やや強気スマートシートすべて表示スマートシート / SMAR / 強気:最新の2024年3Q決算・強み分析と今後の株価見通し・将来性(Smartsheet)
ドノヴァン・ ジョーンズ- スマートシートは、世界中の企業にチーム・プロジェクト・マネジメント・ソフトウェアを提供しているテクノロジー企業である。
- 同社は、2023年12月7日に2024年第3四半期決算を発表しており、2024年3月14日に2024年第4四半期決算を予定している。
- 同社の売上高は伸びており、フリー・キャッシュフロー(FCF)も非常に素晴らしい水準にある。
- そのため、私の短期的な同社の株価への見通しは「強気」である。
スマートシート(SMAR)について
スマートシート(SMAR / Smartsheet)は、2023年12月7日に2024年第3四半期決算を発表し、売上高と収益予想の両方を上回る着地となった。
同社は企業にチーム・プロジェクト・マネジメント・ソフトウェアを提供するテクノロジー企業である。
同社の成長見通し、取り巻く環境、フリー・キャッシュフロー(FCF)の改善、妥当なバリュエーションに基づき、私の短期的な同社株価への見通しは「強気」である。
スマートシート(SMAR)の概要と市場
スマートシートは、プロジェクト・マネジメントとコラボレーションのためのクラウドアプリケーションの開発・マーケティングに特化している。
同社は2005年にマリア・コラカーシオ、ブレント・フレイ、エリック・ブラウンによって設立され、米国ワシントン州ベルビューに本社を置いている。
同社の製品群は、ワークフローの自動化、コンテンツ・マネジメント、プロジェクト・マネジメントなどの機能を強化するように設計されており、以下のような機能を備えている。
- Smart Dashboards /スマートダッシュボード
- Smartportals / スマートポータル
- Smartcards / スマートカード
- Smart Grids / スマートグリッド
- Smartprojects / スマートプロジェクト
- Smart Calendars / スマートカレンダー
- Smartforms / スマートフォーム
- Smart Automation / スマート・オートメーション
- Connector / コネクター
- Control Center / コントロールセンター
- Accelerators / アクセラレーター
- Data Uploader / データアップローダー
- Smart Integrations / スマート統合
スマートシートは、ソフトウェア製品に加え、クライアントが自社のプラットフォームを効果的に活用できるよう、トレーニング、サポート、コンサルティングなど、さまざまなサービスを提供している。
スマートシート(SMAR)の市場と競合
プロジェクト・マネジメント・ソフトウェア市場は、ダイナミックで急成長しているセクターであり、複数の主要プレーヤーが存在し、提供する製品が常に進化していることが特徴である。
Mordor Intelligence社の市場調査レポートによると、現在の市場価値は65億ドルと推定され、2029年には109億ドルに達すると予測 されている。
この成長が達成されれば、2024年から2029年までの年平均成長率(CAGR)は約10.7%となる。
そして、同業界の主要企業・製品は以下の通りである・
- Planview Technology:ポートフォリオ管理と業務管理ソリューションに特化。
- Sitetracker:テレコムやユーティリティ企業向けのプロジェクト・マネジメント・ソフトウェアを提供。
- Atlassian:チーム・プロジェクト管理機能をフル装備したシステムを販売。
- Monday.com:プロジェクト管理ソフトの開発・販売。
- Airtable:データベースの機能性とスプレッドシートのシンプルさを併せ持つ。
- K2:ビジネスプロセスの自動化と合理化にフォーカス。
- Notion:ノート、タスク、Wiki、データベースのためのオールインワンのワークスペースを提供。
- Wizeline:高品質な製品やプラットフォームの構築を支援する技術ソリューションを提供。
スマートシート(SMAR)を取り巻くトレンドと成長要因
プロジェクト・マネジメント・ソフトウェア市場は、効率的なプロジェクト・マネジメント・ソリューションに対する需要の増加、リモートワークの傾向の高まり、チーム間のコラボレーションを改善する企業ニーズによって牽引されている。
プロジェクトの計画と実行を強化するための人工知能や機械学習技術の統合、アジャイルやスクラム手法の採用も、市場を形成する重要なトレンドである。
スマートシート(SMAR)の成長をリードする市場セグメント
クラウドベースのプロジェクト・マネジメント・ソフトウェア・セグメントは、その拡張性、柔軟性、コスト効果によって市場の成長をリードしている。
リアルタイムのコラボレーション、タスク管理、進捗管理を提供するソリューションに対する需要は、特に中小企業(SME)で高い。
スマートシート(SMAR)の最近の財務動向
四半期別の総収益 (黒色の列:Total Revenue) は成長軌道を維持しており、四半期別の営業利益 (青色の線:Operating Income) はマイナスを維持しているものの、損益分岐点に向けて一定の前進を見せている。
また、スマートシートのような多くの成長企業は、既存企業との競争において、規模を拡大し、規模の経済を獲得しようとするため、営業損失を抱える傾向がある点にはご留意いただきたい。
また、四半期別の売上総利益(黒色の列:Gross Profit)は成長を続けている。
四半期別の販売管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses)は上昇しているが、一貫性はなく、これは増収を生み出す上での販売管理費の効率がより高いことを示している。
さらに、希薄化後一株当たり利益(EPS)はマイナスのままだが、2022年初頭から著しく改善している。
加えて、特筆すべきは、フリー・キャッシュフロー(FCF)が過去4四半期でプラスに転じていることである。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
一方で、過去12ヶ月で、同社の株価は2.84%下落したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウェアETF(IGV)は47.3%上昇している。
スマートシート(SMAR)のバリュエーションとその他の指標
以下は、同社に関連するバリュエーションの表である。
指標 | 値 |
企業価値 / 売上高(予想) | 6.1 |
EV/EBITDA(予想) | 48.1 |
株価売上高倍率(直近過去12か月) | 6.8 |
売上高成長率(予想) | 27.5% |
純利益率 | -15.2% |
EBITDAマージン | -14.4% |
時価総額 | $6,340,000,000 |
企業価値 | $5,830,000,000 |
営業キャッシュ・フロー | $118,370,000 |
実績EPS(直近過去12か月) | -$1.04 |
予想EPS | $0.93 |
一株当たりフリーキャッシュフロー(直近過去12か月) | $0.79 |
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていることを示すものである。
下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2024年第3四半期決算時点で13.9%であったため、同社はこの点、特に営業利益率がマイナスである点において改善が必要である。
40%ルール・パフォーマンス(調整前) | 2024年第3四半期 |
売上高成長率 | 27.5% |
営業利益率 | -13.6% |
合計 | 13.9% |
スマートシート(SMAR)への見通し
市場のアナリストとの直近の決算発表会議では、経営陣は以下のポイントを強調している。
収益の伸び:
- スマートシートの当四半期の売上高は前年同期比23%増の2億4,600万ドルとなり、ガイダンスを上回った。
- ARR(年間経常収益)は10億ドルのマイルストーンに近づいている。
バックログ:
- 四半期末のARRは 9 億 8,100 万ドルであった。
経費の変動:
- Non-GAAPベースの営業利益率は8%と発表されている。
- 売上総利益率は84%で、サブスクリプションの売上総利益率は87%。
キャッシュ・フロー:
- 四半期のフリー・キャッシュフローは1,140万ドル。
- 24年度のフリー・キャッシュフローガイダンスは1億3,000万ドルに引き上げられた。
貸借対照表項目:
- 特に言及されていないが、フリー・キャッシュフローの改善と収益の伸びは、貸借対照表におけるポジティブな傾向を示している。
海外部門:
- 海外市場への投資を継続し、2021年にはドイツでプラットフォームを立ち上げ、オーストラリアでもデータレジデンシー要件をサポートするための案件を計画している。
- 政府の情報セキュリティ要件を満たすため、オーストラリアでIRAP認証を取得中。
売上高ガイダンスと傾向:
- 24年度第4四半期の売上高は2億5,400万ドルから2億5,600万ドルの範囲と予想。
- 第4四半期のNon-GAAPベースの営業利益は2,100万ドルから2,300万ドルと予想。
- 24年度通期の売上高は、25%増の9億5,500万ドルから9億5,700万ドルとなる見込み。
- 24年度のNon-GAAPベースの1株当たり純利益は0.68~0.69ドルの見込み。
経営陣は、第3四半期にビリングの伸びが加速し、企業部門が引き続き好調であることを指摘したが、SMB顧客セグメントに対するマクロ的な圧力については認め、第4四半期および通期のガイダンスについては慎重な見通しを維持した。
また、営業利益率はここ数四半期で低下傾向にあるが、これは主にパートナー支援活動やENGAGEイベントに関する営業・マーケティング費用の増加によるものであるとのことである。そして、このような投資にもかかわらず、経営陣は2024年度も売上総利益率が83%を超えると予想している。
一方で、顧客行動に大きな変化はなく、更新環境は引き続き堅調である。SMBを含むすべてのセグメントで更新は安定しており、さまざまな業種にまたがる多角的な事業がマクロ経済の影響を緩衝している。
さらに、今後の成長を促進するためのケイパビリティの採用とセルフ・ディスカバリーの役割について議論された。特に、プレミアム能力の自己発見プロセスをさらに発展・促進させ、ポートフォリオ全体をより幅広い顧客層に可視化し、取引可能にすることを目指していることから、経営陣はケイパビリティの採用の拡大について楽観的であるように見える。
以上より、スマートシートの今後の成長見通し、営業環境、フリー・キャッシュフローの改善、妥当なバリュエーションに基づき、私は同社株式に対して「強気」で見ている。