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01 - 16 - 2024

やや強気
ナイキ
やや強気
ナイキは世界最大のスポーツシューズおよびアパレルの供給企業です。同社は堅実なバランスシートを持ち、安定した増配を続けており、長期的な配当投資家にとって魅力的な投資機会となっています。
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ナイキ / NKE / 予想配当利回り1.5%:連続増配グローバル・ブランド銘柄の株価分析と今後の見通し - 前編

ヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • ブランディングはあらゆるビジネスにとって極めて重要であり、独自のアイデンティティと顧客間のロイヤリティを生み出すのに役立っている。
  • ウォーレン・バフェットは、強力なブランドは、ビジネスを守る上で重要な「モート(競争優位性)」を形成するとして高く評価している。
  • 本稿では、世界最大のアスレチックシューズとアパレルのサプライヤーであるナイキ(NKE:予想配当利回り1.5%)を取り上げたい。

はじめに

ブランディングは、製品、サービス、企業、個人のユニークなアイデンティティを作り出し、ターゲットとなる消費者の心に定着させる上で、常にビジネスの重要な側面となっている。

そして、強力なブランドは、消費者の間で信頼と信用を培うことに繋がる。

個人がブランドを認識し、信頼することで、ロイヤリティが高まり、顧客は競合他社よりもその製品やサービスを選ぶ可能性が高くなる。

伝説的な投資家であるウォーレン・バフェットは、強いブランドを誇る企業が好きなことで知られている。

彼は、コカ・コーラ(KO)、アメリカン・エキスプレス(AXP)、ジレット(Gillette)、アップル(AAPL)といった強力なグローバル・ブランドが享受する競争優位性と価格決定力を見極めることで、数十年にわたって資産を増やしてきた。

“Possessing a powerful worldwide brand is essential for sustained success.”

日本語訳:「持続的な成功には、強力な世界的ブランドを持つことが不可欠である」

ウォーレン・バフェット

そこで、本稿では、世界で最も人気のあるスポーツアパレルブランド、ナイキ(NKE)について説明したい。

ナイキ (NKE:年間予想配当利回り1.5%)

ナイキ(NKE)は、世界最大のアスレチックシューズとアパレルのサプライヤーであり、年間売上高500億ドルを超えるスポーツ用品とアクセサリーの大手メーカーである。

ナイキは、ナイキ直営の小売店、デジタル・プラットフォームを通じた販売、独立系ディストリビューター、ライセンシー、販売代理店を通じて、世界中のほぼ全ての国で製品を販売している。

ナイキはジェネレーションZに最も人気のあるブランドのひとつで、そのポートフォリオはいくつかのサブブランドで構成され、それぞれが特定の層をターゲットにしている。

  • Nike Air Jordan(ナイキ・エア・ジョーダン):バスケットボール愛好家向けスニーカー
  • Cole Haan(コールハーン):高級靴、バッグ、コート
  • Converse(コンバース):若年層向けスポーツ・カジュアルシューズ
  • Hurley(ハーレー):アクティブなライフスタイル向けのスポーツウェア、シューズ、アクセサリー

(出典:ZenBusiness

ナイキの第2四半期決算は、売上高が前年同期比1%増の134億ドルにとどまり、やや精彩を欠いたが、戦略的な価格設定と海上運賃の引き下げにより、粗利益率は44.6%に改善した。

加えて、同社は、純利益が前年同期比19%増の16億ドルとなった一方で、今後3年間で累積20億ドルのコスト削減を実現するために、削減可能項目を特定する取り組みを開始した。

同社が検討しているコスト削減の可能性のある分野には、商品の品揃えの簡素化、自動化とテクノロジーの活用の拡大、組織のスリム化、会社の規模を活かした効率性の向上などが挙げられる。

同社は第2四半期末時点で、バランスシートに99億ドルの現金および現金同等物を計上しており、AA-の信用格付けを得ている。

同社は22年にわたり毎年配当を増配しており、同社の一株当たり四半期配当である0.37ドルは年率1.5%の利回りとなる。

また、配当性向は36%であることからも、スポーツ・アパレルのリーダーである同社は、当分の間、配当成長を続けることができると見ている。

さらに、配当金に加え、同社は手厚い自社株買いでも株主還元を高めてきた。

第2四半期中、同社は以下を含む約17億ドルを株主に還元している。

  • 配当金として5億2300万ドル(前年同期比9%増)

  • 180億ドルの自社株買いプログラムから12億ドルの自社株買い(第3四半期時点で総額約71億ドルを使用済み)

成長の停滞と潜在的な競争圧力の高まりを反映した第2四半期決算を経て、同社の株価は現在フォワードPERベースで24倍で取引されている。

同社のブランド価値は常に割高なバリュエーションを正当化・提供してきた過去があることからも、現在の暴落は、この配当成長企業の押し目買いのタイミングを計る上で、魅力的なエントリー・ポイントを示しているように見える。

※続きは「マリオット / MAR / 予想配当利回り0.9%:連続増配グローバル・ブランド銘柄の株価分析と今後の見通し - 後編」をご覧ください。