中立ファイザーファイザー(PFE)予想配当利回りは5.94%と魅力的も配当性向116%は要警戒?
- 本稿では、ファイザー(PFE:予想配当利回り5.94%・配当性向116%・1株当たり配当金0.42ドル)の2024年5月1日に発表された最新の2024年度第1四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- ファイザーは医療用医薬品とワクチンの売上が大半を占める世界有数の製薬企業で、海外売上高が総売上の約50%を占め、新興市場が成長に寄与しています。
- 2024年度第1四半期のEPSは大幅に改善し、過去5年間の年平均成長率が20.4%と成長を続け、製薬業界の成長機会を活用し、株主に価値を提供しています。
- 配当利回りは5.94%で、配当性向は116%と高めですが、健全な財務状況と安定した配当が魅力であり、長期投資家にとって有望な投資先となる可能性があります。
ファイザー(PFE)の概要
セクター:医薬品メーカー
現在の株価:28ドル
時価総額:1600.8億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:30.75ドル
安全マージン:8.07%
過去5年間の配当成長率:3.70%
次回配当落ち日:2024年5月9日
次回配当支払い日:2024年6月14日
予想配当利回り:5.94%
過去5年間の売上高成長率:16.70%
過去10年間の売上高成長率:5.80%
ファイザー(PFE)は世界最大級の製薬会社で、COVID-19関連製品の売上を除いたベースの年間売上高でも500億ドル近い水準となっている。
歴史的に多くの種類のヘルスケア製品や化学薬品を販売してきたが、現在は医療用医薬品とワクチンが売上の大半を占めている。
トップセラーには、肺炎球菌ワクチン「プレブナール13」、抗がん剤「イブランス」、心血管系治療薬「エリキス」などがある。
同社はこれらの製品を世界的に販売しており、海外売上高は総売上高の50%近くを占めており、海外売上高の中では新興市場が大きく貢献している。
また、同社は2024年5月1日に2024年度第1四半期決算を発表している。
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ファイザー(PFE)の収益と成長に関して
ファイザー(PFE)の2024年度第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPSは前四半期の0.10ドルから0.82ドルに大幅に改善しており、一方で、一株当たり売上高は2.612ドルと順調に推移している。
加えて、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は20.40%で、過去10年間の年平均成長率は3.80%となっており、同社の最近のパフォーマンスは加速しているように見える。
また、今後10年間、製薬業界は革新的な治療法やヘルスケアの進歩にますます焦点が当てられ、安定した成長が見込まれている。
そして、同社の過去の財務レバレッジの程度は中程度であり、負債を効果的に管理しながら成長を促進出来ていると言える。
以上より、上述の堅調な収益と成長軌道を踏まえると、ファイザーは製薬業界の成長機会を上手く活用し、株主に価値を提供し続けることができる体制を整えているように見える。
ファイザー(PFE)の配当に関して
ファイザー(PFE)の過去5年間の配当成長率は3.70%であり、過去3年間の配当成長率は2.60%となっており、足元配当成長率がやや減速していることが分かる。
一方で、EBITDA純有利子負債倍率は10.12と比較的低く、健全な財務状況を示している。
また、同社は、現在、5.94%の魅力的な予想配当利回りを提供している。
そして、直近の四半期では、2024年5月9日が配当落ち日で、2024年6月14日に支払われる配当として、一株当たり0.42ドルの配当を発表している。
これは同社の配当の歴史に沿ったものであり、長年にわたり同様の水準で一貫した配当が行われてきている。
加えて、同社を同セクターと比較すると、同社の配当実績は堅調で、配当成長率と予想配当利回りの面で多くの同業他社を上回っていることが分かる。
以上より、配当による安定収入を求める投資家は、安定した配当支払いと配当成長率を踏まえると、ファイザーを魅力的に感じるかもしれない。
予想配当利回り:5.94%
配当性向:116%
配当カバレッジ・レシオ:-0.03
過去5年間の配当成長率:3.70%
EBITDA純有利子負債倍率:10.12
ファイザー(PFE)のバリュエーションに関して
ファイザー(PFE)の現在の株価である27.77ドルは、弊社算出の一株当たり本質的価値である30.75ドルを下回っており、割安の可能性を示している。
また、株価売上高倍率は2.9となっており、投資家が同社の売上高1ドルにつき2.9ドルを支払うことを望んでいることを示唆しており、これは業界平均と一致している。
一方で、EV/EBITDA倍率は30.77と比較的高水準であり、同社株価がEBITDAベースで過大評価されている可能性がある。
しかし、5年平均や10年平均と比較すると、同社の現在のバリュエーション指標は全体的にやや割安であるようにも見える。
全体として、ファイザーは過去の平均値や同業他社と比較して妥当な水準で取引されている一方で、弊社算出の一株当たり本質的価値に基づくと、今後、さらに上昇する可能性があるようにも見える。
ファイザー(PFE)のリスクとリターンに関して
ファイザー(PFE)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい。
まずマイナス面では、足元の同社の在庫日数指標は商品販売が困難になる可能性を示している一方で、売上総利益率と営業利益率の低下は収益性の課題を示唆している。
また、116%という高い配当性向は、今後の配当支払いの持続可能性に懸念を抱かせる水準である。
さらに、実績PERは81.86と10年来の高水準にあり、1株当たり売上高も減少しており、投資家にとっては赤信号であると言える。
加えて、投下資本利益率が加重平均資本コストを下回っていることは、資本効率の悪さを示している。
一方でプラス面では、ベニッシュMスコアが-2.35で、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している。
また、同社の株価は10年来の安値に近く、バリュー投資家にとっては魅力的な水準に見えるかもしれない。
加えて、予想配当利回りは10年ぶりの高水準に近く、魅力的な配当支払いのポテンシャルを提供していると言える。
全体として、投資家はファイザーへの投資判断を下す前に、これらのリスク要因を慎重に検討すべきである。
ファイザー(PFE)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ファイザー(PFE)の過去12ヶ月のインサイダーによる同社株式の取引活動は低水準で、2件のインサイダーによる同社株式の買い付けが確認されたのみで、インサイダーによる同社株式の売却取引は報告されていない。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずかに0.28%である点にはご留意いただきたい。
一方で、機関投資家の同社株式の保有比率は44.41%と比較的高く、機関投資家が同社に大きな関心を寄せていることを示唆している。
以上より、インサイダーのトレンド分析によると、同社の取締役および経営陣は過去1年間、同社株式の売買を積極的に行っていないことから、これはインサイダーが同社に対して安定した見通しを持っている可能性を示唆している。
また、インサイダーによる同社株式の売却が一切ないことは、同社の業績と将来見通しに対してインサイダーが自信があることを示している可能性がある。
そして、機関投資家の同社株式の保有比率が高いことは、大口投資家のファイザーに対するポジティブなセンチメントをさらに裏付けている。
ファイザー(PFE)の流動性に関して
ファイザー(PF)の直近営業日の1日当たり出来高は38,630,977株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は41,865,605株となっており、一貫した取引活動が行われていることが分かる。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は36.86%で、取引活動のかなりの部分がダークプールで行われていることを示している。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。
全体として、ファイザーの流動性は健全で、取引量は多く、DPIの比率は中程度であることからも、同社株式は流動性の高い有望な投資対象となる可能性がある。
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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
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