08/06/2024

マイクロソフト(MSFT)の株価は10年後も堅調?最新の2024年第4四半期決算分析を通じて同社の将来性に迫る!

iconイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、マイクロソフト(MSFT:予想配当利回り0.73%・配当性向25%・1株当たり配当金0.75ドル)の株価は「10年後も堅調か?」という問いに答えるべく、最新の2024年第4四半期決算分析を通じて、同社の今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 同社の最新の決算では、EPSと1株当たり売上高がいずれも前四半期比で上昇し、さらに、過去5年間のEPSの年平均成長率は19.70%となっています。
  • バリュエーション面では、現在の株価は弊社算出の一株当たりの本質的価値をやや上回り、実績PERやEV/EBITDA倍率等のバリュエーション指標でも業界平均を超えているため、やや割高であるように見えます。

マイクロソフト(MSFT)の概要


バリュエーション:フェアバリュー並み

リスクレベル:低リスク


セクター:ソフトウェア

現在の株価:406ドル

時価総額:3.02兆ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:399.9ドル

安全マージン:-1.63%

過去5年間の配当成長率:10.20%

次回の配当落ち日:2024年8月15日

次回の配当支払い日:2024年9月12日

予想配当利回り:0.73%

過去5年間の売上高成長率:15.20%

過去10年間の売上高成長率:13.00%

マイクロソフト(MSFT:予想配当利回り0.73%・配当性向25%・1株当たり配当金0.75ドル)は、ソフトウェア、ハードウェア、クラウドサービス、人工知能(AI)技術を中心に多岐にわたる事業を展開しており、グローバルに影響力を持つテクノロジー企業です。同社は、WindowsオペレーティングシステムやMicrosoft Officeスイートで世界的に知られていますが、近年はAzureクラウドプラットフォームの成長が著しく、クラウドサービス市場においても重要な地位を占めています。マイクロソフトは、オープンソースやクロスプラットフォームの技術を積極的に採用し、競争力を高めています。

財務状況は非常に健全で、過去5年間の売上高成長率は約15.2%、ROEは40.14%を記録し、投資効率の高さが際立っています。また、配当面では過去3年間の配当成長率が10.2%に達し、予想配当利回りは0.73%です。これは、低い配当性向(約25%)と相まって、さらなる増配の余地を示唆しています。

最近の買収では、生成AIに注力するOpenAIへの投資が注目されており、AI分野での技術的優位性を強化しています。その他にも、ゲーム業界の大手Activision Blizzardの買収が進行中で、エンターテインメントセクターでの競争力を高めようとしています。これらの戦略的買収は、マイクロソフトのビジネスモデルをさらに多角化し、長期的な成長の基盤を強化するものです。

マイクロソフト(MSFT)2024年度第4四半期決算に関して

マイクロソフト(MSFTは、2024630日に終了した最新の2024年度第4四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPSEPS without NRI)は2.95ドル(前四半期:2.94ドル)、希薄化後のEPS2.95ドル(前四半期:2.94ドル)、また、1株当たり売上高も8.659ドル(前四半期:8.28ドル)と、いずれも前四半期比で上昇という着地となっています。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は19.70%で、過去10年間の年平均成長率は19.50%となっており、中長期的に継続して成長を実現しており、さらに足元の成長は緩やかながら加速していることが分かります

また、今後10年間の同社の業界の成長予測は有望であり、同社のポジティブなトレンドが継続する可能性が高いことを示しています。

全体として、マイクロソフトの最新の四半期決算は、市場における同社の強い地位と一貫した成長を提供する能力を反映していると言えます。

※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値


マイクロソフト(MSFT)の財務パフォーマンスに関して

マイクロソフト(MSFT)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

まず、同社の過去5年間のROICの中央値は25.83%で、過去5年間のROEの中央値は40.14%と一貫した高い財務パフォーマンスを示しています。

また、過去5年間のWACCの中央値は8.14%で、ROICがWACCの水準を大幅に上回っていることから、同社の効果的な資本配分と経済的な価値を生み出す能力を示していると言えます。

※ROICがWACCを上回ると、企業が投資した資本に対してコスト以上の利益を生み出していることになります。これにより、企業は実際に価値を創出しており、株主にとって魅力的な投資先となります。企業がROICでWACCを上回ることで、持続的な成長や株主へのリターン向上が期待できます。

ジョエル・グリーンブラット氏のROCも、過去5年間の中央値が108.34%と、同社の力強いパフォーマンスを反映しています。

より長期的なトレンドを見ると、同社のROICは過去10年間の平均が22.98%で、過去10年間のWACCの中央値である7.92%を上回っています。

この同社の一貫したプラスの経済価値を創造する能力は、過去10年間のROEの最高水準が47.15%と高水準にあったことからも裏付けられています。

全体として、マイクロソフトの財務パフォーマンス指標は、特にROICが常にWACCを上回っていることからも、同社の効率的な資本配分と強力な経済的な価値を生み出す能力を示唆しており、株主にプラスの経済的価値を生み出していることを示しています。


マイクロソフト(MSFT)の配当に関して

マイクロソフト(MSFT)は、過去一貫した配当成長を示しており、過去3年間の配当成長率は10.20%と安定しています。

また、同社のEBITDA純有利子負債倍率は0.51倍で、基準値の2.0倍を大きく下回っています。

理想的には、当倍率が2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すことからも、現在の倍率は同社の財務リスクの低さと債務返済能力の高さを示しており、また、同社が債務を効果的に管理していることを示唆しています。

さらに、予想配当利回りは0.73%で配当性向は25.0%と健全な水準であることからも、同社が持続可能な配当水準を維持している一方で、さらなる増配の余地があることを示しています。

一方で、同社の現在の予想配当利回りは、下記のチャートからも分かる通り、過去10年来の水準と比較しても相対的に低い水準にあることからも、健全な配当性向の水準と合わせて、今後のさらなる配当成長の可能性を示しているとも言えます。

全体として、マイクロソフトの配当実績は堅実であり、さらなる配当の成長の余地と債務管理への慎重なアプローチが実施されていることが確認できます。

そして、EBITDA純有利子負債倍率の低さは、同社の強固な財務体質と潜在的な課題を効果的に乗り切る能力を反映していると言えます。

予想配当利回り:0.73%

配当性向:25%

配当カバレッジ・レシオ:4.03倍

過去5年間の配当成長率:10.20%

EBITDA純有利子負債倍率:0.51倍

※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

Dividend Yield:予想配当利回り

※Dividend Payout:配当性向

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マイクロソフト(MSFT)のバリュエーションに関して

マイクロソフト(MSFT)の現在の価格は406.45ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である399.9ドルよりやや高いことから、やや割高である可能性を示しています。

また、実績PERは34.42倍で、過去5年平均、過去10年平均のいずれよりも高く、同社の株価が割高である可能性を示唆しています。

さらに、株価売上高倍率は12.38倍と業界平均を上回っており、売上高に対するバリュエーションが高いことを示しています。

加えて、EV/EBITDA倍率も23.19倍と業界平均を上回り、EBITDAベースのバリュエーションが高いことを反映しています。

そして、株価フリー・キャッシュフロー倍率は40.99倍で、過去の平均を大きく上回っており、フリー・キャッシュフローに対する割高感を示しています。

予想PERを見てみると、こちらも30.66倍と過去の平均を上回っており、割高感があることを示唆しています。

全体として、マイクロソフトは過去の平均や業界の平均とバリュエーションを比較した際には、割高で取引されているように見えます。

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マイクロソフト(MSFT)のリスクとリターンに関して

マイクロソフト(MSFTのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います

まずマイナス面では、過去5年間の売上高成長率が15.2%であるのに対し、総資産は23.2%で急成長していることからも、資産活用が非効率である可能性があります。

さらに、足元、25,566株のインサイダーによる同社株式の売却が確認されている一方で、インサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていないことから、インサイダーが同社の今後の株価見通しに自信を持っていない可能性があります。

また、10年来の低水準に近い予想配当利回りは、配当収入を求めるインカム投資家にとってはネガティブな可能性があります。

一方でプラス面では、ピオトロスキーのFスコアが7で財務状況が非常に健全であることを示し、さらに、ベニッシュのMスコアが-2.43であることからも、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆しています。

加えて、拡大する営業利益率、低いPBR、安定した売上高と収益成長、強固な財務基盤、9.38という高いZスコアは、同社にとっていずれも有利な指標であると言えます。

以上より、投資家は、資産活用の非効率性、インサイダーによる同社株式の売却、低い予想配当利回り等、潜在的なリスクを考慮する必要があるが、マイクロソフトの強固な財務基盤とポジティブなバリュエーション、並びに、業績指標は安心感を与える内容であると言えます。


マイクロソフト(MSFT)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去12ヶ月間、マイクロソフト(MSFT)はインサイダーによる同社株式の買い付けを確認していないが、インサイダーによる同社株式の売却は10件確認されており、同社のインサイダーが株式売却を通じて利益を得ている可能性を示しています。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は6.18%である点にはご留意ください。

一方、機関投資家の同社株式の保有比率は69.80%と非常に高く、プロの機関投資家が同社に大きな関心を寄せていることを示しています。

このトレンド分析から、インサイダーが同社の株式を売却している可能性がある一方で、プロの機関投資家が同社株式においてかなりのポジションを保有し続けていることが明らかになっています。

このことは、プロの機関投資家が、インサイダーが自社株の売却を行っているにもかかわらず、マイクロソフトの長期的な見通しに自信を持っていることを示唆している可能性があります。


マイクロソフト(MSFT)の流動性に関して

マイクロソフト(MSFTの流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は9,220,500株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は19,251,656株となっており、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は39.44%となっており、取引活動の半分弱がダークプールで行われていることを示しています。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。

全体として、マイクロソフトは流動性が高く、一貫した取引活動が行われていることからも、流動性を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっているように見えます。

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

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