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10 - 26 - 2023

やや強気
SPDR S&P 500 ETF
やや強気
S&P 500の現在進行中の調整局面は、金利上昇環境に適応する中でバリュエーションが見直されているためであり、押し目買いの好機であるように見えます。
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【米国株式市場:最新の今後の見通し】:強気相場は終わったのか?

ローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 現在進行中の米国株の下落は、7月の高値から10%の程度の調整であり、私には、強気相場の終焉ではないように見える。
  • この下落は、主要株価指数で最も影響力のある、最も割高なテクノロジー銘柄が、金利上昇に伴うバリュエーション調整に直面しているためである。

上昇トレンドのピーク時には、全てのニュースが良いニュースとなる。

投資家は良いニュースを貪り読み、悪いニュースは無視する。

つい3カ月前もそうだった。

一方で、調整局面では、センチメントが悪化し、コンセンサスは全てが悪化すると信じているため、全てのニュースは悪いニュースとして解釈される。

今日もそのような状況であり、短期的には痛みを伴うであろう。

これは、弱気相場の時にも感じられることであり、だからこそ、今でもベア(弱気な投資家)達は、前回の弱気相場は終わっていなかったと信じているのである。

しかし、もしそうだとすれば、この1年間は、1938年の3月から11月中旬までの7ヵ月間続いた弱気相場を上回る、史上最長の弱気相場ラリーとなったことになる。

歴史からの示唆によれば、ベアマーケットは6月に終了したと考えられ、S&P 500指数は4,293ポイントで終値をつけ、その結果、10月12日のベアマーケットの最低値から20%の利益を上げたことになる。

その後さらに6.8%上昇し、7月末には4,588の直近ピークをつけた。

そして、足元の下落は、直近のピークから10%下落したことになる。

ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、この6.8%の上昇率は、弱気相場から脱却する際に、S&P500種株価指数が1~3ヶ月で記録した平均値や中央値よりも高い。

しかし、多くの人々は、この強気相場は終わったと言っている。

私としては、強気相場か弱気相場かという議論は、意味論にすぎないと考えている。

しかし、投資家心理の観点からは重要なポイントである。

最終的にはファンダメンタルズが勝つべきだが、弱気相場は終わっておらず、昨年10月のS&P500種株価指数の安値を更新する可能性が非常に高いというコンセンサスを、弱気派が市場を納得させることができれば、その可能性は高まる。

一方、強気派が、コンセンサスにより説得力のある論拠を提供し、押し目が買われ、弱気相場による更なる下落が回避されれば、強気相場が継続する可能性が高まる。

ブルとベアは今、コンセンサスを求めて、それぞれのストーリーで綱引きをしているのである。

今日、足元の金利上昇が、主要市場指数を今年最高値まで上昇させた最大手テクノロジー企業のバリュエーションに重くのしかかっているため、弱気派が優勢になっているように感じられる。

加えて、中東の地政学リスクの高まり、ワシントン(政府)の混乱、更には、インフレとの戦いにほぼ勝利しているにもかかわらずタカ派的なレトリックを吐き続けるFRBも、弱気派をの主張をサポートする材料となっている。

また、歴史が示すように、弱気相場から脱した後の最初の1年は必ずしも順風満帆ではない。

それでも、過去80年間、市場は弱気相場から抜け出した後の6ヵ月間と12ヵ月間で、平均して極めて良好なパフォーマンスを見せてきた。

私個人としては、最終的には、経済と市場のファンダメンタルズが勝利すると考えている。

今年一年、懐疑的な見方にもかかわらず、景気拡大は続きそうであり、ディスインフレ傾向も維持されている。

企業収益も、今四半期には前年同期比で増加に転じると見ている。

現在進行中の調整は、株価のバリュエーションが新たな金利環境に適応している結果である。

バリュエーションが最も高いテクノロジー株は、主要株価指数に最も大きな影響を及ぼしている。

S&P500の上位10銘柄を除けば、バリュエーションは現在の金利環境に対してはるかに妥当なものとなっている。

しかし、大企業の過大なバリュエーションを是正する過程で、全ての企業が程度の差こそあれ影響を受けているのが現状である。

私の見解では、強気相場はまだ終わっていない。

足元の下落は単なる調整であり、遅かれ早かれ終わるはずだと考えている。

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