12/17/2024

【Part 1:テクノロジー】マンデードットコム(MNDY)の将来性は有望?最新の2024年第3四半期決算分析を通じて、今後の株価見通しに迫る!

the word monday is cut out of white paperコンヴェクィティ  コンヴェクィティ
  • 本編は、注目の米国テクノロジー企業であるマンデードットコム(MNDY)の将来性を詳細に分析した長編レポートとなり、10の章で構成されています。 
  • 具体的には、マンデードットコムの競争優位性、4つの主要製品カテゴリーの進展、そしてAI開発について改めて触れます。 
  • さらに、同社が「システム・オブ・レコード(SOR)」となる可能性と、mondayDBがその実現にどのように貢献するかについても議論します。 
  • また、将来的なエージェント型AIにおける同社の役割についても予測し、SORへの進展と相まって、長期投資家にとって大きなリターンをもたらす可能性があることを示唆します。 
  • 最後に、同社のバリュエーションを再確認し、更新したDCFモデルを共有していきます。 
  • そして、本稿【Part 1】では、同社の最新の2024年第3四半期決算発表の詳細な分析、並びに、同社のようなワークマネジメントプラットフォームが人気な理由を詳しく解説していきます。

マンデードットコム(MNDY)の最新の2024年第3四半期決算発表に関して

マンデードットコム(MNDY)は、11月11日発表の最新の2024年第3四半期決算において堅調な業績を示しました。

売上高は2億5100万ドル(前年同期比+33%)に達し、経営陣が示したガイダンス(2億4500万ドル、+29.5% YoY)を上回りました。

Non-GAAPベースの粗利益率は90%、フリーキャッシュフロー(FCF)は8200万ドルで、売上高の33%に相当します。

また、Non-GAAPベースの営業利益(EBIT)は3220万ドル(利益率12.8%)となり、ガイダンスの2100万ドル(利益率8.5%)を大幅に上回り、前年同期比で33.6%の成長を記録しました。

特にエンタープライズ(企業向け)分野での成長が顕著で、年次経常収益(ARR)5万ドル以上の顧客数は前年同期比40%増の2907件、10万ドル以上の顧客数は44%増の1080件に拡大しました。

エンタープライズ市場での浸透は、売上高10億ドルを超える全てのSaaS企業にとって成長のカギとなる要素であり、マンデードットコムにとっても長期的な成長を期待させる好材料です。

さらに、ARR5万ドル以上の顧客における純収益維持率(NDR)は、前四半期の114%から115%に改善しました。

これは、年初に実施した価格改定が寄与しており、これまでに3000万ドルの追加収益を生み出し、2026年度末までに8000万ドルに達すると見込まれています。

この価格改定により、小規模な予算の小規模チームといった質の低い顧客が淘汰され、既存顧客との取引拡大における効率性が向上していると考えられます。

同社は2024年会計年度の売上高を9億6600万ドルと見込んでおり、中間値ベースで前年比32%の成長を予測しています。

また、通年のNon-GAAPベースの営業利益率を12.5%、フリーキャッシュフロー(FCF)利益率を30%とする見通しを維持しました。

しかし、2024年度第4四半期の成長率は28.5%と予想され、やや減速傾向が見られます。

経営陣は需要が安定しているとしつつ、一部の市場セグメントでは「ばらつき」があることを指摘しています。

さらに、同社のリーダーシップ交代が投資家にとって不確実性をもたらす可能性があります。

同社は新たなCOOにアディ・ダー氏を迎え入れ、同時に、8年間勤務し2年間CRO(最高収益責任者)を務めたヨニ・オシェロフ氏の後任を探すため、グローバルでの人材採用を進めています。

共同CEOのロイ・マン氏とエラン・ジンマン氏は、この移行を円滑に進められるとの自信を示していますが、リーダーシップ交代に加え、2024年第4四半期および2025年会計年度に予定されている営業チームの大幅な増員は、短期的に不安定要因になる可能性があると考えられます。

一般的に、企業の経営陣がリーダーシップ層の大きな変革に対して過度に自信を示している場合、投資家は注意が必要です。

過去には、オクタ(OKTA)がAuth0を買収した際に同様の事例が見られました。

トッド・マッキノン氏は両社の営業組織を統合するプロセスに対して過度に楽観的であり、オクタ(トップダウン型のGTMベンダー)とAuth0(ボトムアップ型のGTMベンダー)を統合する際の課題を十分に理解していませんでした。

その結果、統合の難しさからオクタの成長が急速に減速する事態となりました。

現在、マンデードットコムはM&Aのような複雑な要因を抱えてはいないものの、リーダーシップの変更や営業組織の変化がもたらす影響は予測が難しく、少なくとも短期的には失望を招く可能性があります。

ただし、リーダーシップ刷新に対する懸念を述べた一方で、別の見方もあります。

マンデードットコムは現在、「プロダクト主導のボトムアップ型GTM((Go-to-Market:企業が新しい製品やサービスを市場に投入するための戦略やプロセス)アプローチ」から「エンタープライズ重視の高接触型トップダウンGTM戦略」へと移行しており、これがリスク軽減に寄与する可能性があります。

仮に同社がゼットスケーラー(ZS)のようにすでにエンタープライズ市場で確固たる地位を築いていた場合、このようなリーダーシップの変更はより大きなリスクを伴うかもしれません。

なぜマンデードットコム(MNDY)のようなワークマネジメントプラットフォームが人気なのか

マンデードットコム(MNDY)のようなワークマネジメントプラットフォームの台頭は、組織運営の次なる進化を象徴しています。

1900年代、社会に最も大きな価値をもたらしていたのは製造業や工業系の企業であり、「科学的管理法」が主流でした。

この管理法では、すべての仕事があらかじめ定義されたプロセスに従って遂行されるべきとされており、例えば、ベルトコンベアによる組み立て作業が典型的な例です。

しかし、産業構造が知識労働やサービス業、ソフトウェア産業へと移行するにつれ、柔軟性や適応力がますます重要になりました。

知識労働者は、プロジェクトごとに異なるアプローチが必要となるため、タスクを最適に進めるための大きな裁量が求められます。

厳密に定義された手順に従うだけでは、多くの知識労働者にとっては非効率で、創造性を阻害するものとなるでしょう。

1970年代にインテル(INTC)が導入したOKR(Objectives & Key Results)は、科学的管理法に代わる新しい管理手法として、より現代的なニーズに適応しました。

OKRは、プロジェクトに対して明確な目標を設定し、その達成度を測るための指標を事前に定義するという理念に基づいていますが、目標達成に向けた具体的な方法や進め方は、社員個人の裁量に委ねられます。

しかし、企業が社員に自由な進め方を許容する場合、社員同士が連携するための手段を提供しなければなりません。

さもなければ、社員それぞれが異なる方向に進み、プロジェクト内で足並みが揃わなくなる可能性があります。

そのため、OKRを成功させるには、効果的な調整ツールの活用が不可欠です。

2000年代以降、グーグル(GOOG/GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)といった大手テクノロジー企業は、OKRの導入で大きな成功を収めています。

その主な理由は、プロジェクト調整のための社内ソフトウェアを開発する能力に優れている点にあります。

しかし、それ以外の多くの企業は、タスク管理やプロジェクト管理、知識共有、ガントチャートやカレンダーの可視化などの調整作業を、Outlook、Word、Excel、SharePointといったMicrosoftのツールに頼らざるを得ませんでした。

これらのツールを駆使すれば、労働者同士の調整に向けた高度なワークフローを作り上げることは可能ですが、学習コストが高く、直感的に使えるとは言い難いのが現状です。

こうした課題を背景に、マンデードットコム、アサナ(ASAN)、Airtableといった企業が登場し、従来の調整方法に取って代わる形でデジタル化を次の段階へと進めています。

これらの企業は、実質的な付加価値を創出することで、デジタル化の新たな波を牽引しています。

例えば、Wordが紙ベースのワークフローをデジタルテキストへと移行させた「デジタル化1.0時代」、Excelが高度なデータ操作や自動化を可能にした「デジタル化2.0時代」を象徴するものであったとすれば、マンデードットコム、アサナ、Airtableのようなプラットフォームは「デジタル化3.0時代」を切り開いています。

この新しい時代は、直感的かつカスタマイズ可能なツールを特徴としており、技術的なスキルがないユーザーでも、コーディングなしでワークフローの効率化、アプリケーションの構築、複雑なプロセスの管理が可能です。

特にマンデードットコムは、ハイレベルな調整機能だけでなく、ローエンドのプロセス自動化も可能にする点で際立っています。

これは同社の大きな差別化要因の一つであり、同社がmonday CRMやmonday DevなどのSKUを提供する基盤となっています。

興味深いことに、こうしたローエンドのプロセスへの注力は、ある意味で科学的管理法への回帰とも言えます。

知識労働者には自由が必要とされる一方で、多くの単純作業においては、繰り返し実行可能な特定の手順が有効です。

マンデードットコムのユニークな点は、こうした細かく定義されたプロセスを労働者自身が自分たちやチームのワークフローに合わせて構築できるよう支援していることです。

マンデードットコム(MNDY)の強みを再考する

マンデードットコム(MNDY)の競争優位性は、シンプルさと柔軟性を絶妙に両立させている点にあります。

多くのワークマネジメント分野の競合は、「シンプルだが硬直的なパッケージ型ソリューション(中小企業向け)」か、「カスタマイズ性が高いが複雑なソリューション(大企業向け)」のどちらかに位置付けられています。

しかし、マンデードットコムはその中間に位置し、シンプルかつパッケージ型でありながら、高い柔軟性を持つプラットフォームを提供しています。

これは主に、ノーコード/ローコード機能を活用することで実現しています。

また、同社はローエンドのプロセスをターゲットにする戦略を通じて、monday CRMやmonday Dev、現在ベータ版で提供されているmonday Service(年末から2025年1月に正式リリース予定)などの特化型SKUを開発しています。

これらのSKUは、同社に新たな市場参入の機会をもたらし、マーケティングファネル内で複数の接点を作り出しています。

一方で、アサナやClickUpといった競合他社は、汎用的なワークマネジメントプラットフォーム1つのみを提供しており、市場とのエンゲージメントを最大化するには非効率的なアプローチのように見受けられます。

マンデードットコム(MNDY)の製品群:幅広い機能、深い専門性、そしてエンタープライズ市場への訴求力

マンデードットコム(MNDY)が提供する製品と主な競合企業については下記の通りです:

・monday Work Management

ガントチャートやカンバンボード、強力な自動化ツールを搭載した、コラボレーションやタスク管理のための中核プラットフォーム。主な競合には、アサナ(ASAN)、スマートシート(SMAR)、ClickUp、Airtableが挙げられます。

・monday CRM

営業やマーケティングチームをサポートするためのツールで、GmailやZoomとの連携機能を備えています。今後、ネイティブの通話機能の追加が予定されています。主な競合は、ハブスポット(HUBS)やセールスフォース(CRM)。

・monday Dev

DevOpsとビジネス機能を連携するツールで、CI/CDプラットフォームとの直接的な競争よりも、全体の調整を重視しています。主な競合はアトラシアン(TEAM)で、一部ギットラブ(GTLB)も含まれます。

・monday Service(2024年末~2025年初頭リリース予定)

ITサービス管理(ITSM)向けに設計されており、他のマンデードットコム製品とシームレスに統合される予定です。IT部門と他部署を結びつける役割を果たします。主な競合はアトラシアン(TEAM)やサービスナウ(NOW)。

次章以降では、各製品についての詳細と競合分析、並びに、同社のバリュエーション分析を詳しく解説していきます。

※続きは「【Part 2:テクノロジー】マンデードットコム(MNDY)のmonday Work Managementとは?」をご覧ください。

さらに、その他のマンデードットコムMNDY)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクよりマンデードットコムのページにてご覧いただければと思います。

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