイダー取引では、68,168株に及ぶ6件の売却取引があり、購入は一切行われていませんでした。これは、経営陣が同社の将来性に対して自信を持っていない可能性を示していると考えられます。加えて、配当利回りは過去10年間で最低水準に近づいており、同社が配当を維持または成長させる能力に対して、市場の懐疑的な見方が広がっている可能性もあります。

一方で、同社は複数の面で堅調な財務健全性を示しています。ピオトロスキーのFスコアは7となっており、強い財務パフォーマンスと運営効率を示しています。ベニッシュのMスコアは-2.28であり、利益操作を行っている可能性が低いことを示唆しています。さらに、アルトマンのZスコアも3.9と高水準であり、破綻リスクが低いことが強調されています。

以上より、同社は運営面および市場環境に課題を抱えているものの、財務指標からは一定の回復力に対する信頼感が得られる状況です。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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スリーエム(MMM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるスリーエム(MMM)のインサイダー取引の動向を見ると、社内関係者による一貫した売却傾向が見られ、購入は一件も記録されていません。直近3か月間では6件のインサイダー売却があり、6か月間で10件、12か月間では12件に増加しています。このような継続的な売却傾向は、インサイダーが同社の将来の業績に対して慎重または否定的な見方をしているか、過去の株価評価を活用して利益確定を図っている可能性を示唆しています。

しかし、インサイダーの持株比率は0.42%と比較的低く、インサイダー取引が株価に与える影響は限定的であると考えられます。一方で、プロの機関投資家による保有比率は67.91%と非常に高く、同社の株式に対して機関投資家が大きな影響力を持っていることがうかがえます。

以上より、インサイダーによる購入が見られず、売却が継続している状況は、同社の将来見通しや現在のバリュエーションに対して経営陣が懸念を抱いている可能性を示しているかもしれません。ただし、この点については、他の財務指標や市場環境とあわせて慎重に検討したうえで最終的な判断を下すべきでしょう。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


スリーエム(MMM)の流動性に関して

スリーエムMMM)は、流動性および取引動向において、やや複雑な状況を示しています。過去2か月間の1日平均取引量は4,840,805株であったのに対し、直近営業日の取引量は2,140,790株にまで減少しています。これは取引活動の低下を示しており、株式の流動性に影響を及ぼす可能性があります。

また、同社のダークプールインデックス(DPI)は39.36%となっており、取引活動の相当部分が公開市場以外で行われている可能性を示唆しています。この水準のDPIは、全取引の約39.36%がダークプール(非公開取引市場)で行われていることを意味します。ダークプールでの取引は、時に価格の安定に寄与することもありますが、一方で透明性を低下させ、市場における流動性の認識に影響を与える可能性もあります。

取引量の減少と比較的高いDPIの組み合わせは、大口取引が公開市場外で行われている可能性を示しており、その結果、公的市場における価格の可視性やボラティリティに影響を与える可能性があります。

そのため、投資家は、株式の流動性や価格変動リスクを評価する際、これらの要素を考慮する必要があるでしょう。特に、公開市場での取引量が減少すると、ビッド・アスクスプレッドが広がったり、価格の透明性が低下したりすることがあるため、注意が必要です。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


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