05/16/2024

やや強気
ショッピファイ
やや強気
同社は黒字化の実現を目前とし、さらに、テクニカル分析の観点からも現状の水準では見通しも良好であることから、長期的な目線で魅力的な銘柄であると見ている。
ショッピファイ / SHOP / 強気:2024年1Q決算速報・財務&テクニカル分析と今後の株価予想・将来性(Shopify)

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  • ショッピファイ(SHOP)は2024年5月8日に2024年度第1四半期決算を発表し、業績と売上高が予想を上回ったが、株価は20%下落する展開となった。
  • 同社株価の下落の理由は、GAAPベースでの収益性を達成できなかった可能性がある。
  • しかし、私は、足元の短期的な逆風にもかかわらず、同社の成長ストーリーは堅調であり、バリュエーションもそれなりに魅力的であると見ている。

ショッピファイ(SHOP)の概要

決算が発表された後、株価が下落する理由が最初からはっきりしていることも多くある。

例えば、収益や売上高が大きく下振れしたり、また、ガイダンスが期待外れである場合等が挙げられる。

しかし、あまり明確な理由もなく、或いは、もっと微妙な理由で売られることもある。

2024年5月8日にショッピファイ(SHOP)は2024年度第1四半期決算を発表し、業績と売上高予想を上回ったが、株価は20%以上も急落した。

これは正当な理由による下落なのだろうか?

もしそうでないのだとしたら、これは押し目買いのチャンスなのだろうか?

今では同社は有名となり、現在も10%台後半で成長しているが、比較的割高なバリュエーションが付与されているのも事実である。

では、2024年度第1四半期決算の詳細について見ていきたい。

ショッピファイ(SHOP)の2024年度第1四半期決算

ショッピファイ(SHOP)は収益と売上高の予想を上回ることができたが、決算発表後、同社の株価は20%程度下落した。

売上高は23%増で、同社が閉鎖する予定のロジスティクス(物流)事業を除くと29%増となる。

見ての通り、売上高の伸びに関しては、マーチャント・ソリューション部門の方が目覚ましかったと言える。

そして、これは前四半期に同社が提示したガイダンスとほぼ一致している。

(原文)Revenue to grow at a low-twenties percentage rate on a year-over-year basis, which translates into a year-over-year growth rate in the mid-to-high-twenties when adjusting for the 500 to 600 basis points impact from the sale of our logistics businesses;

(日本語訳)売上高は前年同期比で20%台前半の成長率を見込んでおり、ロジスティクス事業の売却による500~600ベーシス・ポイントの影響を調整すると、前年同期比の成長率は20%台半ばから後半となる。

(出典:ショッピファイの2023年度第4四半期決算発表より)

ショッピファイのGAAPベースの黒字化への道筋を分析する投資家にとって極めて重要な指標である売上総利益率は2023年第4四半期には49.8%であり、経営陣は2024年度第1四半期に150ベーシスポイント(1.5%)の上昇を見込んでいた。

そして、投資家にとっては喜ばしいことに、同社は予想を上回る51.4%の売上総利益率を発表し、以前のガイダンスをわずかに上回る着地となった。

また、今後のガイダンスについて、同社は次のように予想している。

  • 売上高は10%台後半の成長。
  • 営業費用の若干の増加により、売上総利益率は50ベーシスポイント(0.5%)低下する。
  • フリー・キャッシュフロー・マージンは前四半期並み。

売上総利益率は若干の低下が予想されたものの、それでも同社の株価が20%も下落したのは驚きである。

ショッピファイ(SHOP)の株価が下落した理由

ショッピファイ(SHOP)は売上高、マージン、調整後EPSの上昇を達成したものの、GAAPベースでは実際には収益性を達成できていない。

同社は、昨年の今期は黒字を維持していたにもかかわらず、今期は1株当たり21セントの損失を計上している。

そして、この損失は、3億7300万ドルの株式およびその他の投資による損失に起因している。

つまり、この実際のEPSにおける損失が投資家の警戒心を刺激したのだろう。

これに加え、同社が未だ高飛車な成長株であるという事実を踏まえれば、足元、メガ・キャップ銘柄でさえ経験している20%程度の値下がりも不思議ではないといったところだろうか。

それでも私がショッピファイ(SHOP)が好きな理由

ショッピファイ(SHOP)には短期的には逆風が吹いているように見えるが、成長ストーリーは堅調で、バリュエーションも魅力的であると見ている。

ショッピファイ(SHOP)の成長性

成長という点では、特に海外に目を向けると、ショッピファイはまだほとんど未開拓の市場を持っている。

また、ショッピファイはオンライン(ecommerce sales)でもオフライン(Retail sales)でも成長している。

※Row(Rest of World):その他の地域

以上を踏まえると、成長は確かに問題ないように見えるが、利益率はどうだろうか?

ショッピファイ(SHOP)の収益性

ショッピファイは、歴史的に利益を実現する上で苦労してきた過去があるが、全体として、同社は正しい方向に進んでいると言える。

同社が不採算だったのは主に同社の投資によるものであるが、今はそれを心配する必要はなくなってきている。

そのため、本格的な不況にならない限り、今後数カ月、数年は市場にとって良い年になり、こうした事前の取り組みの多くが実を結ぶのを見ることができると見ている。

ショッピファイ(SHOP)のバリュエーション

PER(P/E)やPSR(Price/Sales:株価売上高倍率)を見ると、ショッピファイ(SHOP)は非常に割高なバリュエーションに見えるが、フォワードPEG(5年予想)を見ると、同社は予想利益成長率の1.12倍で取引されていることが分かる。

以上のバリュエーション指標からも、今後、同社に求められるものは収益面での成長を実現出来るかであると見ている。

ショッピファイ(SHOP)のテクニカル分析

テクニカル分析の観点からも、ショッピファイ(SHOP)は非常に魅力的に見える。

上記グラフの出来高の範囲に関するプロフィールにも現れている通り、現在の株価水準は、出来高面で重要なサポートエリアに到達している。

エリオット波動の観点からは、大きな(1)-(2)の内部で1-2が完了した可能性があり、これにより200ドルへと上昇する波動3の準備が整ったことになる。

また、RSIは売られ過ぎの水準からちょうど跳ね返され、実際に強気のダイバージェンスを形成している。

上記の分析は野心的に見えるかもしれないが、同社がピーク時に175ドルもの高値で取引されていたことを思い出してほしい。

同社はボラタイル(不安定)な銘柄であり、過去を振り返ってみると、同社株式の急落は急騰と同じくらいよくあることであると言える。

ショッピファイ(SHOP)に対する結論

私は足元のショッピファイ(SHOP)の株価水準は新たなエントリーポイントとしては魅力的な水準であると見ている。

なぜなら、上述の通り、同社は黒字化の実現を目前とし、さらに、テクニカル分析の観点からも現状の水準では見通しも良好であることから、長期的な目線で魅力的な銘柄であると見ている。