04/14/2025

【金関連】ニューモント(NEM)の配当推移と将来性分析:予想配当利回り1.82%・配当性向29%・配当金0.25ドル

gold and silver round coinsイアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、注目の米国上場配当株であるニューモント(NEM:予想配当利回り1.82%・配当性向29%・1株当たり配当金0.25ドル)の2025年2月20日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • ニューモントは世界最大級の金鉱企業で、近年の積極的な買収により事業を拡大し、金に加え銅や銀なども生産している企業です。
  • 財務面ではROICがWACCを上回るなど資本効率が高く、EPSや粗利益率の改善、自社株買いの効果もあり、株主価値の向上が見られます。
  • 配当利回りは1.82%と控えめながら安定しており、今後の配当成長率は約10%と見込まれている一方で、株価水準やインサイダー売却などから慎重な判断が求められるでしょう。

ニューモント(NEM)の概要


セクター:金属・鉱業

現在の株価:54ドル

時価総額:619億7,000万ドル

過去5年間の配当成長率:12.70%

前回配当落ち日:2025年3月4日

前回配当支払い日:2025年3月27日

予想配当利回り:1.82%

過去5年間の売上高成長率:2.80%

過去10年間の売上高成長率:2.20%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ニューモント(NEM:予想配当利回り1.82・配当性向29%・1株当たり配当金0.25ドル)は、米国コロラド州デンバーに本社を構える世界最大級の金鉱企業です。2019年にゴールドコープを買収し、同年には競合のバリック社とネバダ鉱山を統合。2023年にはニュークレストを買収するなど、積極的なM&A戦略により事業規模を拡大してきました。

アメリカ大陸、アフリカ、オーストラリア、パプアニューギニアに17の完全・過半数所有鉱山と2つの合弁事業を展開し、2025年にはコア鉱山から約550万オンスの金を生産予定です。また、銅・銀・亜鉛・鉛も副産物として生産しています。

財務面ではROICがWACCを上回っており、資本効率の高さが際立ちます。一方で、資産成長率が収益成長率を上回るなど効率性に課題も見られます。直近の予想配当利回りは1.82%で、5年平均成長率は12.7%と堅調ですが、3年では減配傾向も見られます。インサイダー保有比率は低いものの、機関投資家の関心は高く、安定配当株として一定の魅力があるように見えます。

そして、同社は2025220日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀

イアニス・ ゾルンパノス氏はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

そのため、ゾルンパノス氏の最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!


ニューモント(NEM)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して

ニューモント(NEMは、2025220日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一過性項目を除いたEPS(1株当たり利益)を1.40ドルと報告しました。これは、前四半期(2024年第3四半期)の0.81ドルおよび前年同期(2023年第4四半期)の0.50ドルから大幅に増加しており、四半期ベース(QoQ)および前年比(YoY)の力強い成長を示しています。この結果は、同社の財務パフォーマンスが着実に強化されていることを反映しています。

また、過去5年間で、同社の一過性項目を除いた年間EPSは年平均成長率(CAGR)8.30%を記録しており、10年間ではCAGR 12.00%と、堅調な長期成長基調を示しています。そして、市場のアナリストの予測によれば、業界全体は今後10年間で年平均約4%の成長が見込まれており、その中で同社は堅調に拡大する市場において有利なポジションにあるといえます。

加えて、同社は堅調な利益率を維持しており、粗利益率は38.24%と過去10年間で最高水準に達しており、コスト管理が効率的であることを示しています。

さらにm、過去1年間の自社株買い比率は2.20%であり、発行済株式の2.20%が買い戻されたことを意味します。これにより発行済株式数が減少し、1株当たり利益の向上に寄与しています。一方で、過去3年および5年の自社株買い比率はマイナスであり、これらの期間には株式の純発行が行われたことを示唆しています。

最近の自社株買いの影響は、EPSの改善という形で現れており、株主価値の向上につながっています。

今後の見通しとしては、市場のアナリストは2025年度末のEPSが3.578ドルに達すると予想しており、翌年には4.158ドルへとさらなる成長が見込まれています。この前向きな見通しは、今後数年間にわたり年間約182億ドルの安定した収益が期待されていることに支えられています。

次回の決算発表は2025年4月23日に予定されており、同社の今後の成長軌道や市場での位置づけに関するさらなる洞察が得られる見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ニューモント(NEM)の財務パフォーマンスに関して

ニューモント(NEMの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社の財務パフォーマンスは、効果的な資本配分と経済的価値の創出を示しています。同社のROICの過去5年間の中央値は6.70%であり、WACCの5.96%を上回っています。これは、同社が資本投資によってそのコスト以上の収益を上げており、正の経済価値を生み出していることを意味します。

また、現在のROICは8.02%で、こちらも現在のWACCである6.00%を上回っており、同社が資本を効率的に活用して価値を創出していることをさらに裏付けています。このようにROICとWACCの間に正のスプレッドが存在していることは、NEMが資源を有効に配分し、資本コストを上回るリターンを確保していることを強調しています。

加えて、自己資本利益率(ROE)は、過去5年間の中央値である5.18%から、現在では11.39%へと上昇しており、収益性の改善と株主へのリターンの向上を示しています。

これらの指標の過去の推移を見ても、ROICおよびROEの最高水準が示すとおり、NEMはさまざまな経済環境においても柔軟に対応できる力強さと適応力を持っていることがうかがえます。

総じて、同社の業績は、価値創造に成功している戦略が機能していることを明確に示しているように見えます。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ニューモント(NEM)の配当に関して

ニューモント(NEM)は、配当実績においてまちまちな動きを示しています。直近5年間の配当成長率は12.70%と顕著な伸びを記録している一方で、過去3年間では23.10%の減少が見られます。

直近の四半期では、1株当たり配当金(DPS)は0.25ドルで安定しており、将来予想される配当利回りは1.82%です。これは過去10年間の中央値である1.49%をわずかに上回っています。

また、直近の配当性向は29%となっており、この四半期配当の安定性は、過去10年間において100.11%から101.19%の範囲で大きく変動していた配当性向とは対照的であり、近年になって安定化に向けた取り組みがなされていることを示唆しているように見えます。

一方で、セクター全体と比較すると、同社の配当利回りは控えめに見えるものの、過去の高水準と比べるとやや劣る水準です。

同社のEBITDA有利子負債倍率は1.19であり、警戒ラインとされる2.0を大きく下回っていることから、債務管理能力が高く、財務リスクも低い状態にあるといえます。一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2以下であれば財務リスクが低く、4以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

今後については、3~5年の配当成長率が10.55%と予測されており、前向きな見通しが示されています。次回の権利落ち日は2025年5月30日に予定されており、週末を避けた日程で、これまでの四半期ベースの配当スケジュールとも整合していることから、今後も安定した配当支払いが継続されると見込まれます。

予想配当利回り1.82%

配当性向:29%

配当カバレッジ・レシオ:2.93倍

過去5年間の配当成長率: 12.70%

EBITDA有利子負債倍率:1.19倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当金とは?配当金の詳細と仕組みを徹底解説!

配当株投資のメリットとリスクとは?

インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!

50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ニューモント(NEM)のバリュエーションに関して

ニューモント(NEMの現在の株価は54.97ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である47.88ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-14.81%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。

一方で、予想PER(Forward P/E)は14.34で、過去10年間の中央値である23.13を下回っており、過去の平均と比較して割安である可能性があります。ただし、直近12ヶ月(TTM)の実績PERは18.76で、過去の最低水準である10.89と比べると、やや割高な水準にあるといえます。

さらに、TTMの株価/フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は21.22で、中央値の19.41を上回っており、キャッシュフロー創出力に対して株価がやや割高で取引されている可能性があります。

TTMの株価売上高倍率(P/S)は3.38で、過去10年間の中央値である2.87をやや上回っているものの、最高値である5.47よりは大きく下回っており、過去の範囲内で見れば妥当な評価水準と考えられます。

しかし、TTMのEV/EBITDA倍率は8.96で、10年中央値の10.69を下回っており、企業価値に対する利益面から見ると割安である可能性もあります。

市場のアナリストの見方はやや前向きであり、直近の目標株価の平均値は1か月前の54.20ドルから57.84ドルへと上昇しています(17件の目標株価に基づく)。この目標株価の上昇トレンドは、同社の株価に今後上昇の余地があるとアナリストが見ていることを示しています。

ただし、安全余裕率の欠如や現在のバリュエーション指標を踏まえると、慎重な姿勢が求められる状況ともいえるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!

PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!

PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!

株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ニューモント(NEM)のリスクとリターンに関して

ニューモント(NEMのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社は現在、いくつかのポジティブな指標が見られる一方で、潜在的なリスクを示唆する財務指標も確認されています。

同社の資産成長率は年率8.5%であり、売上高成長率の2.8%を上回っています。これは、資産の増加に対して収益の伸びが追いついておらず、非効率性の可能性を示していると言えます。さらに、過去5年間で営業利益率が年率3.7%のペースで低下しており、業務運営上の課題を抱えている可能性があります。

株価純資産倍率(PBR)および株価収益率(PER)は、いずれも過去2年間の高値付近にあり、現時点の株価が割高であることを示唆しています。

また、インサイダー(内部関係者)による取引状況も懸念材料であり、最近の取引では8件の売却が行われ、購入は1件もありませんでした。

一方で、ポジティブな要素として、同社のピオトロスキーのFスコアは8と高く、財務健全性が高いことを示しています。また、ベニッシュのMスコアは-2.44であり、利益操作のリスクが低いことを示唆しています。

ただし、アルトマンのZスコアは2.11であり、財務的ストレスの「グレーゾーン」に位置しているため、注意が必要です。

さらに、予想配当利回りは過去3年間の最低水準付近にあり、配当収入を重視する投資家にとっての魅力がやや薄れている可能性もあります。

総じて、同社は一部の財務健全性指標では良好な数値を示しているものの、バリュエーション指標や業務効率性、内部関係者の売却活動といった側面から、投資を検討する際には慎重な姿勢が求められるでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

関連コラム

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧


ニューモント(NEM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去1年間におけるニューモント(NEM)のインサイダー取引の動向を見ると、取締役や経営陣による株式売却が顕著であることがわかります。

直近3か月間では、インサイダーによる売却取引が8件あり、購入取引は一切行われていません。このことから、株式を手放す傾向が継続していると考えられます。

期間を過去6か月に広げてみると、売却は16件、購入はわずか1件となっており、この売却傾向がさらに裏付けられます。さらに過去12か月間では、売却が23件、購入は1件のみとなっており、この売却傾向がより顕著に表れています。

このような売却パターンは、インサイダーが将来の企業業績に対して自信を持っていない可能性を示唆しています。ただし、こうした判断には個人的な財務状況や税金対策など、他の要因が影響している可能性もあるため、慎重に解釈する必要があります。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.42%と低く、経営陣や取締役が保有する株式はごくわずかであることがわかります。一方で、プロの機関投資家による保有比率は71.54%と非常に高く、同社に対する強い関心を示しています。

このような乖離は、インサイダーと機関投資家との間で将来の見通しに対する見方が異なっている可能性を示唆しています。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ニューモント(NEM)の流動性に関して

ニューモント(NEM)の流動性および取引状況は、非常にダイナミックな様相を呈しています。過去2か月間における同社の1日平均取引量は13,178,719株となっており、投資家の関心と取引活動が継続的に高い水準で維持されていることがうかがえます。

しかし、直近の取引日では取引量が大きく増加し、31,649,619株に達しました。この急増は、市場イベントやニュース、または投資家心理の変化によって引き起こされた可能性があり、取引活動の活発化を示しています。

ダークプール・インデックス(DPI)は47.06%となっており、全体の取引量のおよそ半分が、公開市場以外のダークプールで行われていることを意味します。このような高いダークプール取引比率は、匿名性や市場への影響を抑えたいプロの機関投資家による大口注文が存在する可能性を示唆しています。

総合的に見ると、同社の現在の取引環境は堅調であり、直近の取引量の急増は市場参加の活発化を浮き彫りにしています。また、DPIの割合が高いことから、個人投資家や一般市場での取引が盛んである一方で、機関投資家も積極的に関与していることがわかります。これにより、公的市場における流動性や価格変動にも影響が及ぶ可能性があります。

そのため、こうした取引のダイナミクスを十分に考慮したうえで売買判断を行う必要があります。特に、ダークプールでの取引が多い場合、それらの注文が公開市場に反映された際に、予想外の価格変動が生じることもありますので、注意が必要でしょう。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


加えて、インベストリンゴのアナリストであるジェームズ・ フォード氏が、同社に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。

そのため、同社への理解を一層深めるために、インベストリンゴのプラットフォーム上より併せてご覧いただければと思います。


🚀お気に入りのアナリストをフォローして最新レポートをリアルタイムでGET🚀

イアニス・ ゾルンパノス氏はバリュー・インカム関連、並びに、テクノロジー銘柄に関するレポートを毎週複数執筆しており、プロフィール上にてフォローをしていただくと、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることができます。

さらに、その他のアナリストも詳細な分析レポートを日々執筆しており、インベストリンゴのプラットフォーム上では「毎月約100件、年間で1000件以上」のレポートを提供しております。

そのため、ゾルンパノス氏の最新レポートに関心がございましたら、是非、フォローしていただければと思います!


📢 知識は共有することでさらに価値を増します!

✨ この情報が役立つと感じたら、ぜひ周囲の方とシェアをお願いいたします✨


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー&インカム・テクノロジー担当

ゾルンパノス氏のその他の配当関連のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ゾルンパノス氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが「高配当銘柄」から「AIや半導体関連のテクノロジー銘柄」まで、米国株個別企業に関する分析を日々日本語でアップデートしております。さらに、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は「250銘柄以上」(対象銘柄リストはこちら)となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームより詳細な分析レポートをご覧いただければと思います。