夏の景気減速にご用心!株価に影響大!?家計や企業への影響を徹底解説

- 個人消費の減速が経済全体の足かせに
個人個人消費の勢いが明確に落ちています。 特に5月の小売売上高は大きく減少し、自動車や外食など、これまで好調だった分野でも支出の抑制が見られます。これは今後の景気全体にブレーキをかけるでしょう。消費の減速が経済全体の足かせに - 株価調整のリスクが高まる経済指標の悪化
経済の弱さを示すデータが続き、現在の株価水準が過熱気味に見えます。 企業の利益成長期待が先行しているため、実際の景気減速は、株価が一時的に下落する調整局面につながる可能性があります。 - 物価上昇が消費と企業活動をさらに圧迫
需要の反動減に加え、物価上昇が消費者の財布を直撃し始めます。 原材料高は企業のコストを押し上げ、利益を圧迫。この二重苦が、夏以降の経済活動をさらに停滞させる恐れがあります。
経済成長が鈍化する兆しが見えてきました。特に個人消費の減速がその中心です。先日発表された5月の小売売上高を見ると、この予測が現実味を帯びてきたことがわかります。
これまでは、関税による値上げを避けるために商品を前倒しで購入する動きがありましたが、その反動が今、表れています。消費者は支出を控え始め、さらに今後は物価上昇が追い打ちをかけ、需要がさらに落ち込む可能性があります。
この経済の弱さや、中東情勢の緊迫化(トランプ大統領がイランに「無条件降伏」を要求したことなど)を受けて、株式市場は前日の上昇分を失う結果となりました。
(出所:Finviz)
小売売上高が予想以上に低迷!あなたの家計にも影響が?
5月の小売売上高は前月比0.9%減と、予想以上に大きく落ち込みました。これは2023年11月以来、最も大きな減少幅です。さらに、4月のデータも当初の0.1%増から0.1%減に下方修正されています。
今回の減少で特に目立ったのは、自動車販売の3.5%減でした。これに建築資材やガソリンの売上減少が続いています。これらは以前から、ガソリン消費量に関するEIAの週次レポートで懸念が示されていたものです。
過去1年間で見ると、小売売上高は3.3%増と一見すると堅調に見えますが、物価変動を考慮するとわずか0.9%の増加にとどまります。今後、物価が上昇し、雇用情勢がさらに厳しくなると、この売上高の減少傾向は数ヶ月続く可能性が高いでしょう。
これは、国全体の経済成長を示すGDP(国内総生産)の予測が下方修正されたり、企業の売上や利益の伸びも期待を下回ったりする可能性を示唆しています。
外食控えも深刻化?サービス業界全体への影響とは
(出所:Bloomberg)
今回のレポートでは、13のカテゴリーのうち7つで売上が減少しました。その中には、私たちが普段利用するバーやレストラン(外食)も含まれています。これはサービス業の中で唯一含まれるカテゴリーであり、人々の「ぜいたく品」への支出の強さを見る上で重要な指標です。
5月の外食売上も0.9%減と、2023年初頭以来の大きな落ち込みとなりました。これは、ISMやS&Pグローバルが発表しているPMIレポート(購買担当者景気指数)で、サービス業界全体の減速の兆候が強まっていることと一致しており、今後の景気動向に懸念を抱かせます。
GDP成長の減速はどこまで進む?個人消費の動向がカギ
経済成長の減速は、アトランタ連銀が発表しているリアルタイムGDP予測でも確認できます。現在の第2四半期の成長率予測は3.5%ですが、このうち2%以上は、第1四半期の成長を大きく押し下げた貿易赤字の改善によるものです。
個人消費(PCE)はGDP全体の3分の2以上を占めるため、この数字が特に重要です。個人消費支出の成長率は、昨年第4四半期の4%から今年第1四半期にはわずか1.2%へと急減速し、GDP全体への貢献も0.8%にとどまりました。在庫の積み増しや設備投資が、消費の低迷や巨額の貿易赤字を一部相殺していた状況です。
(出所:Federal Reserve Bank of Atlanta)
第2四半期の初めには、4月2日に発表された関税の影響を先読みして、消費者が買い物を加速させる動きが見られました。しかし、その支出の伸びはピーク時の4%から現在では1.9%へと急減速しており、GDP全体への貢献もわずか1.31%にとどまっています。
関税による物価上昇が本格的に影響を及ぼし始めるにつれて、この夏も経済成長の減速は続くと予想されます。今年後半には、過剰な在庫や貿易赤字の状況は落ち着き、個人消費が再び経済成長の原動力となると見られています。
株価への影響は?ウォール街の期待を下回る可能性も
今年の経済成長率は1%に近づく可能性があり、これはウォール街が予想するS&P 500企業の売上高5%増、利益9%増という高い目標を達成するのを非常に困難にするでしょう。もし2025年の企業の売上や利益の伸びが鈍化すれば、現在の株価の評価(PER21.6倍)を維持するのも難しくなります。
このような理由から、私は夏の経済減速が株式市場全体で3〜5%程度の調整(株価の下落)につながると考えています。