【最新】米国株・S&P500の今後の見通し:ソフトランディングを目前に小型株が上昇、中間サイクルでの景気減速が視野に
ローレンス・ フラー- 先週、ダウ工業株30種平均は終値で40,000ドルを突破し、株価は史上最高値を更新。
- インフレ率がピークに達した2022年以降、主要経済指標は緩やかに改善し、金融市場も上昇を継続。
- 個人消費の強さと財政刺激策に支えられた経済成長は続いており、ソフトランディングの見通しがコンセンサスとして高まっている中、特に小型株が最近の市場回復を牽引。
先週、主要市場の平均株価は史上最高値を更新し、ダウ工業株30種平均は金曜日の終値で40,000ドルを突破した。
これは、インフレ率に代表される過去2年間の高頻度経済データのポジティブな変化率に注目していた投資家にとっては驚きではないだろう。
消費者物価指数(CPI)のピークは2022年6月の9.1%で、これは前回の弱気相場中のラッセル2000指数の最低水準と一致する。
コアCPIのピークは2022年9月の6.6%で、これはS&P500の弱気相場最安値の1ヵ月前であった。
それ以来、両指数の年率は緩やかかつ着実に低下しており、主要株価指数は期待される典型的な調整と反落を繰り返しながら上昇を続けている。
私がソフトランディングの見通しを語り始めたのは、インフレ率がピークに達した2022年夏ごろのことだった。
この見通しでは、金融引き締めのもとで経済成長率が鈍化し、失業率の大幅な上昇や景気後退を招くことなく、インフレ率がFRBの目標である2%まで低下することを示唆していた。
そして、それがほぼ現実となってきている。
しかし、ここ数カ月は、シェルター(住居関連)を筆頭とするインフレ指標のいくつかの構成要素が、他の構成要素よりも調整に時間を要しているため、ゴールが見えにくくなっている。
ただし、それでも、全体的なディスインフレの流れは変わっていないと見ている。
金利が低下トレンドを再開し、リスク資産価格が回復したのはこのためだ。
そして、果たしてこの傾向は続くのだろうか?
この拡張の耐久性は、それが築かれた土台にすべてが関係している。
この土台は極めて強固なものだ。
前回の景気後退からの回復は、前例のないほどの財政刺激策によってもたらされている。
つまり、中低所得者層を中心に、消費者の懐に直接資金を投入したのである。
これらの世帯は、貯蓄傾向の強い高所得世帯に比べ、消費傾向がはるかに強い。
その結果、金融刺激策を中心とした大金融危機後の景気回復に比べ、はるかに力強くスピーディーな回復となった。
超低金利は、借り入れ資格のない回復初期の消費者には役立たない。
また、低賃金労働者が過去4年間でインフレ調整後の賃金を最も上昇させたため、私たちは中低所得者層で最大の賃金上昇を確認出来ている。
経済成長の主な燃料は個人消費である。
財政刺激策と実質賃金上昇の組み合わせが、ここまでの経済成長を支えてきた。
個人消費の伸び率が軟化しているため、景気拡大の成熟期に見られる債務残高や下層部の信用力の悪化に疑いの目が向けられている。
しかし、消費者債務の総額は返済能力とは無関係であるため、今のところ気にする必要はないと見ている。
そして、可処分所得に占める債務返済額の割合は歴史的に低い水準にある。
現在の景気は、以前の景気循環に比べれば金利感応度ははるかに低い。
これは主に、パンデミック後のゼロ金利に近い時期に起こった住宅ローンの借り換えによるものである。
消費者は、収入に対する負債残高の総コストが低いため、より多くの負債を抱えることができる。
これが、今年後半にソフトランディングが見えてくる理由である。
株式市場は、年初来の上昇でこの展開を織り込んでいる。
この景気拡大は2025年まで続くはずで、その間に1990年代半ばのような中間サイクルでの景気減速を経験することになるだろう。
これはリスク資産価格にとって極めて強気な背景である。
しかし、この強気相場が始まった2022年10月以来、S&P500種株価指数の52%上昇を支えてきた銘柄が、次の上昇の原動力となることはないだろう。
具体的には、ここ1ヶ月の間に小型株(IWM)が、S&P500(SPY)やナスダック100(QQQ)をアウトパフォームするほど、ようやく反発し始めている。
過去12ヶ月の間にも、このような現象が短期間見られたが、その後小型株のアウトパフォームは鳴りを潜めていた。
しかしながら、米国経済がサイクル半ばで減速する中、ソフトランディングの見通しがコンセンサスとして高まっていることから、今回の小型株主導のトレンドはまだ続くと私は考えている。