【高配当】フィリップ・モリス(PM)の株価の今後の見通しとは?
- 本稿では、注目の米国上場高配当タバコ株であるフィリップ・モリス(PM:予想配当利回り3.21%・配当性向79%・1株当たり配当金1.35ドル)の2025年4月23日に発表された最新の2025年度第1四半期決算と配当推移の分析を通じて、株価の今後の見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- フィリップ・モリスは、加熱式たばこなどリスク低減型製品への移行とスウェディッシュ・マッチの買収により、事業の多角化と成長を進めているグローバルたばこメーカーです。
- 同社はROICがWACCを大きく上回る高収益性を維持しており、EPSも着実に成長しているほか、予想配当利回りは3.21%と配当株としての魅力も備えています。
フィリップ・モリス(PM)の概要
セクター:タバコ製品
現在の株価:169ドル
時価総額:2,633.2億ドル
過去5年間の配当成長率:2.80%
前回配当落ち日:2025年3月20日
前回配当支払い日:2025年4月10日
予想配当利回り:3.21%
過去5年間の売上高成長率:5.40%
過去10年間の売上高成長率:2.70%
関連用語
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
フィリップ・モリス(PM:予想配当利回り3.21%・配当性向79%・1株当たり配当金1.35ドル)は、アメリカ・ニューヨーク州に本社を構える世界有数のたばこ製品メーカーです。紙巻きたばこに加え、加熱式たばこ「iQOS」や電子たばこ、経口ニコチン製品など、リスク低減型製品(RRPs)にも注力しており、従来の喫煙市場から脱却を図る戦略が特長です。2023年にはスウェディッシュ・マッチを買収し、米国およびスカンジナビア市場への事業拡大と非燃焼製品領域の強化を進めました。
配当面では、配当性向は約79%と高水準ながらも持続可能と見られ、予想配当利回りは3.21%と、配当株としても一定の魅力を保っています。インサイダーによる売却が続いている点は留意が必要ですが、機関投資家による保有比率は80%超と高く、市場からの信頼も厚い企業です。
そして、同社は2025年4月23日に2025年第1四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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フィリップ・モリス(PM)の最新の2025年度第1四半期決算発表に関して
フィリップ・モリス(PM)は、2025年4月23日に発表された最新の2025年度第1四半期決算において、一時的要因を除いたEPS(1株当たり利益、NRI除外ベース)が1.69ドルとなり、前四半期の1.55ドルおよび前年同期の1.50ドルから成長したことを報告しました。一方で、1株当たり売上高は前四半期の6.238ドルから5.974ドルに減少したものの、前年同期の5.655ドルからは増加しています。
同社のEPS(NRI除外ベース)の5年間の年平均成長率(CAGR)は3.60%で、10年間のCAGRは3.20%となっています。また、最近の予測によると、たばこ業界全体は今後10年間で年間約2.3%の成長が見込まれています。
当四半期の粗利益率は65.68%で、過去5年間の中央値である64.81%をやや上回ったものの、10年間の最高値である68.06%には届きませんでした。なお、同社は過去5年間にわたり自社株買いを行っておらず、直近1年間の自社株買い比率は-0.10%となっており、株式数がわずかに増加していることを示しています。このように自社株買いが行われていないため、同社のEPS成長は主に業績面の改善によってもたらされているといえます。
今後の見通しとして、アナリストは次期会計年度のEPSを7.022ドルと予想しており、さらにその翌年には7.826ドルまで増加すると見込まれています。売上高も着実に成長すると予測されており、2027年には469億6,121万ドルに達する見通しです。
次回の決算発表は2025年7月22日に予定されており、同社の戦略的取り組みや市場環境に関するさらなる情報が期待されています。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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フィリップ・モリス(PM)の財務パフォーマンスに関して
フィリップ・モリス(PM)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社は、ROICがWACCを一貫して上回っており、強力な経済的価値創出を実現していることが示されています。同社の5年間のROICの中央値は24.95%で、直近のROICは20.86%となっており、現在のWACCが6.24%、5年間の中央値が6.14%であることと比較しても、はるかに高い水準にあります。
ROICとWACCの間にこれほど大きな差があることは、同社が資本を効率的に活用し、資本コストを大きく上回るリターンを生み出していることを意味しており、株主価値の創出に貢献しています。同社のROICがWACCを大きく上回っている点は、経営陣による効果的な経営判断および資本配分戦略を反映しており、たとえ自己資本比率がマイナスとなりROEの数値に影響を与えている状況下でも、持続可能な成長を支える要因となっています。
特にROICが10年間で最高36.46%に達したことは、同社が市場における競争優位性と業務効率を維持してきた能力を示しており、同社の強みを裏付けるものです。
全体として、同社の財務パフォーマンスは長期的な価値創出力が非常に高いことを示しており、資本を効率的に活用し、高いリターンを求める投資家にとって魅力的な企業であるように見えます。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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フィリップ・モリス(PM)の配当に関して
フィリップ・モリス(PM)は、安定した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は2.80%、直近3年間ではやや低下して2.70%となっています。最近の四半期配当は1株あたり1.30ドルから1.35ドルへと増額されており、継続的な増配傾向が見られます。
同社の予想配当利回りは3.21%で、過去10年間の中央値である5.03%を下回っており、現在は歴史的に低利回りの環境にあることが示唆されています。しかしながら、今後3~5年間の予想配当成長率は5.38%と見込まれており、将来的にはより力強い成長が期待されています。
また、EBITDA有利子負債倍率は3.03で、中程度のリスク水準に該当します。これは、同社にある程度のレバレッジ(借入)はあるものの、依然として管理可能な範囲に収まっていることを意味しており、投資家は今後の動向を注視する必要があります。
配当性向は現在79.0%で、過去10年間の最高値および中央値を大きく下回っており、持続可能性の高い水準にあると同時に、将来的な増配余地も残されているように見えます。
次回の権利落ち日は、四半期ごとの支払いスケジュールと週末を回避するという同社の過去の傾向に基づくと、2025年6月20日に予定されています。このような一貫したスケジュールにより、投資家は安定的で予測可能なインカム収入を得ることができています。
予想配当利回り:3.21%
配当性向:79%
配当カバレッジ・レシオ:0.91倍
過去5年間の配当成長率: 2.80%
EBITDA有利子負債倍率:3.03倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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フィリップ・モリス(PM)のバリュエーションに関して
フィリップ・モリス(PM)の現在の株価は169.17ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である116.37ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-45.37%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。
直近12か月(TTM)の株価収益率(PER)は34.88で、過去10年間の最高値である35.10に近づいており、同社の株価が過去の水準と比べて高い評価を受けていることを意味します。同様に、TTMベースのEV/EBITDA倍率は19.07で、これも10年間の最高値である19.12に近く、過大評価の見方を裏付けています。
また、TTMベースの株価売上高倍率(PSR)は6.85で、10年間の中央値である4.72を上回っており、市場が同社の売上高を過去よりも高く評価していることを示しています。株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は25.85で、10年間の最高値である26.39に近く、これも過大評価の傾向を強めています。
これらのバリュエーション上の懸念がある一方で、市場のアナリストの見通しは依然として楽観的であり、目標株価の平均値は171.87ドルとされており、最近引き上げられたばかりです。ただし、現在のバリュエーション指標等を踏まえると、同社の株価は過去の水準や同業他社と比較して割高である可能性があり、投資家はこれらの点を慎重に検討する必要があるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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フィリップ・モリス(PM)のリスクとリターンに関して
フィリップ・モリス(PM)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社は、いくつかの財務上の課題に直面しており、注意が必要です。同社は過去3年間で180億ドルの長期債務を発行しており、現時点では許容範囲と見なされているものの、適切に管理されなければリスク要因となり得ます。特に、売上高の成長率が資産の増加率(5.4%対13.2%)に追いついていない場合には注意が必要です。
また、過去5年間で営業利益率が年平均で1.5%減少していることは、効率性に関する懸念を示しており、将来的な収益性への影響が懸念されます。株価に関しても、株価収益率(PER)が35.1、株価売上高倍率(PSR)が6.9といった高水準にあり、いずれも過去のピークに近づいていることから、将来の成長可能性について疑問が生じています。
さらに、インサイダーによる株式の買い増しが見られない一方で、目立った売却があることは、社内関係者による信頼感の欠如を示唆している可能性があります。
一方で、アルトマンのZスコアが4.08、ベニッシュのMスコアが-2.7と、いずれも財務の健全性と利益操作のリスクが低いことを示しており、これらの指標は潜在的なリスクに対する一定の安心材料となります。
とはいえ、投資家はこうした強みを踏まえつつも、経済全体および業界の動向を総合的に考慮しながら、同社株の評価を慎重に行うべきでしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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フィリップ・モリス(PM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
過去1年間におけるフィリップ・モリス(PM)のインサイダー取引の動向を見ると、売却が顕著であり、買いの取引は一切確認されていません。この12か月間でインサイダーによる売却は16件あり、そのうち直近6か月間で10件、直近3か月間で9件発生しています。これは、同社のインサイダーが保有株式を継続的に減らしている傾向を示しています。
インサイダーによる買いが一切見られないことは、取締役や経営陣が少なくとも短期的には株価の上昇余地を限定的と見ている可能性を示唆しています。
但し、インサイダー保有比率は0.48%と控えめであり、これはインサイダーが外部の利害関係者と比べて企業との経済的利害の一致度が低いことを意味するかもしれません。
一方で、プロの機関投資家による保有比率は80.70%と非常に高く、大規模な投資家からの強い関心と信頼があることを示しています。しかしながら、インサイダーによる継続的な売却は、株価の過大評価や、企業が抱える戦略的な課題に対する懸念を呼び起こす可能性があります。
総じて、機関投資家の支援は依然として強いものの、インサイダーの継続的な売却動向については、投資家として十分な注意を払う必要があるでしょう。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
フィリップ・モリス(PM)の流動性に関して
フィリップ・モリス(PM)の流動性および取引状況に関する分析によると、同社の株式は適度な取引活動と市場でのアクセス性を示しています。過去2か月間の平均出来高は7,076,589株であり、これは市場において健全な流動性が保たれていることを示唆しています。
一方で、直近営業日の取引量は6,150,819株となっており、2か月平均をやや下回っていることから、短期的な市場活動がやや減少している可能性があります。
また、同社のダークプール・インデックス(DPI)は50.04%となっており、同社株式の取引の半数以上が取引所外で行われていることを示しています。この比較的高いDPIは、ダークプールでの取引が活発であることを意味し、公開市場における価格形成や透明性に影響を及ぼす可能性があります。同時に、これは大口取引を行う機関投資家がPM株の取引に積極的に関与していることも示しており、大型株においては一般的な傾向です。
総じて、同社は平均的に高い出来高とダークプールでの活発な取引を背景に、強い流動性の特性を持っていると言えます。これは、投資家が効率的にポジションを構築・解消するうえで有利に働く可能性があります。ただし、直近の取引量が平均をやや下回っている点については、取引パターンや流動性環境の変化を注視する必要があるでしょう。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
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