【最新】米国株・S&P500の今後の見通し:テクノロジー株の割高なバリュエーションは懸念材料も、ソフトランディングは目前
ローレンス・ フラー- 株式市場は新たな史上最高値を更新し続けているが、テクノロジー・セクターの過大なバリュエーションに懸念があり、価格調整は避けられないと見ている。
- 6月のS&Pグローバル総合PMIレポートでは、企業活動の成長率が26か月ぶりの高水準に達し、インフレの上昇が見られないことが示された。
- 消費者のセンチメントは低下しているが、賃金の上昇と低い住宅ローン延滞率により、消費支出は続いており、これが株式市場の下落を緩和する可能性がある。
- 米国の消費者は、経済成長を促進し続ける一方で、物価上昇は衰え続け、ソフトランディングの可能性を高めている。
株式市場は懐疑的な見方を跳ね返し、週ごとに新たな史上最高値を更新し続けている。
しかし、このラリーは極めて狭い一部のセクターに限られており、特にテクノロジー・セクターのバリュエーションに対する一定の懸念が生じている。
テクノロジー・セクターの今日の過大な比重を考慮すると、現在の水準からの価格調整は避けられず、主要市場指数全体の引き戻しを引き起こすであろう。
それでも、この夏のいかなる下落も、このブルマーケットにおける新たな投資機会につながるはずであり、年後半には米国経済のソフトランディングを見越してより広範なセクターの上昇が進むことが期待される。
先週発表された6月のS&Pグローバル総合PMIレポートでは、ソフトランディングの見通しに関して非常に励みになるニュースがあった。
企業活動の成長率は26か月ぶりの高水準に達し、総合指数は54.6に上昇した。
この強さはサービスセクターによって主導されたが、製造業セクターも過去6か月のうち5か月間にわたり拡大傾向にあった。
驚くべきことに、この新たな強さは上方の価格圧力を引き起こしておらず、調査の販売価格インフレの指標は低下している。
これは、投入コストの伸びが鈍化したためで、S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン氏は、「調査の物価指数がFRBの2%目標に一致するようになった」と述べている。
そして、この内容は、多くの人が来年見込むハードランディングや景気後退を示すものではない。
これらの程良い数値にもかかわらず、消費者のセンチメントは6月に7か月ぶりの低水準に落ち込み、これは過去に景気後退と一致した水準と一致している。
なぜこのような乖離が生じているのか?
確かに、余剰貯蓄が減少し、クレジットカードや自動車ローンの延滞率がパンデミック前の水準に戻る中で、低所得世帯にいくらかの金融ストレスが見られ始めている。
しかし、住宅ローンの延滞率は史上最低水準に近く、世帯の富は過去最高水準にある。
さらに、インフレ率は上昇したときとほぼ同じ速さで低下しているが、消費者は上昇率の低下よりも高い価格水準に注目していると思われる。
同時に、ほとんどの人は過去1年間で賃金がインフレ率を上回って成長している事実を無視しており、これが余剰貯蓄の減少を相殺している。
そして、余剰貯蓄は、パンデミック後の2年間で実質賃金の低下を緩和するのに役立っていた。
消費者の不機嫌なムードは、選挙年であることとも大いに関係していると思われる。
政治の性質上、消費者の調査結果がますます二極化しているからである。
それでも、私は消費者が何を言うかよりも何をするかに関心を持ち、注目している。
というのも、それがより正確な経済予測につながるからである。
所得階層の下部におけるストレスにもかかわらず、消費者は集団として、拡大を持続させるための支出を続けている。
これはまた、この夏にテクノロジー・セクターの極度の買われすぎの状態が解消される過程で、株式市場が経験する可能性のある下落を緩和するのに役立つはずである。
SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)は先週のピーク時に200日移動平均線を35%上回って取引されていた。
50日移動平均線に再接近すると、価格が15%修正されることになるが、これは上昇トレンドをリフレッシュするための良いスタートとなるであろう。
今年後半には、遅くとも9月までに実施されるであろう連邦準備制度による最初の利下げが近づくにつれ、新たなリーダーシップ(市場を牽引するセクターや銘柄群)が見られることを期待している。
しかし、今週金曜日に個人消費支出(PCE)物価指数が再び低下すれば、7月の利下げの可能性が高まるであろう。
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