中立ファイザーファイザー(PFE)今後の株価見通し:予想配当利回りは5%も配当性向123%は懸念材料?最新決算も減益で要注意?
- 本稿では、ファイザー(PFE:予想配当利回り5.57%・配当性向123%・1株当たり配当金0.42ドル)の2024年7月30日に発表された最新の2024年度第2四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
- そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
- ファイザーは、医薬品やワクチンの開発に力を入れる米国の製薬企業で、COVID-19ワクチンなど多様な製品ポートフォリオを持ち、積極的なM&A戦略で成長を図っています。
- 同社の財務状況は安定しているものの、配当性向が高く、長期的な配当の持続可能性や資本効率の改善が課題となっています。
- ファイザーは流動性が高く、機関投資家の関与が強く、ダークプールでの取引も多いため、売買機会を求める投資家にとって流動性の高い魅力的な銘柄となっています。
ファイザー(PFE)の概要
レーティング:中立
バリュエーション:フェアバリュー並み
リスクレベル:中程度
セクター:医薬品メーカー
現在の株価:30ドル
時価総額:1708.5億ドル
弊社算出の一株当たり本質的価値:27.14ドル
安全マージン:-11.08%
過去5年間の配当成長率:3.70%
前回の配当落ち日:2024年7月26日
次回配当支払い予日:2024年9月3日
予想配当利回り:5.57%
過去5年間の売上高成長率:16.70%
過去10年間の売上高成長率:5.80%
ファイザー(PFE:予想配当利回り5.57%・配当性向123%・1株当たり配当金0.42ドル)は、米国を拠点とするグローバルな製薬企業で、世界中の患者に革新的な医薬品とワクチンを提供しています。同社は研究開発(R&D)への積極的な投資を行っており、特にがん治療、希少疾患、免疫学、抗ウイルス薬の分野で優れた成果を上げています。ファイザーのユニークな特徴の一つは、COVID-19ワクチンの開発と製造におけるリーダーシップで、これは同社の技術力と市場対応力を示しています。
ビジネスの多様性においては、ファイザーは医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品、消費者向けヘルスケア製品など、広範な製品ポートフォリオを持っています。特に、慢性疾患治療薬や予防医療製品のラインナップが充実しており、安定した収益基盤を形成しています。また、積極的なM&A戦略も同社の成長を支えています。最近では、バイオジェンの提携企業であるバイオヘイブン・ファーマシューティカルズ・ホールディングの買収を完了し、神経疾患の治療分野を強化しています。
財務状況に関しては、同社は強固な財務基盤により、株主還元策にも力を入れており、安定した配当金の支払いを続けています。全体として、ファイザーは革新的な製品開発、戦略的買収、安定した財務パフォーマンスにより、長期的な成長が期待できる投資対象となっています。
そして、同社は2024年7月30日に2024年度第2四半期決算を発表しています。
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ファイザー(PFE)の最新の2024年第2四半期決算に関して
ファイザー(PFE)は、2024年6月30日に終了した最新の2024年度第2四半期決算において、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)は0.6ドル(前四半期:0.82ドル)、希薄化後のEPSは0.01ドル(前四半期:0.55ドル)、また、1株当たり売上高も2.332ドル(前四半期:2.61ドル)といずれも前四半期比で減少する着地となっています。
一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、下記のチャートからも分かる通り、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は20.40%で、過去10年間の年平均成長率は3.80%となっており、足元では成長がさらに加速しており、ポジティブな兆候であると言えます。
また、今後10年間、医薬品業界は安定した成長を続けると予測されており、ファイザーの成長軌道を後押しする環境となっていると言えます。
※チャート上の値は年間ベースであり、非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI)の直近4四半期の合計値
ファイザー(PFE)の財務パフォーマンスに関して
ファイザー(PFE)の財務パフォーマンスを、総資産利益率(ROA)、自己資本利益率(ROE)、投下資本利益率(ROIC)、ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC)、加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます
まず、過去5年間のROAの中央値は9.80%は、同社の資産から利益を生み出す能力を示しています。
また、過去5年間のROEの中央値は25.33%で、株主資本から生み出されるリターンを反映しています。
さらに、過去5年間のROICの中央値は5.53%となっており、投下資本からのリターンを生み出す上での同社の効率性を示しており、過去5年間のROCの中央値は83.05%で、強力な経済的な価値を生み出す能力を示していると言えます。
ただし、足元のROICの水準は0.42%である一方で、足元のWACCの水準は5.32%となっており、ROICがWACCを下回っていることから、足元、同社は経済的な価値を生み出していないことになります。
全体として、足元、ファイザーは経済的価値を生み出す能力を高めるために、収益性の改善と資本配分戦略に注力する必要があるように見えます。
ファイザー(PFE)の配当に関して
ファイザー(PFE)は過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は3.70%で、過去3年間の配当成長率は2.60%となっています。
また、1株当たり配当金0.42ドルとなっており、現在の予想配当利回りは5.57%で、配当収入を求めるインカム投資家にとって魅力的なリターンを示しています。
しかし、配当性向が123%と高いことから、長期的には配当支払いの持続可能性が懸念されます。
加えて、EBITDA純有利子負債倍率は13.58倍で、一般的なガイドラインを大幅に上回っています。
一般的に、4倍を超えるEBITDA純有利子負債倍率は財務リスクの高さを示唆しており、同社の場合、債務返済能力に対する懸念が生じる可能性があります。
投資家は、財務の安定性と配当支払いの持続可能性を確保するため、同社の債務レベルの管理能力を注意深く監視する必要があると言えます。
さらに、同セクターと比較すると、ファイザーの負債水準は高いように見受けられ、EBITDA純有利子負債倍率が高いことに伴う財務リスクの高さを考慮すると、投資家は同社への投資を検討する際には注意を払う必要があるでしょう。
予想配当利回り:5.57%
配当性向:123%
配当カバレッジ・レシオ:-0.27
過去5年間の配当成長率:3.70%
EBITDA純有利子負債倍率:13.58倍
※DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
※Dividend Yield:予想配当利回り
※Dividend Payout:配当性向
ファイザー(PFE)のバリュエーションに関して
ファイザー(PFE)の現在の株価は30.15ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である27.14ドルをわずかに上回っており、やや割高なバリュエーションであることを示唆しています。
また、株価売上高倍率は3.06倍で、EV/EBITDA倍率は45.46倍となっており、これらの指標からも株価が割高で取引されている可能性を示唆しています。
一方で、予想PERは13.08倍と今後の利益成長の可能性を示しており、水準感としては、過去の水準感と概ね一致していると言えます。
過去5年平均、および、過去10年平均と比較すると、同社は株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率において割高で取引されているように見えます。
全体として、ファイザーの現在のバリュエーション指標は同社への投資を検討する際に慎重になることの重要性を示唆していることから、投資判断を下す前にはより包括的な分析が必要でしょう。
ファイザー(PFE)のリスクとリターンに関して
ファイザー(PFE)のリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まずマイナス面では、在庫日数指標は商品の販売が困難になる可能性を示唆し、低いピオトロスキーのFスコアは経営不振を示しています。
また、売上総利益率と営業利益率の長期的な低下は憂慮すべきもので、それぞれ年平均-6.6%と-7.6%となっています。
さらに、配当性向が123%と高く、今後の配当支払いの持続可能性に懸念を抱かせる水準であると言えます。
加えて、一株当たり売上高の減少と、2年ぶりの高水準に迫る株価売上高倍率は、同社の割高感をさらに強調しているようにも見えます。
そして、財務パフォーマンスの章でも述べたように、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を下回っていることは、資本利用の非効率性を示していると言えます。
また、アルトマンのZスコアは1.85とグレーゾーンにあり、財務上のストレスを示唆していると言えます。
一方プラス面では、ベニッシュのMスコアは-2.48で、基準値の-1.78を下回っていることから、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示しています。
ファイザー(PFE)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
ファイザー(PFE)の過去12ヶ月間のインサイダーによる同社株式の売買活動は限定的で、インサイダーによる同社株式の買い付け取引は1件で、インサイダーによる同社株式の売却取引はありませんでした。
これは、同社の取締役および経営陣の間で同社株式への売買活動がないことを示しています。
ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.28%である点にはご留意ください。。
一方、機関投資家の同社株式の保有比率は65.24%と非常に高く、同社株式への機関投資家からの強い関心と投資を示している。
全体として、インサイダー取引の分析と傾向から、ファイザー株の取引におけるインサイダーの関与は限定的であるものの、機関投資家が同社株式の売買活動において重要な役割を果たしていることが示唆されています。
ファイザー(PFE)の流動性に関して
ファイザー(PFE)の流動性は高く、直近営業日の一日の出来高は15,148,299株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は34,667,088株となっており、足元で売買活動が少し低調になっているものの、同社株式に対する一貫した取引があることを示唆しています。
また、同社株式のダークプール指数(DPI)は27.79%となっており、取引活動の一定の部分がダークプールで行われていることを示しています。
※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性があります。
そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性があります。
また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言えます。
全体として、ファイザーは流動性が高いことから、活発な売買機会を求める投資家にとって魅力的な銘柄であるように見えます。
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アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏
📍バリュー・インカム担当
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