やや強気SPDR S&P 500 ETFすべて表示【最新】米国株の今後の見通し:足元の経済指標はソフトランディングを示唆
ローレンス・ フラー- 生産者物価指数(PPI)が予想を下回り、更に、小売売上高が予想を上回る着地となった。
- これらの結果は、ソフトランディングとS&P500の年初来高値更新の可能性を裏付けていると見ている。
11月の上昇は、FRBの利上げサイクルが7月に終了したこと、インフレ率が来年にはFRBの目標である2%まで低下すること、そして、政策を中立的な水準まで正常化するための利下げが来年前半に開始されるであろうという認識の上に成り立っている。
これらは、全てソフトランディングに必要な要素であり、2024年も強気相場が続くことを示唆している。
その為、投資家は富を蓄積する為に、ディフェンス・モードからオフェンス・モードへとポジションを変え始めている。
これまでの上昇は、明らかに、ベア(弱気な)投資家が痛みを伴う形でショート・ポジションをカバーすることによって主導されていると見ている。
しかし、基本的には、諦めた弱気派がショート・ポジションをカバーすることで、相場の大きな反転が始まるため、この上昇の重要性が薄れるわけではないと考える。
市場の上昇トレンドが再確立された今、唯一の懸念は、主要株価指数が過去13取引日のうち2取引日を除いてすべて上昇し、パニック買いのように見える垂直的な動きをしていることである。
政府閉鎖を回避する予算決議案が下院で可決されるなど、短期間に多くの好材料が織り込まれている。
個人的には、足元の上昇は、一旦戻して調整される必要があると私は考えている。
しかし、レジスタンスであったものが、今ではサポートとして機能することが予想されるため、それほど痛みを伴う展開とはならないと見ている。
参考までに、足元、S&P500種指数は4,400ドル、50日移動平均線は4,336ドルである。
この上昇を支えるファンダメンタルズとして、昨日、10月の生産者物価指数(PPI)と小売売上高という2つの好材料が飛び込んできた。
予想の0.1%上昇に対し、生産者物価指数は先月0.5%下落し、月間ベースでは2020年4月以来最大の下落となった。
食品とエネルギーを除いたコア金利は、0.3%上昇の予想に対して、横ばいだった。
そのため、ヘッドライン・レートは年率換算で1.3%と2.1%低下し、コア・レートは2.7%から2.4%に低下した。
生産者物価指数は消費者物価指数(CPI)に先行する傾向があることから、これらの下落は今後のディスインフレ傾向を強めると見ている。
下のグラフは、インフレ率は、上昇した時と同じ速さで低下するという私の長年の主張を裏付けている。
FRBが目標とする2%に関して、私たちが待っているのは、下のグラフが示すように、シェルター・コストだけである。
今週発表された10月のコア消費者物価指数から住居費を除くと、インフレ率は1.3%となり、すでにFRBの目標を下回っている。
新規賃貸料と住宅価格上昇の減速は、住居費(シェルターコスト)が大幅なタイムラグを伴って算出されることを考慮すれば、今後数カ月で住居費が大幅に減少することを示している。
だからこそ、私は、FRBの予想よりも遥かに早くインフレ目標に到達すると確信している。
そして、株式市場も債券市場もこのことを認識し始めていると見ている。
労働市場の軟化や学生ローンの返済再開にもかかわらず、第4四半期の消費者によるアクティビティは堅調に推移した。
先月の小売売上高は0.1%減と、予想の0.3%減を上回る着地となった。
前2ヵ月が上方修正されたことを考えると、この数字はさらに印象的だった。
借入コストの上昇に阻まれた自動車販売を除くと、小売売上高は0.1%増となった。
そして、外食、自動車、建材、ガソリンを除いたコントロールグループ売上高は0.2%増となった。
これはGDPの算出に使われる数字であり、第4四半期は順調なスタートを切ったことになる。
要するに、この2つの報道は、私が年初から説いてきたソフトランディングのシナリオを後押しするものであり、生産者と消費者の価格圧力が緩和される一方で、消費の実質的な伸びが景気拡大を維持するというものである。
この比較的新しい強気相場における最初の調整は終わったように見える。
次の上昇局面では、平均的な銘柄がアウトパフォームを始めると予想される。
ベア派は既に、年末に向けて「大規模な」相場反転を求め始めているが、反転は既に起きている。
相場は上昇に転じており、下降には転じていない。
短期的な買われ過ぎを解消するために株価が一時的に戻すかもしれないが、それは、あくまでも、S&P500種株価指数が今年の最高値を更新する過程の一部であると見ている。