03/27/2025

【半導体】マイクロン・テクノロジー(MU)とエヌビディア(NVDA)の関係性とは?

A pile of electronic components sitting on top of each otherダグラス・ オローリンダグラス・ オローリン
  • 本稿では、注目の米国半導体関連銘柄である「マイクロン・テクノロジー(MU)とエヌビディア(NVDA)の関係性とは?」、「マイクロン・テクノロジーの将来性とは?」という疑問に答えるべく、同社の最新の2025年第2四半期決算分析を通じて、両社の関係性を詳しく解説していきます。
  • エヌビディアは他社を寄せ付けない進化のスピードでアクセラレーテッド・コンピューティング市場を席巻しており、その戦略はかつてのインテルと重なる部分があります。
  • マイクロン・テクノロジーは決算で売上回復を示した一方、在庫の重さや利益率の鈍さが懸念されており、市場の期待には応えきれていませんでした。
  • 半導体業界はAIを中心に回復傾向が見られる一方で、景気循環に敏感な分野は依然として不透明感が強く、今後の需要動向が注視されています。

はじめに

GPUは、かつてのCPUのような存在になっています。急速に進化し、幅広いアクセラレーテッドワークロードをサポートしています。

AWSのTrainiumは、エヌビディア(NVDA)が生み出す“残像”と競っているような状況です。AMD(AMD)はH100にすら追いつくのに苦戦しており、ましてやエヌビディアRubinに追いつくことなど到底できていません。エヌビディアの容赦ない進化のスピードには、まさに冷酷さすら感じます。たとえソフトウェア、ハードウェア、ネットワーク、あるいはラックスケールのどこか一部で一度エヌビディアに勝ったとしても、翌年、さらにはその翌年にも再び勝たなければならないのです。

それを継続的に成し遂げるためのリソースを持つ企業は、おそらくゼロかもしれません。これこそが、ジェンセンCEOが推進する「進化の行進」、すなわちラック、GPU、ネットワーキングの改良によるティック・トック戦略なのです。かつてインテルもこの同じ戦略で競合を圧倒し、今それが現実世界で再び繰り返されているのを私たちは目の当たりにしています。歴史はまったく同じようには繰り返しませんが、よく似た形で韻を踏むのです。

かつてインテル(INTC)はWintel時代において市場シェア90%という頂点に達しましたが、これは現在のエヌビディアがアクセラレーテッド・コンピューティング分野で達成している状況に非常に似ています。それでは、本稿では、マイクロン・テクノロジー(MU)の最新の決算に関して詳しく解説していきます!

では、早速、本題に入っていきましょう!


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マイクロン・テクノロジー(MU)の最新の2025年第2四半期決算発表に関して

マイクロン・テクノロジー(MU)は、2025年3月20日に最新の2025年第2四半期(暦年:2024年第4四半期)決算を発表しており、堅調な業績を発表しましたが、株価は下落しました。その理由は何でしょうか?

まず最初に認めますが、マーク・マーフィーCFOは史上最も悲しそうに話す人物かもしれません。これはおそらく期待値をコントロールするためのうまいやり方なのかもしれませんが、ほとんどすべての質問がこういったものでした。

「もしHBM(高帯域幅メモリ)がそれほど優れているなら、なぜ利益率に対してそんなに弱気なのですか?」と。

新しいメモリのパラダイムは、利益率にとって非常に好ましいものになるはずではないのでしょうか?それに対する答えは、断定的な「たぶん(Maybe)」です。

この質問は何度も繰り返し投げかけられました。そしてそのたびに、弱気な反論が返ってきました。サスケハナのメフディ・ホセイニアナリストの質問は、この点をほぼ完璧に要約していると言えるでしょう。

「お話しいただいたさまざまな長期的なトレンドを踏まえて、私たちが今苦労しているのは、そうしたトレンドがもたらす収益機会やその持続性をより深く理解することです。」

「私たちはただ理解しようとしているのです。つまり、事業の構成比がより高利益な長期的トレンドにシフトし、設備がそうした分野に割り当てられていく中で、営業利益の面では今後どのように展開していくのかという点です。御社の売上高はすでに過去のピークを超えており、利益もそれに伴って伸びています。今後もその利益の持続性が見込めるのかということを知りたいのです。」

これは、つまり「マイクロン・テクノロジーは過去の売上高のピークを超えているにもかかわらず、利益率について意味のある上方修正を示す姿勢は見られません。これでは、今後新たな高い利益率が実現されることはないように聞こえます。」ということを暗示しているように聞こえます。

しかしながら、マーク・マーフィーCFOの回答は煮え切らないもので、「状況は改善している」といった明確な発言はありませんでした。

「メフディさん。現在進行中の製品構成の転換や、一部の製品に付加価値が加わっていること、そしてほぼ新たな産業が生まれつつあるという状況、さらにHBMや低電力DRAMなどに見られるAI需要の高まり——これらの要素が重なり合って、確かに現在、プラスの影響をもたらしています。」

「しかしながら、これらの製品がプレミアム価格で取引されている一方で、業界全体としての収益性は、以前の深刻な不況からの影響で依然として在庫水準が高いこともあり、回復しきれていないのが現状です。」

在庫の過剰が依然として利益率の重しとなっており、過去のサイクルと比べて、利益率の改善がそれほど進んでいない状況です。

「確かに、利益率は改善しています。直近の四半期ではわずかに上昇しました。しかし、DRAMの出荷量が減少し、NANDについては緩やかな成長にとどまっている中で、出荷量の増加が今後も継続する、あるいは再開することが重要です。第3四半期には出荷量が増加しました。そして私たちが申し上げているように、最先端製品に関連する在庫水準は引き締まっており、全体としての在庫水準も減少しています。そうした理由から、私たちは在庫に関する数字を提供しています。なぜなら、それがより好ましい市場環境と結びついていると考えているからです。特にDRAMについては、年末までに目標としている在庫水準を下回る見込みです。」

マイクロン・テクノロジーの在庫回転日数

(出所:Bloomberg)

これほどまでに高くなったことはこれまで一度もありません。そして、稼働率の改善が利益率の向上につながるのは、在庫を処理し終えた後の話です。

つまり、HBMがどれほど優れていても、在庫が引き続き足かせとなっているのです。この点は、今回のカンファレンスコールの中で繰り返し強調されていました。その一方で、マイクロン・テクノロジーの株価は簿価の2倍以上で取引されており、同社は本格的な回復を見込んでいます。これは、失望に終わる可能性がある構図ではないでしょうか。

HBMの需要が爆発的に伸び、エヌビディアの変動的なサプライヤーとしてシェアを獲得できれば、状況は非常に好転するでしょう。しかしながら、同社が利益率を引き上げる姿勢をまったく見せない点については、正直理解に苦しみます。皮肉なことに、私が最も懸念していた分野——つまりNANDの価格が、やや上昇傾向に転じてきているのです。

メモリ業界における「新しさ」は、結局は「古さ」?

私が非常に不安を感じているのは、NANDメーカーから聞こえてくる「供給能力に関する制約」の話です。これは、かつて存在していた、そして今では消え去ったメモリの一形態——HDD(ハードディスクドライブ)と非常によく似た響きを持っています。NANDはまるでHDDのように感じられ、DRAMは徐々にNANDに近づきつつあり、HBMはかつてDRAMが担っていた高収益なポジションを置き換えています。こうした動きには奇妙な循環性があり、「新しいメモリ」が語られている一方で、実際には「古いメモリ」と何ら変わらない業界の姿が見えてきます。

次のステップは、NANDメーカーを独立した事業体へと分社化することであり(すでにその動きは進行中です)、その後には業界の再編・統合が待っているでしょう。供給体制が統合されていけば、この業界はより合理的な方向へと進むことになります。それはYMTC(長江存儲)が実質的に競争から外れた現在の世界では理にかなっているように思えますが、結局のところ「新しいもの」がすでに「古いもの」になっているのかもしれません。NANDは、ただの“新しいHDD型メモリ”に過ぎないのです。

景気循環銘柄と米国経済について

正直に申し上げますと、私は今まで以上に景気サイクルについて混乱しています。ですので、今後、もう少し具体的な考察を共有させていただくつもりですので、そちらのレポートもお見逃しなく!

率直に言って、関税、不透明感、さらには財政政策がどうなるのか誰にも分からないという状況が、私自身の混乱を招いています。さらに言えば、先週は経済の景気循環に最も敏感な分野が底打ちし始めているように見えました。私はまるで景気後退を警戒しているかのようなレポートを執筆していますが(詳細は下記のレポートをご覧ください)、それにもかかわらず、現在は自動車セクターが私のお気に入りとなっています。もし皆さんが混乱していると感じていらっしゃるなら、ご安心ください。私も同じです。

少し状況を整理してお伝えします。皆さんには、在庫と売上の推移を示すチャートを見ながら、特定のサブ業種が循環的な回復段階にあるのか、あるいは悪化段階にあるのかをご理解いただけることを期待しています。さあ、各業種が今どのような状況にあるのか見ていきましょう。なお、以下の内容はデータに基づいていますが、チャートには表示されていません。

ファブレス(エヌビディアやブロードコムなど)は減速傾向にあり、スマートフォン(Smartphone)は季節的な需要減に直面しています。一方で、パソコン(PCs)は需要が強まっています。自動車(Automotive)およびIoTは循環的な反発が見られる一方で、電源関連は減速しています。半導体製造装置(Semicap)は弱含みで、アナログ(Analog)半導体は上下を繰り返しており、最も奇妙なサイクルをたどっています。

私は、以下のような単純なランク分けが合理的だと考えています。四半期(1Q〜4Q)の調整を踏まえ、多少の解釈の幅を持たせています。

在庫上昇サイクル後期(第1象限): ファブレス(AIを含む)、電源系

在庫下降サイクル初期(第2象限): 半導体製造装置(セミキャップ)

在庫下降サイクル後期(第3象限): アナログ、自動車

在庫上昇サイクル初期(第4象限): IoT、パソコン、メモリ?、スマートフォン?

これは基本的に、先入先出(FIFO)型の在庫サイクルといえます。AIがこのサイクルの先頭を走っており、自動車とIoTはこれまで長期にわたる調整期間が続いていました。現在、そのトレンドがようやく転換しつつあり、AIが後期サイクルに入り、他の業界も底を抜けつつあるように見えます。

皮肉なことに、いわゆる「初期サイクル」に位置付けられる

すべての分野は、歴史的に見ても非常に景気循環の影響を受けやすい傾向にあります。中国の景気刺激策が背景にあるとすれば納得がいきますが、一方でアメリカはAI主導の動きが中心です。自動車、アナログ、IoTといった分野は、いずれも消費者の需要回復に強く連動しています。これは、ポストコロナにおける過剰在庫の解消がようやく進みつつあるという文脈では理解できます。しかし、もし景気がさらに悪化するのであれば、それは本当に理にかなっているのでしょうか? おそらく、そうとは言えないでしょう。

それにしても、なぜNAND価格が後期サイクルの局面で回復しようとしているのでしょうか? あるいは、スマートフォンのわずかな需要回復が主因と思われるDRAM価格も回復しているのでしょうか? 2020年のサイクルに対して抱かれていた最悪の懸念は、実際にすべて現実のものとなってしまいました。それでも、AI全体としては半導体業界を救いましたが、消費者向け、IoT、自動車関連企業までは救えていません。これらの分野は、ようやくその重荷から脱し始めたところです。

その一方で、AI分野の勝者たちは「勝ち切った」と言えるようにも見えます。エヌビディアは昨年、一時的に世界で最も時価総額の高い企業となりました。AIは今や世界最大の投資テーマとなっていますが、在庫の増加が売上の伸びを上回り始めており、これは非常に不吉な兆候です。今回も私は、状況に応じて自分の意見をすばやく変える可能性があることを前もってお伝えしておきます。

しかし、もし過去の経験が何かを示しているとすれば、少なくともBlackwellが登場するまでは、サイクルが弱含みになる可能性が高いと思われます。そして、そのキャパシティ拡大の先に、本当のエンドデマンドが見えてくることになるでしょう。このような枠組みで見ると、「初期サイクル」に属する分野はここ2年間大きく出遅れていましたが、年初来ではアウトパフォームしています。この流れは今後も続く可能性があるかもしれません。

マクロ経済の指標は引き続き弱含みです。私は決算を見極めるために、今は「様子見モード」に入っています。ナイキ(NKE)、フェデックス(FDX)、レナー(LEN)、航空会社などの業績の悪化は、正直なところ前向きな気持ちにはなれません。


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また、直近では、注目の半導体銘柄であるシーバ(CEVA)に関する👇下記の分析レポートも執筆しておりますので、本稿と併せてご覧ください。



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📍半導体&テクノロジー担当

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