やや強気フィリップ モリス インターナショナルすべて表示フィリップ・モリス(PM:強気)と日本たばこ産業(JT)の比較:両社の強みと財務分析を通じて今後の株価見通しに迫る!
ウィリアム・ ゼットラー- フィリップ・モリス(PM:予想配当利回り5.6%)は時価総額1,560億ドルでトップのたばこ会社であり、日本たばこ産業は時価総額370億ドルで5位である。
- 財務指標を見ると、フィリップ・モリスは日本たばこ産業に比べ、株価 / 売上高、株価 / 利益、負債 / EBITDAの比率が優れている。
- フィリップ・モリスは配当銘柄としての実績があり、アナリストの評価も高いため、安定した増配を期待できる。
概要
フィリップ・モリス(PM)と日本たばこ産業(JT)社は、世界最大級のたばこ会社である。
両社ともタバコ会社の時価総額でトップ5に入る。フィリップ・モリスは時価総額1,560億ドルで第1位、日本たばこ産業は時価総額370億ドルで第5位である。
収益に関しては、フィリップ・モリスは 330億ドルで2位、 日本たばこ産業は 200億ドルで5位である。
この記事では、両社の歴史と、2024年に向けての各社の潜在的な業績の優位性を分析する。
1.財務諸表
株式、特に配当株を選択する際の意思決定プロセスの主要な部分は、企業の将来的な存続可能性である。少なくとも現在の配当を維持し、さらに将来は毎年増配する財務能力がどの程度あるのかを分析する必要がある。
両社の財務指標を過去12ヵ月後ベースで比較した場合、下記の指標に注目すべきであると考える。
まず、株価売上高倍率であるが、フィリップ・モリスは日本たばこ産業の2倍以上の4.3倍であるのに対し、日本たばこ産業は1.8倍しかない。これは、日本たばこ産業がフィリップ・モリスに比べて割安であることを示唆している。
両社の売上総利益率は高く、フィリップ・モリスが63%で、日本たばこ産業の57%に勝っている。このような大きなマージンは、両社が莫大なキャッシュフロー、ひいては配当を生み出す可能性があることを示している。しかし、時価総額に対する売上総利益率に基づくと、日本たばこ産業(JT)の利益率はフィリップ・モリスの28%から15%よりはるかに高い。ここでも、日本たばこ産業の方が時価総額に基づく価値が高いことを示しているのかもしれない。
株価収益率(PER)については、日本たばこ産業の天文学的な1100に比べ、フィリップモリスは15とはるかに良い値である。
EBITDA有利子負債倍率については、フィリップ・モリスの2.7倍に対し、日本たばこ産業は0倍であり、日本たばこ産業の方がはるかに負債が少ないことを示している。
日本たばこ産業のフリー・キャッシュ・フローに対する株価の比率は11.8倍で、フィリップ・モリスの19.3倍よりはるかに低い。
このことは、他のすべての指標が改善していると仮定すれば、日本たばこ産業が投資対象として、より適した企業であることを示唆している。
予想配当利回りを見ると、フィリップ・モリスの5.6%に対し、日本たばこ産業は6.6%と高いが、収益が落ち込んでいるため、日本たばこ産業は近い将来減配を考えているかもしれない。
財務指標を総合すると、両社とも堅実なキャッシュフロー創出企業だが、フィリップ・モリスの利益とフリー・キャッシュフローは日本たばこ産業を大きく上回っている。
財務指標に基づけば、フィリップ・モリスが勝者である。
2. 配当と自社株買い
フィリップ・モリスは14年連続で増配している。過去10年間を見ると、フィリップモリスは年平均4%増配している。
一方、日本たばこ産業(JT)は過去5年間、1株当たり年間$.54から$.85を支払い、過去5年間の平均は$.69だった。
つまり、安定した、一貫して増加する配当金を探しているなら、フィリップ・モリスが選ばれるのは明らかである。
自社株買いによる流通株式の減少は、同じ総支払額であっても、株数が少ないほど1株当たりの配当金が多くなるため、配当の安定性を高める。
自社株買いに関しては、両社とも過去10年間実施しており、フィリップ・モリスが約4%、日本たばこ産業が約3%の自社株買いを行っている。
以上より、配当と自社株買いのアドバンテージはフィリップ・モリスにある。
3.リスク
全てのたばこ会社に当てはまるリスクは、たばこ製品の販売に関する政府規制のリスクが高まることである。
加えて、世界的なタバコの消費量は数十年に渡り減少しており、現在も減少を続けている。
世界保健機関(WHO)によると、2000年以降、インドネシアと中国を除く世界の主要国で喫煙者数が減少している。需要が減少する中で、果たして、たばこ会社はいつまで値上げを続けられるのだろうか。
現在のような不安定な市場環境では、現金という選択肢もある 。譲渡性預金の金利は現在5%を超えており、文字通りここ数年見られなかった数字だ。
さらに、何人かのエコノミストによれば、景気後退、あるいは恐慌が起こる可能性さえある。そうなれば、良いケースでも利益を出しにくく、最悪の場合は損失が出る可能性がある。その為、あらゆる投資オプションについて、自分なりのデューデリジェンスを行ってほしい。
結論
配当株について判断する際、考慮しなければならないことは、その株をどのくらいの期間保有するつもりかということである。フィリップ・モリスが14年連続で増配していること、そして日本たばこ産業の配当金が年によって異なることは、上記の内容からも明らかだ。
フィリップ・モリスと日本たばこ産業の過去5年間のトータル・リターン(配当込み)のパーセンテージを比較すると、フィリップ・モリスは48%増、日本たばこ産業は9%減と、リターンに差があることが分かる。
以上より、私のフィリップ・モリス株式に対する見通しは「強気」である一方で、日本たばこ産業に対する見通しは「中立」である。
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アナリスト紹介:ウィリアム・ ゼットラー
📍バリュー担当
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