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11 - 03 - 2024

中立
ファイザー
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ファイザー(PFE)の現在の株価は28.3ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である28.03ドルよりもわずかに高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-0.96%となっていることから、やや割高である可能性が示唆されています。
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ファイザー(PFE)の将来性とは?最新の2024年度第3四半期決算は好調も低下する利益率には要注意?

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • 本稿では、ファイザー(PFE:予想配当利回り5.91%・配当性向65%・1株当たり配当金0.42ドル)の2024年10月29日に発表された最新の2024年度第3四半期決算と配当推移に関するトレンド、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。
  • そして、それらの分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳細に解説していきます。
  • ファイザーは世界有数の製薬企業で、安定した収益性を維持しているものの、利益率が低下傾向にあり、効率的な経営が求められています。
  • 同社は高い予想配当利回り(5.91%)と四半期ごとの安定した配当が魅力的で、インカム投資家にとって興味深い存在ですが、財務リスクも存在しています。
  • ファイザーの最新決算では、EPSが改善し、売上が増加した一方、配当維持に課題があり、今後の経営戦略と効率向上が重要となるでしょう。

ファイザー(PFE)の概要


レーティング:中立

バリュエーション:適正価格並み

リスクレベル:中リスク


セクター:製薬

現在の株価:28ドル

時価総額:1,603.7億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:28.03ドル

安全余裕率(マージン):-0.95%

過去5年間の配当成長率:3.70%

次回配当落ち日:2024年11月8日

次回配当支払い日:2024年12月2日

予想配当利回り:5.91%

過去5年間の売上高成長率:16.70%

過去10年間の売上高成長率:5.80%


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

ファイザー(PFE:予想配当利回り5.91%・配当性向65%・1株当たり配当金0.42ドル)は、米国ニューヨーク州に本社を構える世界有数の製薬企業です。

同社は創業以来、処方薬やワクチンの分野において豊富な製品ラインを展開しており、肺炎球菌ワクチン「プレベナー13」、がん治療薬「イブランス」、心血管治療薬「エリキュース」など、グローバル市場で高い売上を誇る主力製品を持っています。

近年では、COVID-19ワクチンの開発・供給においても大きな役割を果たし、医療業界内での地位をさらに強固にしました。

ファイザーのユニークな特徴は、長年にわたり革新と成長を続けながら、処方薬からワクチンまで幅広い製品群を提供し、特に新興市場での販売が拡大している点です。

財務面では、ファイザーは2024年第3四半期での特別項目を除く1株当たり利益(EPS)で前年同期から大幅に回復を見せるなど、安定した収益性を維持しています。

しかし、売上総利益率や営業利益率が近年低下傾向にあり、利益率を維持するための効率的な経営が求められています。

配当支払いに関して、ファイザーは現在1株あたり0.42ドルの四半期配当を維持しており、予想配当利回りは5.91%と高く、配当収入を重視するインカム投資家には魅力的に映るかもしれません。

配当性向は65%と持続可能な水準ですが、過去には100%を超えた時期もあり、安定的な配当維持が課題とされています。

また、ファイザーは成長戦略の一環として買収も積極的に行っており、事業の強化と製品ライン拡充に努めています。

そして、同社は20241029日に2024年第3四半期決算を発表しています。

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ファイザー(PFE)の最新の2024年度第3四半期決算発表に関して

ファイザー(PFE20241029日に発表された、最新の2024年度第3四半期決算発表では、非経常損益項目を除くベースでのEPSは1.06ドルを記録し、第2四半期の0.60ドルや前年同期の-0.17ドルから大幅に改善しました。

この回復は四半期ベースで76.7%の成長を示し、昨年の損失からの大きな転換点となり、企業運営の調整が成功したことを裏付けています。

1株当たり売上高も前四半期の2.332ドルから3.103ドルに増加し、売上パフォーマンスの力強い伸びが見られます。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は10.60%、過去10年間の年平均成長率は4.80%となっており、足元では成長がやや加速していることが分かります。

また、第3四半期の売上総利益率は67.55%で、過去5年の中央値である65.77%を上回り、業界の厳しい状況の中でも効率的なコスト管理が行われていることを示しています。

過去10年の売上総利益率は57.34%から80.69%のレンジで変動しており、同社が市場環境に柔軟に対応してきたことが伺えます。

しかし、同社は自社株の買い戻しには積極的ではなく、過去1年間の自社株買い比率は-0.40%で、発行済株式数が若干増加していることを示しています。

今後、市場のアナリストは2024年の売上を62,389百万ドル、2026年には63,717百万ドルに増加すると予想し、EPSも来年度1.567ドル、翌年には2.245ドルまでの成長を見込んでいます。

さらに、医療業界は今後10年間、年平均成長率5.3%で成長が見込まれ、ファイザーの戦略にも追い風となるでしょう。

次回決算発表は2025年1月30日予定で、同社の今後の業績や戦略についてさらなる情報が得られるでしょう。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ファイザー(PFE)の財務パフォーマンスに関して

ファイザー(PFEの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

過去5年の中央値で見ると、同社のROICは5.53%でWACCの5.40%をわずかに上回り、僅かながらも経済価値を生み出していることがわかります。

これは、同社が投資資本を効率的に活用し、資本コストを上回るリターンを得ていることを意味しますが、その差はごく小さいものとなっています。

直近のデータでは、ROICは5.52%で現在のWACC(5.67%)をわずかに下回っており、投資リターンが資本コストをカバーしきれていないため、若干の価値減少が示唆されます。

それでも、過去にはROICが最大20.26%に達した実績があり、大きな価値創出の可能性を秘めていることがわかります。

以上より、ファイザーのROICやWACCは年々変動しており、資本コストを超えるだけでなく、安定した運営効率と戦略的な資本配分を維持することが、持続的な価値創出には欠かせないことを示しています。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ファイザー(PFE)の配当に関して

ファイザー(PFE) の配当は過去数年間で緩やかに成長しており、過去5年間の成長率は3.70%、過去3年間の成長率は2.60%となっています。

また、最新の四半期でも1株あたり0.42ドルの配当金が維持されており、増加はありませんが安定性が見られます。

さらに、予想配当利回りは5.91%で、製薬業界の中でも競争力がありますが、将来の配当成長率は1.55%と予想され、増加余地は限られているようにも見えます。

一方で、同社のEBITDA有利子負債倍率は5.13倍で、一般的な4.0を超えており、やや財務リスクが高い状況です。

基本的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされており、この高いレバレッジは、将来的な配当増加を抑制する可能性があります。

この高いレバレッジが将来の配当増加に対する制約となり、負債削減が優先される可能性もあります。

加えて、配当性向は65%で持続可能な範囲にありますが、過去の中央値が100%を超えていたことから、配当を維持する上で課題があった時期もあることが分かります。

このような背景と控えめな配当成長予測を踏まえると、同社に対しては期待は出来るものの、慎重に検討することが必要と言えるでしょう。

次の権利落日は2025年11月8日の予定で、四半期ごとの配当支払いスケジュールに沿っています。

予想配当利回り:5.91%

配当性向:65%

配当カバレッジ・レシオ:0.44倍

過去5年間の配当成長率: 3.70%

EBITDA有利子負債倍率:5.13倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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ファイザー(PFE)のバリュエーションに関して

ファイザー(PFEの現在の株価は28.3ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である28.03ドルよりもわずかに高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-0.96%となっていることから、やや割高である可能性が示唆されています。

これは市場の変動に対するクッションがほとんどなく、ほぼ適正価格で取引されていることを意味します。

また、予想PERは9.74倍で、直近過去12ヶ月ベースの実績PERの38.24倍よりも遥かに低く、将来の利益成長が期待されていますが、過去10年平均の18.95倍と比べるとやや高く、過去の利益水準から見るとやや過大評価の可能性も示唆されます。

加えて、現在のEV/EBITDAレシオは16.67倍と、過去10年の平均である12.86倍を上回り、収益に対して割高感が見られます。

一方、PBRは1.83倍で過去10年平均の3.05倍を下回り、簿価に対しては割安に見えます。

株価売上高倍率倍も2.66倍と過去10年の最低値である2.21倍に近く、売上高に対しては割安感がありますが、株価フリー・キャッシュフロー倍率は33.11倍と過去10年平均の14.88倍を大きく上回り、フリー・キャッシュフローに基づくバリュエーションでは割高であることが分かります。

しかし、市場のアナリストは同社に対して慎重ながらも楽観的で、現在の目標株価は33.15ドルと過去よりやや高く、控えめな成長期待を反映していると言えます。

全体として、安全余裕率がわずかでバリュエーション指標も割安と割高が入り混じっているため、ファイザーへの投資を検討する際には、慎重な判断が求められるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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ファイザー(PFE)のリスクとリターンに関して

ファイザー(PFEのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

まずマイナス面では、売上総利益率は年平均で6.6%、営業利益率は7.6%の減少傾向にあり、利益率が徐々に低下している状況です。

さらに、1株あたりの売上が前年から減少していることから、成長や運営効率の維持が課題になっていると考えられます。

また、在庫の増加は製品の売れ行きが鈍化している可能性を示しており、保管コストの増加やキャッシュフローの減少が懸念されます。

加えて、株価と株価売上高倍率倍が上昇している一方で、財務面の制約を考えるとこの水準の維持は難しいかもしれません。

一方で、ベネッシュのMスコアが-2.24であることから、財務諸表の不正操作は行われていない可能性が高く、報告内容に一定の信頼が置けます。

しかし、ファイザーの財務の不安定な指標や利益率の低下を踏まえると、投資家は慎重な姿勢が求められるでしょう。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

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ファイザー(PFE)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

過去12ヶ月間で、ファイザー(PFEのインサイダー取引を分析すると、全体的に安定した動向が見られます。

直近過去3ヶ月では、インサイダー買いが1件、売りが1件で、取引はバランスが取れていると言えます。

この傾向は直近過去6ヶ月間でも変わらず、買いと売りが同数であり、インサイダーの見解に大きな変動はないようです。

直近過去12ヶ月の期間では買いが2件、売りが1件とやや買いが上回っており、わずかながら前向きな姿勢を示している可能性があります。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.28%と低く、経営陣や取締役の持ち株は少ないため、インサイダー取引が株価に与える影響は限定的と考えられます。

一方で、プロの機関投資家の同社株式の保有比率は66.16%と高く、プロの機関投資家の動きが同社の株価に強い影響を及ぼしていることがうかがえます。

以上より、ファイザーのインサイダー取引は、全体的にやや前向きな見解を反映しているものの、大きな方向性の変化は見られないというのが現状です。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


ファイザー(PFE)の流動性に関して

ファイザー(PFE)は流動性が高く、直近営業日の出来高は37,234,925株で、過去2ヶ月間の平均出来高である32,075,613株を上回っています。

これは市場参加者が多く、投資家が大きな価格変動なく同社株式におけるポジションを取引しやすい状況を示しています。

また、同社のダークプール指数 (DPI) は27.73%で、相当数の取引が通常の取引所外で行われていることがわかります。

これは機関投資家や大規模な取引が目立たない形で行われていることを示唆しており、プロの機関投資家の関心が高いことや、株価の安定化、戦略的ポジショニングの可能性を示しています。

全体として、ファイザーの流動性指標は十分な取引量があり、大口の取引にも対応できる健全な取引環境を反映しています。

ただし、DPIが高いことで、一部の取引は公開市場で即座に反映されないため、市場の動向が一部見えにくくなる可能性もあります。

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関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


アナリスト紹介:イアニス・ゾルンパノス氏

📍バリュー・インカム担当

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