やや強気クアルコムクアルコム(QCOM)の将来性:テクノロジー上の強み(競争優位性)と財務分析を通じて今後の株価見通しに迫る!

- 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるクアルコム(QCOM)のテクノロジー上の強み(競争優位性)と財務分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- クアルコムはスマートフォン市場での生成AI導入やモデム技術の優位性を維持し、特に2024年にはスマホ向けソフトウェアの革新を進めているが、ローカルでの生成AI実行は技術的に難しいとされています。
- 自動車分野では、ADASやFSD技術を含む包括的なソリューションにより、エヌビディアやアップルを上回る強みを発揮し、特にSnapdragon Rideプラットフォームで競争力を高めています。
- 同社はPCやサーバーCPU市場への参入も模索し、さらにはXR/MRデバイスなどでメタバース市場にも関与しており、これにより今後の収益成長が期待されています。
- 足元、ウォール街はマーケットの見方よりも同社に強気であり、37のレーティングのうち、Buyが16件、Strong Buyが7件となっています。
クアルコム(QCOM)の今後の株価見通し
携帯電話需要は安定しており、2024年度は微増が見込まれ、スマートフォン向けオンデバイスGenAIは年後半に登場する可能性が高い。
スマホのGenAIの大きな課題は、必要なメモリ容量である。
ChatGPTのようなエクスペリエンスを実現するためには、700億のパラメータモデルで約70GBのRAMが必要で、ハイエンドスマホの16GBをはるかに超える。
しかし、Mistralのようなスパース・アクティベーションLLMを使えば、必要なパラメータだけを活性化するため、この要件を大幅に削減できる。
2024年は、同社のSnapdragon Developer Toolsがこの進歩に重要な役割を果たすなど、スマートフォン向けLLMのソフトウェア革新の準備が整っている。
2024年におけるGenAIスマートフォンに関する当社の見通しは楽観的であり、更なるイノベーションを期待している一方で、携帯電話上のGenAIのローカルでの実行は、まだ実現可能性は低いのではないかと見ている。
当社は、アップルが2027年頃の6G時代にクアルコム(QCOM)のモデム技術に匹敵する可能性は低いと考えており、アップルは同社の広範な特許ポートフォリオと技術的専門知識を克服する難しさに直面していると見ている。
アップルは、インテルのモデム事業の買収を含め、過去に5Gモデムに挑戦したが、失敗に終わっている。
アップルのモデム・チームには、管理体制の不備や方向性の欠如など、社内の課題があり、特に5G開発で挫折した後では、今後数年間でこのギャップを埋めることができるとは考えにくい。
モデムの性能は非常に重要であり、少し劣った製品であっても接続性に大きな問題が生じる可能性がある。
例えば、アップルはiPhone 7の2次モデム・サプライヤーとしてインテルに依存していたため、接続性に問題が生じた。
これは、アップルやMediaTekのような企業が、同社の高度なモデム技術に追いつこうとすることの難しさを物語っている。
また、市場におけるファーウェイのKirin 9000に対する懸念の欠如は、短期的には妥当であると見ている。
ファーウェイの自社製SoC設計は、最終的には中国における同社の市場シェアに挑戦する可能性はあるものの、中国のスマートフォンメーカー間の健全な競争とファーウェイの不透明な優位性から、当面の脅威とはならないと見ている。
同社は、コネクティビティと統合SoCアプローチに強みを持つため、自動車分野、特にADASとFSD車において大きな強みを発揮する。
車載Wi-FiやBoB Bluetoothを含む包括的なソリューションにより、同社は自動車メーカーにとって最良の選択肢となっている。
同社のSnapdragon Rideプラットフォームは、幅広いADASソリューションと低消費電力を提供していることから、車載AI分野でエヌビディアのような競合他社に対して有利な立場にある。
自動車業界における同社の優位性は、モバイルのルーツとオープンなエコシステム・アプローチによって強化されている。
自動車メーカーは、アップルやエヌビディアのような自動車用チップスタック全体の制御を目指すベンダーよりも、同社の柔軟性を好むと見ている。
コネクティビティ、SoC、ADASにおける同社の強みと、自動車メーカーがソリューションをカスタマイズできるようにするアプローチは、エヌビディアの限定的なADAS提供やモービルアイ(MBLY)のアプローチとは対照的である
クアルコム(QCOM)は、コネクティビティ、SoC、ADAS を含む包括的なソリューションにより、車載半導体市場で際立った存在となっている。
この包括的なソリューションは、市場シェアでは優位に立つものの、同社のような統合的なアプローチを持たないNXP、ルネサス、TI といった競合他社に対して、同社を有利に位置づけることとなっている。
リファレンスデザインを提供するという同社の戦略は、自動車メーカーがフルスタックのソリューションを採用することを可能にし、エヌビディアの硬直的なADAS製品やモービルアイ(MBLY)のやや柔軟なアプローチとの差別化を図っている。
一方で、PC市場におけるマイクロソフトとクアルコムの過去の協業は、アーム(ARM)・ベースのSnapdragonプロセッサとの互換性の問題により、期待外れに終わっていた。
しかし、大手アプリケーション開発者との提携など、こうした課題を解決するための最近の共同努力は、明るい未来を示唆している。
同社のPC市場への参入は、特にOEM PCやマイクロソフトのSurfaceデバイスに同社のAI搭載SoCが統合される予定であることから、大きな収益機会をもたらし、2025年会計年度までに注目に値する規模の市場シェアを獲得する可能性があると見ている。
一方で、サーバーCPU市場は、同社にとって、現在市場シェアがない分野への参入による収益機会の増加をもたらす。
この市場におけるアーム・ベースCPUの成長と同社の有望なサーバーCPU技術は、市場シェア獲得の可能性を強く示唆している。
この分野における同社の競合には、AWS、アンペア・コンピューティング(Ampere Computing)、エヌビディア、マーベル(Marvell)などがいる。
しかし、アーム・ベースのサーバーCPU市場でかなりの部分を獲得できる見込みはあると見ている。
最近、同社のSnapdragon AR1 Gen 1を搭載したRay-Ban Metaメガネが発売され、新たな市場機会が開かれた。
約5億人の潜在的な顧客層を持つこのメガネは、視力サポートが必要な人々やサングラスを求める人々の大部分にアピールできる可能性がある。
1個350ドルのこのメガネの成功は、同社に大きな収益をもたらす可能性があるが、市場への影響はまだわからないというのが現状である。
同社は、成長するXR/MR/VRヘッドセット市場にも関与しており、特にMeta Quest 2と3、Ray-Ban Meta glassesのような製品で、長期的な成長に向けて有利な立場にある。
そして、アップルのVision Proの影響もあり、これらの技術への関心が再び高まっていることが、同社の将来性を高めている。
その為、メタバースとその関連技術が主流になる可能性は、同社の長期的な投資見通しを大きく押し上げる可能性がある。
現在の経済情勢により、産業分野におけるIoTプロジェクトは一時停止しており、この分野における同社の当面のビジネスチャンスに影響を与えている。
しかし、インダストリー4.0の関連性が進行していることから、2025年会見年度にはIoT投資が復活し、この分野での同社の成長を後押しする可能性が高いと見ている。
当社の同社に対する収益成長予測では、2024年度に予想外の成長が見込まれ、2025年度以降には更に大きな収益が見込まれると見ている。
そして、最終的には市場も当社の見通しに同調し、同社の株価倍率が拡大すると予想している。
最後に、当社によるクアルコムの調整後売上高予想の概要をこちらで共有したい。
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