やや強気エヌビディアエヌビディア / NVDA / 予想配当利回り0.04%: 2025年1Q決算&株式分割を受けてNVIDIAの株価は急騰(後編)

- エヌビディア(NVDA)のH200とBlackwellの需要が供給を大きく上回っており、この需要超過は来年まで続く見込みである。
- Blackwellは、100以上のOEMおよびODMシステムで利用可能で、Hopperの発売時点での2倍以上のシステムをカバーし、あらゆるデータセンターをサポートするように設計されている。
- 同社のAIインフラ投資はクラウドプロバイダーに高いリターンをもたらし、エヌビディアの業績は今後も成長が期待されるため、同社の株価はまだ割高ではないと見ている。
※「エヌビディア / NVDA / 予想配当利回り0.04%: 2025年1Q決算&株式分割を受けてNVIDIAの株価は急騰(前編)」の続き
需要が供給を上回る状況が継続もエヌビディア(NVDA)の業績に空白期間はなし
心配の種の一つは、HopperからBlackwellへの売上高の大きなシフトが、エヌビディア(NVDA)の業績に空白を生むというものであった。
同社のガイダンスにおいて2025年第2四半期は前四半期比で増収となる見通しであり、第3四半期にはBlackwell経由の売上高が計上される可能性が高いこと、第4四半期には売上高のクロスオーバーが発生する可能性が高いことを考えると、前四半期比で増収となる可能性はまだ十分に残されていると言ってよいだろう。
重要なのは、需要が供給を上回ると言っていることであり、これは昨年、4四半期の連続増収を達成する前に同社が使っていた表現である。
(原文)While supply for H100 grew, we are still constrained on H200. At the same time, Blackwell is in full production. We are working to bring up our system and cloud partners for global availability later this year. Demand for H200 and Blackwell is well ahead of supply, and we expect demand may exceed supply well into next year.
(日本語訳)H100の供給は伸びましたが、H200についてはまだ制約があります。同時に、Blackwellはフル生産体制に入っています。我々は、今年後半にグローバルに利用可能になるよう、システムおよびクラウドパートナーの立ち上げに取り組んでいます。H200とBlackwellの需要は供給を大きく上回っており、来年にかけては需要が供給を上回る可能性があります。
さらに、私はBlackwellのローンチはHopperよりも遥かに大きくなると見ている。
そして、2025年第4四半期のBlackwellのクロスオーバーは、同社の売上高を前四半期比で最高水準に引き上げるのに十分な規模間になるだろうと見ている。
(原文)Blackwell is designed to support data centers universally, from hyperscale to enterprise, training to inference, x86 to Grace CPUs, Ethernet to InfiniBand networking, and air cooling to liquid cooling. Blackwell will be available in over 100 OEM and ODM systems at launch, more than double the number of Hoppers launched and representing every major computer maker in the world.
(日本語訳)Blackwellは、ハイパースケールからエンタープライズまで、トレーニングから推論まで、x86からGrace CPUまで、イーサネットからインフィニバンドネットワーキングまで、空冷から液冷まで、あらゆるデータセンターをサポートするように設計されています。Blackwellは、発売時点で100以上のOEMおよびODMシステムで利用可能で、これは発売されたHoppersの2倍以上であり、世界の主要コンピューター・メーカーを網羅するものである。
一方で、Hopperは成熟していることからも売上総利益率が80%程度であるため、売上総利益率には若干の懸念があるだろう。
実際、エヌビディアは下半期に70%台前半の売上総利益率を見込んでおり、これは直近から大幅な減少ではあるが、サプライチェーンが成熟すれば、来年はもっと高い売上総利益率を確保する余地は十分にあると見ている。
そのため、私としては、エヌビディア王国は万事順調であるように見える。
言い方を変えれば、Blackwellが登場した時に、特にHopper時代の後期の需要が上述のようなものであれば、私たちは同社の将来性において大きなステップアップが期待できると見ている。
(原文)Training and inferencing AI on NVIDIA CUDA is driving meaningful acceleration in cloud rental revenue growth, delivering an immediate and strong return on cloud providers' investment. For every $1 spent on NVIDIA AI infrastructure, cloud providers have an opportunity to earn $5 in GPU instant hosting revenue over 4 years.
(日本語訳)NVIDIA CUDA上でのAIのトレーニングと推論は、クラウドレンタルの売上高成長を有意義に加速させ、クラウドプロバイダーの投資に即座に強力なリターンをもたらしています。クラウドプロバイダーは、エヌビディアのAIインフラに1ドル使うごとに、4年間で5ドルのGPUインスタントホスティング売上高を得るチャンスがあります。
これはAIのゴールドラッシュであり、資本に対するリターンは高く、簡単に引き受けることができるものである。
データセンターを建設し、電力を追加し、すぐに貸し出すといった流れである。
そう、Blackwellはその計算式を変えることになるだろうが、データセンターにスペースがあれば、Blackwellをすぐに導入することができ、業績上の空白を恐れて事を複雑にする必要はない。
さて、ここで、この結果のもうひとつの奇妙な部分に目を向けたい。
エヌビディアは時価総額ランキングを上昇し始めており、そうすることで、市場に重大かつ奇妙な影響を与え始めている。
同社が世界最大の企業になるために時価総額ランキングにおいてランクを上げるにつれて(これは私の予想である)、同社は市場にさらに大きな影響を与え始めるだろう。
エヌビディア(NVDA)がメガキャップになることの意味
この章は、エヌビディア(NVDA)の業績とは関係ないかもしれないが、エヌビディアの株価には関係あることなので、是非聞いていただきたい。
木曜日の同社の株価の値動きは私にとって非常に興味深いものであった。
同社は時価総額において2億ドル以上を追加することとなったが、市場全体は下落していた。
おそらく、新しい大型株のウェイトを追いかけるアクティブ・ファンドによるオペレーションのせいだと見ているが、私は今回の同社株価の値動きを奇妙に感じ、多くのことを考えさせられた。
(出典:Finviz.com)
ここでこの値動きに関して、幾つか理由を探したが、まず最初に思い当たった理由はモメンタムである。
ゼネラル・エレクトリック(GE)とイーライリリー(LLY)は、は今年最もモメンタムの強い数少ない銘柄の一つだが、それでもこの答えに私は納得がいかなかった。
そこで出てきたのが、ある特定の企業が好調なときに何らかの巻き戻しがあるかもしれないというもので、インデックスと個別株を扱う興味深いロング・ショート・ボラティリティ・トレードがあり、それが今回の値動きの理由なのではないかというものである。
とはいえ、残念ながら、この点に関しては、これが「理由」だと断定できるほどの知識を私は兼ね備えていない。
私がここで質問したいことは、エヌビディアの様な巨大な時価総額を持つ企業が日々の株式市場の出来高/売買で日に日に多くのシェアを取り、そして、今回の様にさらに優れた業績を発表した場合にはどのようなインパクトを持つのかということである。
一つには、パッシブ・バイヤー(ETF等のインデックス関連のプロダクトやプレイヤー)による同社株式への上昇圧力が挙げられるだろう。
例えば、誰かが市場で主要なETFを購入するたびに、エヌビディアには買いの圧力がかかり、且つ、将来においては、エヌビディアの指数に占める比率がさらに上昇していくことからも、それらのETFの購入毎の市場におけるインパクトにおいて、エヌビディアがより重要な位置を占めるようになるだろう。
そして、この説明は、アップル(AAPL)のバリュエーションが継続して高水準にある理由の一つかもしれない。
いずれにせよ、エヌビディアは市場予想を上回り続け、さらに、このAIの新時代に何が可能かを世界に示している一方で、彼らは時価総額ランキングにおいて躍進するにつれて、インデックスに占める割合がさらに増加することとなる。
最後に、同社への見通しに関してだが、2025年暦年の同社のEPSが40ドルというシナリオが現実味を帯びてきたと見ている。
そして、この場合、同社のバリュエーションは来年の最終利益の25~27倍となる。
同社の株価は既にかなり上昇したことは理解しているが、私としては、Blackwellには同社に更なる上昇をもたらす可能性があると見ている。
そのため、直近の株価の大幅な上昇にもかかわらず、足元の事業の成長の背景を踏まえると、私としては、エヌビディアはそれほど割高には見えないというのが本音である。