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06 - 18 - 2024

中立
SPDR S&P 500 ETF
中立
指数の幅が悪化(上昇している銘柄数が減少)していることから、昨年夏に見られたような引き戻しが見られる可能性がある。
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【最新】米国株・S&P500の今後の見通し:株価指数は2024年で30回目の史上最高値更新も、上昇している銘柄数は限定的

ローレンス・ フラーローレンス・ フラー
  • S&P500種株価指数は史上最高値を更新し、ラッセル2000指数も0.84%上昇したが、主要株価指数は少数のテクノロジー関連銘柄に牽引されている。
  • 市場全体のパフォーマンスに問題は見られないが、テクノロジー銘柄と他のセクターとの間に乖離が見られ、今後、調整を必要としている可能性がある。
  • 現在見られる幅の狭さ(上昇している銘柄数)は極限に達しており、私は、今後、S&P500指数が3~5%の下落局面を向かえるのではないかと見ている。

S&P500種株価指数は昨日の引け後、2024年以来30回目の史上最高値を更新し、小型株で構成されるラッセル2000種株価指数は0.84%上昇するなど、より幅広い市場参加が見られたが、幅の広さ(上昇している銘柄数)は明らかに問題である。

主要株価指数は、ごく少数のテクノロジー関連銘柄が上昇を牽引している。

イコール・ウェイト型のS&P500指数が4.5%上昇したように、他の銘柄のパフォーマンスが悪いわけではないのだが、この秋に続くはずの上昇トレンドをリフレッシュするには、下落とは言わないまでも、一旦休憩を入れる必要があるのではないかと感じている。

ファンダメンタルズに亀裂は見られず、経済のソフトランディングや今後612ヶ月の強気相場継続の見通しに懸念はないが、最近の市場力学には疑問を感じる。

弱気派は何カ月もこのような動きをしつこく指摘してきたが、私はついにこの動きが重要な意味を持つ時期に来たと思う。

パフォーマンスと相対的な強さに基づくと、時価総額加重型のS&P500とイコール・ウエイト型のS&P500の乖離はかつてないほど極端に達している。

この点に関して、私がリサーチのためにフォローしているいくつかのソースが警鐘を鳴らしている。

しかし、それらはすべて定量的またはテクニカルなものであり、私がファンダメンタルズ的な見通しを調整する必要はないと考えている理由である。

問題はテクノロジー・セクターとそれ以外の市場との間だけでなく、最大手テクノロジー銘柄とそれ以外のテクノロジー銘柄との間にもある。

SentimenTraderのアナリストは、ナスダック100QQQ)が連日史上最高値を更新する一方で、同指数内の多くの銘柄が月間最安値を更新しているのを見たことがないと指摘する。

悪いニュースとしては、過去に同じような現象が起きた場合、その後13ヶ月の間に同指数は下落局面を迎えることが多かったが、良いニュースとしては、同指数は通常その1年後には上昇していることが挙げられる。

また、DataTrekのアナリストは、S&P500とテクノロジー、ヘルスケア、金融、産業、消費者裁量セクターの相関関係もまた、異なる極端な状態に近づいていることを下図で指摘している。

市場が極端な圧力にさらされ、投資家がすべてのセクターの株を幅広く売っているときのように、各セクターが互いに密接に連動することはまったくない。

それどころか、相関は非常に低く、インデックスが通常逆風に見舞われるときの水準に近づいている。

前回このような現象が見られたのは昨年7月のことで、このときは相場の天井と重なり、その後10%の調整が行われている。

それ以前には、2020年から2021年にかけて35%の下落局面となっている。

下落局面があったとしても、その下落の深さを知る術はないが、現時点では、より保守的なポジショニングを取ることが賢明であることを示唆している。

場全体が後退するきっかけは何だろうか?

私は、ディスインフレの進行に伴う景気低迷の兆候の拡大が最も可能性の高い理由だと考えている。

そうなれば、ベアはインフレ懸念の煽りから、再び景気後退を警告する方向に舵を切るはずで、FRBが緩和政策を開始すれば、私がアウトパフォームを期待する、よりシクリカルなバリュー志向のセクターにとっては逆風となるだろう。

加えて、FRB幹部が最初の利下げに踏み切る前にあまり予告をするとは思えない。

そして、パウエル議長をはじめとする中央銀行団は、金融情勢がこれ以上緩まないことを期待して、「高い金利を長く維持する」という表現を使えるだけ使うつもりだろう。

実際に、この手法が現実よりも単なるレトリックであったとしても、それはまた市場の懸念を引き起こす可能性がある。

バリュエーションの問題は、市場リーダーに関しては維持できるかもしれないが、第1四半期の持続不可能な水準から収益成長率が鈍化するにつれて、さらに拡大することも難しくなるだろう。

要するに、今後48週間は、良くて小休止、最も可能性が高いのは反落、最悪のシナリオでは昨年夏のような再調整となる可能性があるのではないかと見ている。

長期的には強気な見通しを維持しながらも、株式市場に警戒感を抱いてから約1年が経過した。

昨年8月の初め、私は今日とよく似た感覚を抱いていた。

つまり、最も割高な成長株から、よりバリュー志向の強い中堅・中小企業へのローテーションを通じて、市場全体がプルバックし、史上最高値まで回復するだろうと予想していた。

そして、実際にそれが昨年第4四半期に見られたことである。

私は、今日35%の下げが最も可能性が高いと見ている。

なぜなら、投資家はテクノロジー・セクター以外の機会に焦点を当て、再び下落局面を買おうとするからだ。

FRBによる利下げが近づくにつれ、マネー・マーケット口座には記録的な現金の山があるのも現状で、今後、新たな住処を探すことになるだろう。

その資金が株式と債券のどちらに向かうにせよ、リスク資産にとってはポジティブであると言える。

イールド・カーブがいずれ再びスティープ化し始めれば、よりバリュー志向で金利に敏感なセクターや小型株にとって追い風となり、今年これまで欠けていた幅の改善(上昇している銘柄数の拡大)につながるはずである。

テクノロジー・セクターが不調というわけではないが、そのアウトパフォームの度合いも終わりが近づいているのではないかと見ている。

最大手テクノロジー企業の収益成長率は、今年第1四半期に見られた持続不可能な水準から低下していくだろう。

一方、S&P 500種構成銘柄の他の10セクターでは、第1四半期決算期にネガティブ・ガイダンスよりもポジティブ・ガイダンスの方が多く、利益成長率は順次改善するはずである。

これがローテーションのきっかけとなる。

従って、今日、株式配分の現金ウェイトを小幅に増やすことで、投資家は今後68週間、AI熱に煽られたメガ・キャップ・テクノロジー株とそれ以外の銘柄との間の持続不可能な乖離が解消される中で、掘り出し物を見つけることができるだろう。

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