やや強気インベスコ S&P 500 等ウェイト ETFすべて表示【最新】米国株・S&P500の今後の見通し:米国株式市場の下落局面は終わったのか?
ローレンス・ フラー- 先週、第1四半期の決算発表が予想を上回ったことで、株価は反発し、3週間のマイナス基調を脱した。
- 一方で、債券利回りは上昇しており、この強気相場の次の上昇の足がかりとなると見ている。
S&P500種指数は先週、11セクターすべてが上昇し、インフレ懸念と連邦準備制度理事会(FRB)の「長期金利上昇」政策に端を発した3週連続のマイナスリターンに終止符を打った。
投資家の意欲を再びかき立てたのは、人工知能の爆発的な成長を収益化し始めている大手テクノロジー企業の決算報告であり、同時に市場の企業収益全体も予想を上回ってきている。
この決算シーズンは、インフレと金融政策への懸念に対向する上で効果的な材料となったが、私はそもそも、インフレと金融政策に関する懸念は、不必要な懸念だと思っている。
それどころか、それらはこの強気相場の次なる上昇の足掛かりとなると見ている。
わずか3ヵ月前、投資家のコンセンサスは、インフレ率がFRBの目標である2%に向かって急速に低下していることから、FRBは早ければ3月から、今年中に6回もの短期金利引き下げを実施するだろうと確信していた。
しかし、インフレ指数のいくつかの構成要素(住居、医療、自動車保険)の物価上昇の反映の遅れが、1月、2月、3月の月次上昇率を予想以上に押し上げ、その結果、第1四半期のコア個人消費支出(PCE)物価指数は年率3.7%となった。
この結果、年内の利下げ観測はわずか1回に減少し、短期および長期の債券利回りは昨年の高水準に近づいた。
第1四半期の成長率が予想を下回る1.6%に低下したことを受け、弱気派はスタグフレーション、金利上昇、株価下落を予測し、再び話題の主導権を握ろうとしている。
しかし、弱気派の主張に対して、私は全く賛成出来ないというのが本音である。
第1四半期は、引き続き続くディスインフレ傾向の中でちょっとした足踏みをする局面となった。
しかし悲観論者は、第1四半期の流れを2024年の残りの期間にも当てはめようとしている。
コアPCEは3月、前年同月比で2.8%と安定している。
そして、リアルタイムのデータが賃借料に重点を置いた指数の算出に使われた古い統計データに追いつくにつれて、第1四半期の毎月の上昇は和らぎ、FRBの目標に近づくだろうと見ている。
加えて、過剰貯蓄の枯渇と借入コスト上昇の遅行的な影響により経済成長率が軟化を続ける中、特にサービス部門を中心にディスインフレがさらに進行するものと思われる。
同時に、第1四半期の成長率不足は在庫水準と貿易の減少の結果であり、この2つが今年後半の成長源となるはずであることを考えると、景気拡大はうまくバランスが取れているように見える。
また、個人消費、設備投資、住宅は引き続き景気拡大に大きく寄与しているが、政府支出はごくわずかとなっている。
私は、第1四半期の経済データを使って今後3四半期の動向を予測するよりも、S&Pグローバルが4月中旬に実施したサービス・製造業購買担当者景気指数(PMI)のような、よりリアルタイムの先行指標に頼ることを好んでいる。
この報告では、生産高と雇用者数が減少し、サービス需要が大幅に軟化していることが示され、価格圧力が緩和されることを示しているように見える。
実際、今回の報告では、サービス・プロバイダーの全体的なコスト上昇率は過去3年半で2番目に低く、これは生産価格の上昇率の低下につながるはずである。
インフレ率の上昇を受けた今年の債券市場の売りは、短期債・長期債の利回りをともに上昇させ、2023年の最高水準に迫っている。
そしてこの水準は、S&P500の調整安値と重なっている。
2年物国債利回りは、投資家が1年後のFRBの基準金利をどの程度と見ているかを示す代用指標であり、5%で再びピークを迎えようとしている。
高頻度の経済データが軟化し、月次データのディスインフレが戻れば、2年債利回りは再び低下し始め、数ヵ月後の株価を下支えするはずであると見ている。
そのため、私はソフトランディングは依然として順調で、この強気相場はまだまだ続くと見ている。
金利は上昇を続け、この強気相場は終わりに近づいていると考える人々に対して、昨年10月に仕掛けられたような弱気の罠がまた債券市場によって仕掛けられているのである。
ひとつ注意点を挙げるとすれば、株式市場におけるセクターの主導権は、次の上昇局面で変化する可能性が高いということだ。
FactSetによると、この決算シーズンの半ば、第1四半期の企業収益は全体で3.5%増となり、3月末時点の見通しから小幅に増加している。
そして、より重要なのは、収益成長の源泉が今後変化していくことである。
マグニフィセント7と呼ばれるテクノロジー関連企業が昨年、そして今四半期も大きな力を発揮したが、その成長率は持続不可能な高水準から鈍化すると予想される一方、残りの493銘柄は年末まで成長率の変化率がプラスになると予想される。
市場は絶対値よりも変化率にはるかに反応するものであり、このシフトはハイテク・セクターに対して、オーバーウェイトよりもイコールウェイトの見通しを持つべきということを示唆しているように見える。