やや強気インベスコ S&P 500 等ウェイト ETF【最新】米国株の今後の見通し / RSP / 強気:地政学的混乱が強気相場を終わらせることはない
ローレンス・ フラー- S&P500指数は、ディスインフレの終焉、FRBの利下げ見送り、イスラエルとイランの紛争が戦争に発展するのではないかという懸念から、2%程度下落している。
- 上記の理由が確かに反落の理由ではあるが、これらの理由にもかかわらず、足元の強気相場は途切れることなく継続すると見ている。
株式市場は、5ヶ月間ほとんど途切れることなく上昇を続けた後、ようやく反落に転じた。
必要だったのは、ディスインフレ傾向の終焉への懸念と、その結果FRBが今年の利下げを見送るかもしれないという懸念、そしてイスラエルとイランの対立が大幅に激化し、中東での戦争に発展する恐れがあるという懸念だった。
この三重の混乱がS&P500指数を5%以上引き下げることができなければ、それは極めて強気な展開へと発展していくと見ている。
金曜日の時点では、この悲観的な動きが生み出したのは、史上最高値からの2%のリトレースメントに過ぎない。
そしてこれは、指数を50日移動平均線に再接近させたという観点からは、健全なものである。
先週は悲観論者たちが総出で、ドル高、長期金利上昇、原油価格ショック、その他投資家を不安にさせるようなあらゆることについて警告を発した。
JPモルガンのジェイミー・ダイモンは長期金利8%の可能性について警告した。
さらに、ラリー・サマーズ元財務長官は、FRBは再び短期金利を引き上げなければならないかもしれないと主張した。
マクロ経済戦略に基づく投資であれ、ボトムアップの企業分析に基づく投資であれ、心配事は常にある。
そして、その中には正当な懸念もあれば、そうでないものもある。
最も重要なのは、ポジティブな要素がネガティブな要素を上回っているかどうか、そして変化率が好ましい方向に動いているかどうかである。
そして、現時点では、まだ強気派が主導権を握っていると言える。
インフレは懸念材料ではない
先週のコア消費者物価指数で3月のインフレ率が3ヵ月連続で0.4%上昇し、年率換算で3.8%と変わらなかったことから、ディスインフレ傾向は終わったと結論づける向きもある。
ただ私は、このグループが、この計算にはひどい欠陥があることを認めることを祈っている。
前年同月比で5.7%上昇したとされるシェルター部門は、コア率の上昇の半分近くを占めたが、民間部門からのリアルタイムのデータは違うことを物語っている。
アパートメント・リストの調査チームが発表した4月の全国家賃レポートによると、先月は0.6%上昇しており、これは季節的なパターンと一致している。
その結果、全国ベースで賃貸料は前年比0.8%減となり、10ヶ月連続のマイナスとなった。
批評家は、自分の住む街の家賃はまだ上昇していると言うだろう。
たしかにそうかもしれないが、市場はあなたの感じるインフレ率など気にしておらず、指数の算出に使われる全国的な数字に注目しているのであると言いたい。
従って、インフレ率測定に含まれるシェルター・コンポーネントが5.7%の上昇を反映しているわけがない。
それは、この計算が、今日のインフレをはるかに反映する新規賃貸の価格変動ではなく、過去12ヶ月間に有効だったすべての賃料の価格変動を考慮しているからである。
これが、アパートメント・リスト指数(Apartment List index)がCPI全体をリードしている理由である。
もし労働統計局が今日のシェルター・インフレ率を算出するために新規賃貸料を使用すれば、名目インフレ率もコアインフレ率も2%を下回るだろう。
但し実際には、その代わり、10-12ヶ月前の高い物価上昇率が、今後数ヶ月の間に現在の上昇率(または下落率)に置き換わるのを待たなければならない。
パウエル議長が2024年中の3回の利下げから手を引かないのは、こうした事実がよく理解されているからだ。
このため、一部の市場評論家は、指数のコア・サービス・セグメント内の品目に注目し、値上がりしているものを見つけることに注力している。
しかし、この炭鉱にカナリアはいない。
ディスインフレ基調は依然として堅持されている。
FRBによる利下げ
3ヵ月前、FRBは3月から短期金利を25ベーシスポイント引き下げ、年末までに計6回の利下げを行うというのがコンセンサスだった。
私も、そろそろ景気減速の兆しが見え始めているだろうと考え、そう予想していた。
その点については的外れであったとしても問題はない。というのも、経済の回復力が続いているため、3月よりかなり遅い時期に開始される2回の利下げにシフトしても、強気市場はそれを吸収しているからである。
言い換えれば、ソフトランディングと強気相場のシナリオはまだ軌道に乗っているということである。
とはいえ、中央銀行が利下げを2回しか行わず、ましてや注目されたい元財務長官が先週唱えたような利上げを行うとは、誰も信じられないだろう。
現実は誰にもわからない。
FRBは、その決定はデータに左右されると表明している。
しかし、我々はまだデータを持っていない。
良いニュースは、市場がより緩やかな緩和を容認していることである。
私は、FRBが3回以上の利下げを行えるほど経済成長率とインフレ率の両方が減速すると考えている。
そうなれば、今年後半のリスク資産価格にとって再び追い風となるはずだ。
イランとイスラエル
イランがシリア大使館を空爆したイスラエルに無人機攻撃で報復したことで、紛争は週末に明らかにエスカレートした。
これによって原油価格が上昇し、金が史上最高値を更新したのはこのためだとの見方もある。
週末に何が起こるかわからないという懸念から、債券と株式は金曜日に値下がりした。
しかし、私の経験では、地政学的な出来事で景気拡大や強気相場が頓挫したことはない。
唯一懸念されるのは、原油価格が直近の安値から倍近く上昇し、1バレル=120ドル程度が持続することである。
これは、経済活動の縮小を招くほどのエネルギー・ショックを引き起こす可能性がある。
しかし、現在、私はその可能性は非常に低いと見ている。
したがって、現在の混乱は、リスク資産価格の引き下げや調整、そして今年第1四半期まで続いた買われ過ぎの解消のためのもうひとつの口実となっていると見ている。
言い換えれば、これは買いのチャンスである。
チャンスはローテーションにある
S&P500指数の下げ幅は現時点ではわずか2%だが、ダウ平均株価やラッセル2000指数ではさらに深くなっている。
テクノロジー関連銘柄で占められているS&P500指数を保有するために支払わなければならない、利益の20倍を超える倍率よりも、割安で取引されているセクターや銘柄を探すには、ラッセル2000指数等がいいだろう。
そして、米国経済のソフトランディングがはっきり見えてくるにつれ、市場全体の下げが一巡すれば、株価の幅(上昇する銘柄数)は再び拡大するだろう。