10/20/2024

やや強気
AT&T
やや強気
2024年上半期、AT&Tは77億ドルのフリーキャッシュフロー(前年同期比48%増)を生み出し、そのうち40億ドルを普通株の配当に充当しました。現在、同社の予想PERは10倍と、市場が過熱する中で非常に割安な投資先となっています。
AT&T(T:強気)の今後の株価予想:予想PERは10倍と割安!予想配当利回りも5.1%と高水準で魅力的!

silhouette photo of transmission postヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 本稿では、AT&T(T:予想配当利回り5.1%・配当性向51%・1株当たり配当金0.2775ドル)の2024年7月24日に発表された最新の2024年度第2四半期決算と配当推移、さらに、同社の財務パフォーマンスを詳細に分析していきます。 
  • そして、それらの分析を通じて、同社の今後の株価予想と将来性を詳細に解説していきます。 
  • 投資した1ドルあたりの収益を最大化することで、理想のポートフォリオを作ることができますが、そのためには、 無闇にリスクを増やすのではなく、十分に各企業を調査して自身のポートフォリオの安全性を高めることが不可欠です。 
  • そして、私は何千もの投資アイデアを検討し、その中で最も優れたものにのみ投資しています。
  • 本稿では、予想配当利回りが5.1%と高い一方で予想PERが10倍と割安な、注目の米国高配当銘柄であるAT&Tに関して深掘りしていきます。

AT&T(T:予想配当利回り5.1%・配当性向51%)

割引価格で食品を買えるのは嬉しいことです。同じ金額で、より多くの健康的なカロリーが手に入るからです。

割引価格でガソリンを買えるのも嬉しいですよね。より少ないお金で、より長く走ることができます。

収益を生む投資を割引価格で買えるのも同様に嬉しいものです。少ない投資額で、より多くの収益を得られるからです。

興味深いのは、ほとんどの投資家が最初の2つには簡単に同意するのに、最後の1つにはなかなか納得しないことです。

多くの投資家は、値下がりした株を買うのを嫌います。下がった株はさらに下がるのではないかと心配して、短期トレーダーのような考え方をしてしまうのです。

この考え方のせいで、個人投資家は高値で買って安値で売るという失敗を繰り返し、結果的に市場平均以下のリターンしか得られなかったり、最悪の場合、資金を失ってしまうこともあります。

私は市場を上回るリターンが大好きです。

そして、AT&T(T)は今年、S&P 500を大きく上回るパフォーマンスを発揮し、株主に安定した配当を提供する米国高配当株であることから注目しています。

(出所:YCharts)

年初来で好調なパフォーマンスを見せた企業が、今後もその勢いを長期的に維持できるかどうかが気になるところです。

つい忘れがちですが、ある年に市場を上回る成績を収めた企業も、それまでの何十年もの間は市場平均を下回っていた可能性があります。

(出所:YCharts)

だからこそ、今年のパフォーマンスが素晴らしいとしても、同業他社と比べて依然としてその企業の価値(バリュエーション)が割安かどうかを確認するべきだと思います。

では、AT&Tに関して詳しく見ていきましょう!

AT&T(T)を含むテレコム業界は未来へ向かっている

テキサス州に拠点を置く衛星設計・製造企業であるASTスペースモバイルASTS)は、5基のBlueBird衛星の打ち上げに成功し、話題を集めています。

現在、同社は、より大きなアンテナを備えた次世代衛星の開発を進めており、各衛星のネットワークカバー範囲を広げ、データ通信速度を向上させることを目指しています。

また、同社はさらに243基の衛星を軌道に投入するため、FCC(Federal Communications Commission:米国連邦通信委員会)に申請を行っています。

ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)と予想配当利回りが5.1%であるAT&T(T)は、ASTスペースモバイルに多額の投資を行い、衛星を利用してブロードバンドサービスを提供しています。

この衛星は、850MHz帯の従来の携帯周波数を利用して、音声、データ、ビデオサービスを提供することができ、これが「直接携帯接続モデル」として知られています。

これにより、通信事業者は5Gサービスの提供エリアをさらに拡大しようとしています。

また、衛星ベースのブロードバンド接続は、SD-WANサービス(ソフトウェアを使って企業の複数拠点間を効率的に接続・管理する技術)などの大容量データ通信が必要な企業向けアプリケーションをサポートする可能性もあります。

AT&Tが2024年第2四半期に見せた好調な財務パフォーマンスは、各種サービス間でのクロスセルに力を入れたことが大きく寄与しています。

そして、AT&T Fiber(AT&Tが提供する光ファイバーインターネットサービス)の利用者のうち、約4割の家庭が同社の無線通信サービスも契約しているという実績も注目に値します。

融合のチャンス

AT&T Fiberの提供エリア拡大により、統合サービスの利用機会が拡大

(出所:AT&Tの2024年第2四半期決算資料

2024年上半期において、AT&Tは前年同期比48%増の77億ドルのフリーキャッシュフロー(FCF)を生み出し、そのうち40億ドルを普通株配当に充てました。

配当後も37億ドル以上のFCFが残り、これを事業への再投資や負債削減に充てることができます。

AT&Tの四半期別フリー・キャッシュフロー推移(単位:10億ドル)

Quarterly FCF (billions USD):四半期別フリー・キャッシュフロー(単位:10億ドル)

Dividend Expense  (billions USD):四半期別配当支出(単位:10億ドル)

(出所:筆者作成)

AT&Tは、2024年6月末時点で調整後EBITDA純有利子負債倍率が2.9倍のBBB+の投資適格級バランスシートを維持しています。

そして、2026年半ばまでに年間20億ドル以上のコスト削減を目指しており、2025年上半期にはレバレッジ比率を2.5倍に抑える計画です。

しかし、先月、同社と労働組合(アメリカ通信労働者組合)との交渉が停滞したため、9州で17,000人を超えるインターネット技術者やカスタマーサービス担当者がストライキに入りました。

AT&Tは、2024年度の設備投資額を210億〜220億ドルと見込んでおり、大規模なインフラ整備を進めていますが、3週間にわたるストライキにより、インフラ整備が大幅に遅れ、顧客のサービスに支障が出る可能性があります。

それでも、CEOのジョン・スタンキー氏は、2024年度の売上高が前年比3%増、ブロードバンドの成長率が前年比7%増という見通しを改めて確認しています。

調整後EPSは2.15〜2.25ドルの範囲を予想しており、配当性向は年間51%となる見込みです。

さらに、長年のインフラ投資が実を結び、2024年度のフリーキャッシュフロー(FCF)は170億〜180億ドルに達すると予想されています。

そのため、来年初頭にレバレッジ比率2.5倍の目標を達成した後、再び配当の増加に向かうと期待されています。

それでは、なぜ配当利回り5.1%のAT&Tが優れた投資先なのでしょうか。

まず、この企業は予想PERが10倍と非常に割安です。

さらに、2025年度には設備投資が減少し、フリー・キャッシュフローが増加すると予想されており、これが企業価値のさらなる向上につながると考えられます。

また、配当性向50%という保守的な資本還元方針により、今後数年間にわたって配当支払い金額を引き上げる余地が十分にあります。

最後に、通信サービスはデジタル化が進む経済において不可欠な存在であり、米国には数社しかない大手通信企業が市場を支配しています。

結果、景気がどうであれ、消費者はこれらの企業に対する需要を増やし続けることが予想されます。

AT&T(T)に対する結論

下記のチャートからも分かる通り、TモバイルUS(TMUS)、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)、ベル・カナダ・エンタープライズ(BCE)といった北米の主要通信企業と比較すると、AT&T(T)の予想PERは、ベライゾン・コミュニケーションズを除けばかなり低い水準にあると言えます。

(出所:YCharts)

これは、今年市場を上回るリターンを記録しているにもかかわらず、AT&Tが依然として同業他社に比べて割安であり、5%という魅力的な予想配当利回りを提供していることを示しています。

もし予想配当利回りが十分に魅力的でなくなったとしても、その時は他の投資機会に乗り換えるために株を売却することも可能です。

私が市場やリタイアメントにおいて目指しているのは、投資した1ドルあたりの収益を最大化することです。

そのため、現在高い収益を生み出し、将来的にも明るい見通しを持つ魅力的な投資先を探しています。

単に利回りの高さだけで投資を決めるわけではありません。

それではしばしば、財務状況が悪化している投資先を選んでしまうことになります。

ポートフォリオの最低利回りをしっかりと確保しつつ、数千の投資機会を調査して最良の選択をしています。

確りとした銘柄調査を行うことで、皆さんも自分に合ったポートフォリオを作り、現在の自身の老後のリタイアメントプランに向けた収益を確保することが出来るでしょう。

投資した1ドルあたりの収益を最大限に高め、理想のリタイアメント生活を手に入れましょう。

これが私の「インカムメソッド」の本質であり、インカム投資の魅力だと考えています。

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アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン

📍インカム・高配当担当

テクノロジー・アドバイザーのヴェンカット・ ラガーヴァン氏は、高配当銘柄を中心に、日々、投資アイデアを執筆しております。

執筆活動以前は、米国とカナダにて、経営コンサルタントとして、主にフォーチュン500社に含まれる大手テクノロジー企業を中心に、コンサルティング業務に従事しておりました。

ラガーヴァン氏は、強固なファンダメンタルズと競争優位性を持ち、さらに、巨大なキャッシュフローを生み出す可能性のある魅力的なビジネスモデルを特定・評価するプロフェッショナルです。その為、インカム・ゲイン(配当収入)と長期キャピタルゲインを同時に狙える割安な高配当成長銘柄を主な投資対象としています。

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