クアルコム(QCOM)とは?アップルやマイクロソフトに加え、グーグルやサムスン電子、中国の主要OEMとの契約も獲得!

- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるクアルコム(QCOM)に関して、「クアルコムとは?」という基本的な内容から、足元で加速する同社の大手テクノロジー企業との戦略的提携を詳しく解説していきます。
- クアルコムは、マイクロソフトのCoPilot+ PC用の半導体を提供する最初の企業となり、さらにアップルとの5Gモデム供給契約も2026年まで延長しました。
- さらに、同社はグーグルと提携し、Wear OS向けのRISC-Vベースのウェアラブルソリューション開発に取り組んでおり、SnapdragonプラットフォームによるChromeブラウザの提供も計画しています。
- 2024年には、クアルコムがサムスンや中国OEMとの長期契約を更新し、AI対応スマートフォンや自動車分野でのさらなる成長が期待されています。
クアルコム(QCOM)とは?
直近のクアルコムに関するレポートにおいて、クアルコム(QCOM)がインテル(INTC)とAMD(AMD)の両社に先駆けて、新たに定義されたMicrosoft CoPilot+ PCを駆動する最初の半導体企業になったことの重要性を説明した。
これはそれ自体が大きな出来事ではあるが、クアルコムには投資家の注目に値することが他にも沢山ある。
まずは、2023年9月11日のプレスリリースで発表されたように、アップル(AAPL)がクアルコムとの契約を更新し、2026年までモデムを供給するという点が挙げられる。
(原文)Qualcomm Technologies, Inc. today announced that it has entered into an agreement with Apple Inc. to supply Snapdragon® 5G Modem‑RF Systems for smartphone launches in 2024, 2025 and 2026. This agreement reinforces Qualcomm’s track record of sustained leadership across 5G technologies and products.
(日本語訳)クアルコムは本日、2024年、2025年、2026年に発売されるスマートフォン向けにSnapdragon® 5G Modem-RF Systemsを供給する契約をアップルと締結したことを発表しました。この契約により、クアルコムは5G技術および製品において持続的にリーダーシップを発揮してきた実績が強化されます。
その後、2024年1月31日に行われた同社の2024年度第1四半期決算説明会で、この契約の詳細が発表されている。
(原文)First, Apple exercised its unilateral option to extend its global patent license agreement for an additional 2 years, taking the existing agreement through to March 2027
(日本語訳)まず、アップルはグローバル特許ライセンス契約を2年間延長する一方的オプションを行使し、既存の契約を2027年3月まで延長しました。
ご存知の通り、アップルは最先端の5Gモデムを自社開発しようとしている。
彼らが成功し、クアルコムが事実上のモデム・サプライヤーから外されるのではないかという憶測が飛び交っていた。
今回の発表はそのシナリオに終止符を打つものであり、クアルコムにとって大きな恩恵であることは明らかである。
CoPilot+ PCとアップルとの契約更新という追い風に加え、クアルコムにはさらに2つの、そしておそらく同様に重要な追い風が吹いている。
1つ目は、サムスン電子や中国の大手スマートフォンOEMとの関係であり、この関係は同社にAI対応スマートフォンという有望な世界への参入経路を提供している。
2つ目に、同社は自動車関連(オートモーティブ)分野で目覚ましい成功を収めている。
本稿では、この2つの追い風について説明するとともに、同社のクリスチアーノ・アモン最高経営責任者(CEO)が最新の決算説明会で発表した締めのコメントについての我々の考察を解説していきたい。
これらのコメントは、インテルにとっては特に懸念すべきものだろうが、AMDの立場から見ても素晴らしいものではない。
では、詳しく見ていこう。
クアルコム(QCOM)とグーグル(GOOG / GOOGL)のパートナーシップ:RISC-V&Chrome
サムスン電子(005930.KS)、並びに、中国スマートフォンOEMの追い風に触れる前に、まず、クアルコム(QCOM)が2023年10月に発表した、ウェアラブル向けRISC-Vプロセッサに関するグーグル(GOOG/GOOGL)との提携に関連するもう1つの取引に注目したい。
(原文)Qualcomm Technologies, Inc. announced today that they are building on their long-standing collaboration with Google by bringing a RISC-V based wearables solution for use with Wear OS by Google. This expanded framework will help pave the way for more products within the ecosystem to take advantage of custom CPUs that are low power and high performance. Leading up to this, the companies will continue to invest in Snapdragon Wear platforms as the leading smartwatch silicon provider for the Wear OS ecosystem.
(日本語訳)クアルコムは本日、グーグルとの長年にわたる協力関係をさらに強化し、グーグルのWear OSで使用するRISC-Vベースのウェアラブルソリューションを提供することを発表しました。この拡張フレームワークにより、エコシステム内のより多くの製品が低消費電力で高性能なカスタムCPUを活用できるようになります。これに先立ち、クアルコムはWear OSエコシステムの主要スマートウォッチシリコンプロバイダーとして、Snapdragon Wearプラットフォームへの投資を継続します。
クアルコムとグーグルのパートナーシップには長い歴史があり、広範囲に及んでいる。
例えば、2018年当時、クアルコムはスマート・ヘッドセット、さらには、Androidリリース・プロセスの合理化についてグーグルと提携していた。
そして、この最新の発表は、我々が非常に注視したい技術であるRISC-Vへの言及で我々の注意を引いた。
(原文)“Qualcomm Technologies have been a pillar of the Wear OS ecosystem, providing high performance, low power systems for many of our OEM partners,” said Bjorn Kilburn, GM of Wear OS by Google. “We are excited to extend our work with Qualcomm Technologies and bring a RISC-V wearable solution to market.”
(日本語訳)「クアルコムはWear OSエコシステムの柱であり、多くのOEMパートナーに高性能で低消費電力のシステムを提供してきました。」とGoogle社のWear OS担当GM、ビョルン・キルバーン氏は述べています。「クアルコムとの協力関係を拡大し、RISC-Vウェアラブル・ソリューションを市場に投入できることをうれしく思います。」
私たちはRISC-Vについて多くのレポートを書いてきた。
シンプルで低消費電力設計のRISC-Vは、ウェアラブル向けのアーキテクチャとして理にかなっている。
今のところ、これはクアルコムにとって大きなビジネスにはならないだろうが、クアルコムにとってまた新たな重要な市場セグメントへの参入点であり、間違いなく注視すべきものである。
注:クアルコムは、最近もグーグルと非常に重要なパートナーシップを結んでおり、これは、クアルコムのSnapDragonプロセッサでネイティブに動作するChromeのバージョンを開発するためである(詳細はこちら)。
(日本語訳)高速、安全、ネイティブ: ChromeがSnapdragon上でWindowsに登場
(原文)“We’ve designed Chrome browser to be fast, secure and easy to use across desktops and mobile devices, and we’re always looking for ways to bring this experience to more people,” said Hiroshi Lockheimer, Senior Vice President, Google. “Our close collaboration with Qualcomm Technologies will help ensure that Chrome users get the best possible experience while browsing the Web on current ARM-compatible PCs.”
(日本語訳)「Chromeブラウザは、デスクトップでもモバイルでも、高速で、安全で、使いやすいように設計されており、このエクスペリエンスをより多くの人々に提供する方法を常に模索しています。」とグーグルのシニア・バイス・プレジデントであるヒロシ・ロックハイマー氏は述べています。「クアルコムとの緊密な協力により、Chromeユーザーは、現在のARM(ARM)互換PCでWebを閲覧する際に最高のエクスペリエンスを得ることができます。」
この動きは、明らかに、夏に発売される予定の最初のSnapDragon搭載CoPilot+ PCの発売とタイミングを合わせたものである。
Chromeの人気が非常に高いことを考えると、これは発売に先駆けて行われた実に賢明なことであったと言える。
クアルコム(QCOM)はサムスン電子&中国OEMとの契約を更新
クアルコム(QCOM)は、2024年1月31日に行われた2024年度第1四半期決算説明会において、中国の大手スマートフォンOEM2社とのさらなる契約更新を報告している。
(原文)Second, we have renewed long-term agreements with 2 significant Chinese smartphone OEMs. In addition, we continue to negotiate new agreements or renewals with other key licensees and OEMs, including some whose current agreements are set to expire in early fiscal 2025.
(日本語訳)2つ目は、中国の重要なスマートフォンOEM2社と長期契約を更新したことです。さらに、他の主要なライセンシーおよびOEMとの新規契約または更新交渉を継続しています。その中には、現在の契約が2025年度初頭に満了を迎える企業も含まれています。
そして、サムスン電子(005930.KS)との提携に関しては、さらなる朗報があった。
(原文)We're also announcing that we extended a multiyear agreement with Samsung relating to Snapdragon platforms for flagship Galaxy smartphone launches starting in 2024. The extended agreement demonstrates the value of Snapdragon 8, our technology leadership and our successful long-term strategic partnership with Samsung.
(日本語訳)また、サムスン電子との間で、2024年以降に発売されるGalaxyスマートフォンのフラッグシップ向けSnapdragonプラットフォームに関する複数年契約を延長したことも発表させていただきます。この契約延長は、Snapdragon 8の価値、当社の技術的リーダーシップ、そしてサムスン電子との長期戦略的パートナーシップの成功を示すものです。
今年初め、サムスン電子のS24がオンデバイスAI機能を搭載した最初の製品の1つであったことを覚えているだろうか。
(原文)Notably, the Snapdragon 8 Gen 3 mobile platform for Galaxy is featured in the recently announced Samsung Galaxy S24 Ultra globally, in addition to the Galaxy S24 and S24 Plus in multiple regions. The Galaxy S24 series includes on-device AI features such as live translate interpreter, chat assist, nitography and more. This marks the beginning of how gen AI will evolve the overall smartphone experience and highlights the significant opportunity for Snapdragon platforms.
(日本語訳)特に、Galaxy向けのSnapdragon 8 Gen 3モバイル・プラットフォームは、複数の地域で販売されているGalaxy S24およびS24 Plusに加え、最近グローバルで発表されたサムスン電子のGalaxy S24 Ultraにも搭載されています。ギャラクシーS24シリーズには、ライブ翻訳通訳、チャットアシスト、ナイトグラフィー等のオンデバイスAI機能が搭載されています。これは、AIがスマートフォンのエクスペリエンス全体をどのように進化させるかの始まりであり、Snapdragonプラットフォームにとって大きなチャンスであることを示すものです。
このように、クアルコムは2024年、主要スマートフォンメーカーとの非常に多くの重要な契約を更新/延長し、素晴らしいスタートを切っている。
次回のレポートでは、クアルコムが進めているAIスマートフォンの進展をもう少し掘り下げて見ていきたい。
※続きは「クアルコム(QCOM)株価の今後の見通しは良好?同社のAIスマートフォンビジネスと最新の決算分析を通じて将来性に迫る!」をご覧ください。
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アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング
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