01/03/2025

【マクロ経済】2025年の米国経済のリセッション(景気後退)の可能性とは?S&P 500とビットコインの今後の見通しに迫る!

a person flying through the air on a cloudy dayジェームズ・ フォードジェームズ・ フォード
  • 本稿では、2025年の米国経済のリセッション(景気後退)の可能性とS&P 500(SPX)とビットコイン(BTCUSD)の今後の見通しを詳しく解説していきます。
  • 米国経済は依然として力強さを保ち、完全雇用や安価なエネルギーコストなどの要因で長期的な成長が期待される一方、2025年後半の景気後退の可能性や市場の不確実性に備える必要があるでしょう。
  • 企業収益の上方修正やタイトなクレジットスプレッド等、強気の要素も無視できない一方で、PMIの低水準や国債利回り差の変動など、景気後退を示唆するデータもあります。
  • ビットコインは2025年第1四半期から第4四半期にピークを迎える可能性があり、段階的な売却戦略を採用して市場変動に柔軟に対応することでリスクを抑えつつ利益を確保する予定です。

※「【マクロ経済】2025年度の米国経済見通しはソフトランディング目前で良好?」の続き

前章では、2025年度の投資機会と課題を象徴する10のマクロテーマや予測を踏まえながら、2025年度の米国経済見通しに関して詳しく解説しております。

本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。

2025年度の米国経済におけるリセッション(景気後退)の可能性

これまで私の過去の分析レポートを追ってきた方なら、2024年を通じて強気の姿勢を維持していた一方で、強気相場のサイクルが終盤に差し掛かっている可能性があると警告していたことをご存じだと思います。

現時点で私の基本的な見解が大きく変わったわけではありません。しかし、過去6か月間で得られたデータをすべて精査し、それに基づいて見直しを行わないのは、あまりに軽率と言えるでしょう。

2025年後半に景気後退が発生する可能性はあるでしょうか?その可能性は否定できません。しかし、短期的には市場から得られる強気のデータや指標を無視することはできません。

米国経済は表面的には非常に力強く見えます。

来年の企業収益予想も再び上方修正されつつあります。

企業業績成長の減速に注意

(出所:MacroMicro)

さらに、金融環境は驚くほど良好で、クレジットスプレッドも非常にタイトな状況が続いています。

金融危機への警戒

(出所:MacroMicro)

一方で、景気後退を示唆する弱いデータも存在します。

米国シカゴPMI指数

(出所:MacroMicro)

PMI(購買担当者指数)は、不況時にしか見られない水準に達しています。

10年物国債利回り(固定満期)から3カ月物国債利回り(固定満期)を差し引いたもの

(出所:Federal Reserve Bank of St. Louis)

さらに、10年物国債と3カ月物国債の利回り差が逆転から正常な状態に戻ったことも確認されています。

これらの状況をどのように解釈すべきでしょうか?

私の考えでは、米国経済には依然として多くの潜在的な強みがあり、長期的な成長を支える要因が揃っています。

現在の状況は、力強い生産性の向上、完全雇用、そして安価なエネルギーコストに支えられた1990年代と似ている部分が多いです。

加えて、FRBや政府が市場を支援する姿勢を明確に示していることも、大きな安心材料と言えるでしょう。

とはいえ、2025年は大きな不確実性を伴う、非常に変動の激しい年になるでしょう。トランプ政権の新体制、中国、さらに中東やロシアの動向など、多くのリスク要因が控えているからです。

加えて、米国以外の国々の経済状況はさらに弱まっているように見えます。

こうした状況から市場が下落する可能性はありますが、私はむしろこれを買いの好機ではないかと考えています。

そのため、私の運用するポートフォリオの1つである「マクロETFポートフォリオ」では現金を多めに確保しており、それを効果的に投入する準備を進めています。

 マクロETFポートフォリの詳細

また、私のマクロETFポートフォリオの2024年12月初旬時点の詳細なアップデートに関心がございましたら、下記の分析レポートを併せてご覧いただければと思います。

S&P 500(SPX)の今後の見通し

S&P 500(SPX)の株価推移

(出所:TrendSpider

私の基本シナリオでは、波Cの中で安値を形成し、200日移動平均線(EMA)の再テストを試みる展開になると考えています。この場合、目標は5600付近となり、場合によってはそれ以下の水準も視野に入るでしょう。

もし200日EMAを明確に下回れば、弱気派が市場を主導する展開になるのは避けられません。

一方で、下落後に6200付近まで反発し、その先を目指す場合には再び慎重な姿勢が求められます。また、2.619倍の拡張水準である6800という目標値も考えられます。

現時点では少し現実離れしているように思えるかもしれませんが、もし2024年と同様のリターンが実現すれば、この水準に到達する可能性は十分にあります。

その場合、私は市場からほぼ撤退する予定です。

ビットコイン(BTCUSD)のサイクルとピークとは?

ビットコイン流動性指数

(出所:Delphi Digital)

ビットコイン(BTCUSD)のサイクルは順調に進んでいるようです。過去のサイクルに基づくと、2025年第4四半期頃にピークを迎えると予想されます。

しかし、私はピークがもっと早く、第1四半期頃に訪れる可能性が高いと考えており、そのピークも比較的浅いものになるかもしれません。

ビットコイン(BTCUSD)の推移

(出所:TrendSpider

日足チャートに注目すると、現在は波4の調整過程にあり、50日指数平滑移動平均線(EMA)でサポートを見つけたようです。調整がさらに進んで86,000ドル付近まで下落する可能性もありますが、すでに底を打った可能性も否定できません。

ビットコイン(BTCUSD)の推移

(出所:TrendSpider

弱気市場からの回復は2倍、場合によっては2.618倍の拡張水準に達する見込みがあります。予測通り、1.618倍の拡張水準で抵抗が見られたことにも注目すべきです。

これがピークでしょうか?その可能性はありますが、私はそうではないと考えています。

現在、ビットコイン(BTCUSD)の売却戦略を計画中

私のビットコイン(BTCUSD)売却戦略は次のように段階的なアプローチを採用しています:

売却ポイントを段階的に設定

保有資産を段階的に売却する価格帯を事前に決めておきます。例えば、1.618倍の拡張水準($102,000付近)で50%を売却し、トレンドラインの抵抗水準に近づいた際にさらに30%を売却します。残りの20%は、長期的な成長を期待して保持するか、無期限で保有します。このように段階的な売却ゾーンを設定することで、利益を確定しつつ、将来的な価格上昇の可能性も考慮するバランスの取れたアプローチが可能となります。

勢いが弱まったら売却を検討

指数平滑移動平均線(EMA)やRSIのダイバージェンスといったテクニカル指標を注視しています。これまでの歴史的なデータでは、20週移動平均線が50週移動平均線を下回るといった重要なシグナルが下落の前兆となるケースがありました。現在、同様の兆候が見られ、勢いが弱まってきている可能性があります。これは、売却のタイミングを検討するための早期警告として活用できるでしょう。

ビットコインのサイクルに基づくタイミング

ビットコインは過去の傾向から、半減期の12~18か月後にピークを迎えることが多いとされています。2024年4月19日に最後の半減期が行われたため、2025年4月から8月の間にピークを迎える可能性があります。ただし、市場の動向や期待によって、このタイミングが前後する可能性も考えられます。

こうしたアプローチを取ることで、リスクを抑えつつ、市場の変動に柔軟に対応する準備が整えられるでしょう。

次章では、私のマクロETFポートフォリオを運用する上で注目する2つの国と私の最新のポートフォリオアップデートに関して詳しく解説していきます。

※続きは「【マクロ経済】2025年に私が投資対象として注目する2つの国と最新のマクロETFポートフォリオ動向を徹底解説!」をご覧ください。

また、毎週、マクロ経済、並びに、注目のテクノロジー関連銘柄に関するレポートを複数執筆しており、私のプロフィール上にてフォローしていただければ、最新のレポートがリリースされる度にリアルタイムでメール経由でお知らせを受け取ることが出来ます

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アナリスト紹介:ジェームズ・ フォード

📍米国マクロ経済&テクノロジー担当

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