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12 - 13 - 2023

やや強気
AT&T
やや強気
AT&Tはフリーキャッシュフローの大幅な成長を見せており、近い将来に増配が期待されます。株価も非常に割安で、高い配当利回りを確保する好機であるように見えます。
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AT&T(T)予想配当利回り 6.7% / 強気:高配当テレコム関連銘柄の株価・バリュエーション分析と今後の見通し(後編)

ヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • デジタルの世界では、インターネットさえあれば何でも手に入るのが現状である。
  • 本稿では、加入者数で米国最大の通信会社大手、AT&T(T:予想配当利回り6.7%)について考察する。
  • AT&Tの現在の6.7%の配当利回りは、同社の安定した事業を踏まえると、高配当銘柄を求める投資家にとって魅力的な投資機会となっている。

※「テラス(TU)年間予想配当利回り 6.1% / 強気:高配当テレコム関連銘柄の株価・バリュエーション分析と今後の見通し(前編)」の続き

はじめに

今日のデジタル社会では、あらゆることが指先で実現できる。

食料品や食品を注文して配達してもらったり、請求書を支払ったり、リモートで本業をこなしたりすることさえできる。

テクノロジーはこれら全ての可能性を実現することからも、「信頼できるインターネットへの接続」は、デジタル・エコシステムにおける酸素のようなものである。

この「信頼できるインターネットへの接続」という重要な要件は、通信会社が提供する固定回線やワイヤレス接続によって実現される。

そして、ここで注目したい点としては、これらのテレコム業界の企業は、投資家に対する定期的な配当金支払いを通じて、投資家と利益を共有することで広く知られている点である。

ここでは、加入者数で米国最大の通信会社であるAT&T(T)を見てみたい。

AT&T(T:年間予想配当利回り:6.7%)

AT&Tは、技術および電気通信サービスの世界的な大手プロバイダーであり、以下の中核事業部門を有する。

  1. モビリティ(Mobility):全国規模のワイヤレス・サービスと機器を提供

  2. ビジネス・ワイヤライン(Business Wireline):高度なイーサネットベースのファイバーサービス、IPボイス、マネージド・プロフェッショナル・サービスのほか、従来のボイス&データサービスや関連機器を法人顧客に提供

  3. コンシューマー・ワイヤライン(Consumer Wireline):マルチ・ギグ・サービスを提供するファイバー接続を含む、ブロードバンド・サービスを提供

米国では、AT&Tのネットワークは全ての主要都市圏をカバーし、3億3,700万人以上が4G/5Gサービスを利用している。

メキシコでも大きな存在感を示しており、1億人以上の顧客にサービスを提供している。

2022年度末時点で、AT&Tは2億1,700万人以上のモビリティ顧客、8,500万人のポストペイド、1,900万人のプリペイド、600万人の再販業者、1億700万台の接続デバイスにサービスを提供している。

AT&T(T)のバリュエーション

通信事業は資本集約的なビジネスであり、大手企業は近年、5Gや光ファイバーの展開をサポートするために多額の投資を行っている。

しかし、こうした初期投資は、結果的に、事実上競争のないテレコム業界で、今後何年にも渡る収益化の道を開くものである。

そのため、AT&Tは1,380億ドルの純負債を抱えており、この巨額な数字が、金利上昇下で同社への評価を下げる要因となっている。

さらに市場は、同社が配当の停止や減額をせずに債務を維持するのは困難だと考えている。

しかし、私は、これは事実に反した見方だと見ている。

なぜなら、第3四半期において、同社は純負債を30億ドル以上削減し、2025年上半期までに2.5倍の純有利子負債対調整後EBITDA目標を達成する方針を維持しているからである。

当四半期に発生したフリーキャッシュフローは52億ドル(前年同期比13億ドル増)であり、同社は2023年のフリーキャッシュフローのガイダンスの目標を165億ドルに引き上げている。

このフリーキャッシュフローの規模は、単に分配金をカバーするだけでなく、債務償還や資本支出に充てることもできる程の規模感である

さらに、AT&Tの長期債務の95%以上は平均利率4.2%の固定で、加重平均償還期間は16年である。

このため、同社はこの金利サイクルを容易に乗り切り、金利上昇の影響を最小限に抑えながら債務を履行することができると見ている。

市場における非合理的な仮定や仮説のおかげで、AT&Tは、現在、フォワードPER6.8倍、更に、EV(企業価値)/調整後EBITDA倍率が6.6倍で取引されている。

そして、これらのバリュエーションにより、AT&Tは、アップサイド・ポテンシャルを持つ、非常に割安な企業となっている。

AT&T(T)の配当

AT&Tは、数十年にわたり信頼できる配当の担い手である。

長年にわたる配当金の支払いを見てみると、投資家は2022年に46%の減配があることにすぐに気づくだろう。

これは、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を設立するために、同社が事業の大部分であるメディア部門を分離したためである。

AT&Tの株主は新会社の株式を受け取り、新しい配当は、取引後も存続する新生AT&Tのフリーキャッシュフローを反映したものである。

AT&Tの現在の配当金は1株当たり0.278ドルで、年換算利回りは6.7%となる。

また、この配当水準は、フリーキャッシュフローベースの配当性向で59%、調整後EPSベースの配当性向で50%であることからも、同社の保守的な運営によって十分に維持されることができると見ている。

こうした配当性向の水準と、2024年以降の資本経費削減という同社の予測を踏まえれば、投資家は間もなく同社株式から緩やかな配当の増額が期待できると考える。

AT&T(T)に対する結論

AT&T株は著しく割安に放置されている。

5Gと光ファイバーへの投資がほぼ終了した現在、同社のフリーキャッシュフローの創出は強化され続けている。

AT&T、ベライゾン、Tモバイルにより北米の通信業界が寡占されていることからも、通信業界のリーダーである同社は今後数年間、過去の投資のリターンを得ることになる。

私は、同社がキャッシュフロー・マシーンであることを市場が認識するまで、じっくりと腰を据えて、同社株式から6.7%の配当利回りを受け取り続けたいと思っている。

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