11/06/2023

やや強気
SPDR S&P 500 ETF
やや強気
金利がピークに達し、S&P 500指数の利益が再び成長しており、経済はソフトランディングに向かっています。
【米国株式市場:最新の今後の見通し】:11月と12月は強気を維持

bull grayscale photoローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 先週、FRBの利上げサイクルが終了したとの期待から株価が急騰。
  • 一方で、発表される経済データは、インフレを冷やす軟調な展開。
  • 企業収益は年率ベースで成長率に戻りつつある。
  • ソフトランディングが視野に入りつつあり、最近の10%程度の調整は、年末ラリーの舞台を整えたと見ている。

先週のFRB会合後、投資家のコンセンサスは、ようやくFRBの利上げサイクルが終わったことを認識し始めた。

インフレ率は冷え込み続け、金融引き締めを受け、経済データは軟化を続けている。

同時に、イールドカーブ全体における金利の急上昇は反転し始めている。

そして、バリュエーションは、僅か3ヶ月前より遥かに魅力的な水準となり、経済のソフトランディングがはっきりと見えてきている。

その為、投資家は主要市場の平均株価を買い戻し、その結果、この1年以上で最高のパフォーマンスを記録した週となった。

先週の上昇は印象的だったが、その前の2週間の反落を反転させたに過ぎない。

先週の急騰の後、長期移動平均線を試すような株価の戻しがあっても驚かないが、それは新たな上昇に向けた舞台を、再度、作り出すこととなるだろう。

長期金利の急上昇を促し、株式市場の調整に拍車をかけたのは、8月と9月の労働市場の力強さだった。

私はこの時、雇用統計の下方修正を予想し、その強さに疑問を呈した。

10月の雇用者数は、予想を大幅に下回る15万人に加え、8月と9月の分は合わせて、10万1000人分下方修正された。

そして、労働時間は0.3%減少し、労働市場の軟化を反映している。

但し、雇用増加率は鈍化しているが、労働力人口の自然増を吸収するために必要な約10万人を大きく上回っている。

一方、労働参加率は引き続き上昇傾向にある。

この2つの動きにより賃金上昇圧力が緩和され、賃金上昇率は1年前の4.9%から現在は4.1%に低下しているが、インフレ率を上回っている。

実質賃金上昇率の回復は、2024年の景気拡大を維持すると見ており、ちょうど企業収益が年率ベースで再び増加に転じる時期でもある。

FactSetによると、S&P500の第3四半期の利益成長率は3.7%であり、既に構成銘柄の81%が報告している。

結果、これは、9月30日に予想された0.3%の減少から上昇する格好となった。

S&P500の11セクター中、8セクターが増益を報告している。

更に、利益率は、第2四半期の11.6%から12.1%に上昇した。

バリュエーションは、S&P500種指数が、12か月先予想EPSの17.8倍で取引されるなど、遥かに合理的になっている。

しかし、最も割高な指数上位10社を除外すると、PERが16倍程度に近づくのも事実である。

10月末に底を見たと仮定すると、私達は、強気相場の最初の調整を経験したばかりである。

調整は、平均して約14%程度であり、4カ月強続くことが予想される。

※今回は7月から10月末にかけて

通常、その後の2ヵ月間には急回復し、これが私達にとっての年末のラリーとなる。

そして、その後に続く一年間は、さらに素晴らしい上昇を見せる傾向がある。

但し、今後、このようなリターンを実現するためには、ソフトランディングを実現する必要がある。

私は、現在では、長期金利の高値は過去のものであり、主要市場平均株価の安値も過去のものであると考える。

しかし、これらの状況を維持するためには、今後、過熱しすぎておらず、一方で、冷え込みすぎていない経済データを継続して確認する必要がある。

弱気な経済指標は、景気後退が迫っていることを示すサインとしてベア(弱気派)は捉える可能性がある。

また、景気の強さを金利の上昇に結びつけ、金利の上昇を長期化させる可能性もある。

ソフトランディングは、この2つのバランスを取る行為であり、だからこそ、稀にしか起こらないのである。

しかし、年初からそうであるように、私がソフトランディングの実現を予想し続けることに変わりはない。