11/29/2023

やや強気
SPDR S&P 500 ETF
やや強気
FED(米連邦準備制度理事会)は、2024年上半期にピーク金利から利下げへと転じており、その影響で債券利回りが低下し、株式の評価額が上昇しています。
【最新】米国株の今後の見通し:FRBのタカ派はハト派に転じ、株価は上昇トレンド

white bird on brown wooden fence during daytimeローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派メンバーの一部はハト派に傾き始めている。
  • このシフトは債券利回りを低下させ、更に株価を上昇させ、結果、S&P500は年初来高値更新に迫っている。

FRBのタカ派がハト派に転じ始めた今、市場における強気派が喜ぶ新たな理由ができた。

一般的には、今週予定されている数人のFRB高官のうち、少なくとも1人は、インフレを抑制するためには更なる金融引き締めが必要であることを示唆し、株高に冷や水を浴びせるだろうと思われていた。

しかし、それどころか、今年最も熱烈なタカ派の一人が心変わりしたのである。

クリストファー・ウォラー理事は、「政策が現在、景気を減速させ、インフレ率を2%に戻すのに十分な位置にあるとますます確信している」と述べている。

この発言は投資家にとってハト派的な方向へシフトしたも同然で、そのため2年物国債利回りは発言中に14ベーシスポイントも急落した。

そして、2年物国債利回りは、5%の高値から足元の4.65%まで下がり続けている。

2年物国債は、約1年後のFRB ファンド金利の動向を示す最良の指標と見なされている。

390億ドルの7年物国債入札は需要が乏しかったにもかかわらず、利回り水準が軒並み低下し、10年物国債の利回りは4.26%まで低下した。

そして、利回りの低下は、足元の市場において、株価を支える要因となっていると見ている。

投資家たちは、FRBファンド先物に基づく最初の利下げ予想を5月に引き上げており、これは現在、私の見通しと一致している。

また、6月の会合での2回目の利下げも予想されている。

これはほんの23ヶ月前と比べると大きな変化だが、今年前半にはほとんど見られなかったディスインフレのトレンドが、2023年後半には、2%のインフレ率が目前に迫っているというコンセンサスの高まりを確信させている。

そうなれば、FRBは、今日の制限的な金融政策から、より中立的な金融政策に移行できると考えている。

そして、FRB関係者によれば、中立的なインフレ率は約3%だという。

私は、5月(またはそれ以前)から12月までの各会合で利下げが行われることで、来年末までにこの水準の短期金利に到達すると考えている。

1年前、景気後退と弱気相場の継続を予測していたベア(弱気派)たちが、同じ過ちを繰り返している。

景気後退と弱気相場の継続を予想し続ければ、いつかは間違いなく当たるだろう。

なぜなら、将来のある時点では、再び景気後退と弱気相場がやってくるのは間違いないからである。

しかし、経済と市場のファンダメンタルズは、今のところそれらのシナリオを支持していない。

リスク資産価格が回復するにつれ、ガス価格が急落し、消費者心理が落ち込んだ状態から立ち直りつつあるということを、ベア(弱気派)に警告しておこう。

コンファレンス・ボードが発表した10月の消費者信頼感指数は4ヶ月ぶりに上昇した。

11月に起こったことを考えれば、この指数が上昇を続けることは間違いない。

新年を迎えるにあたり、自信は自信を生み、ポジティブなフィードバックのループとなるだろう。

来年の景気後退の可能性が高いと回答した人の割合は、2023年の最低レベルまで低下した。

景気縮小は、何よりも先行きに対する自信に関わることなので、これは重要なことである。

今月は内部関係者が自社株を買い、買い手と売り手の比率が6ヵ月ぶりの高水準に達しているため、企業経営者も自信を深めているようだ。

内部関係者が積極的に自社株を売却していたことを考えると、これはS&P500種指数が年初来高値を更新した7月とは正反対である。

したがって、景気後退懸念のために一年中落ち込んでいた消費者心理と景況感が改善し、FRBが短期金利の引き下げに踏み切ることで、予想よりも早いインフレ正常化が実現すれば、少なくとも2024年前半は非常に良い相場になる可能性がある。

私は、上昇トレンドをリフレッシュするための一時停止や小幅な反落を見たいというのが本音である。

しかし、私がFRBのサブリミナル的な方向転換」と呼ぶ足元の状況は、市場を支えるもう一つの強気要因となり、万が一市場で反落が起きた場合にも、その下げ幅を制限する効果があるだろうと見ている。