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06 - 24 - 2024

Part 1:AT&T(T)とベライゾン(VZ)どっちが魅力的?両社の強みと市場シェア、並びに、成長戦略と成長見通しを徹底比較!

ヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 通信業界は、5Gの進歩とデジタル接続需要の増加に後押しされ、ブロードバンド・インフラへの政府の大規模な投資によって加速される変革的な変化を経験している。
  • そして、AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、5Gと光ファイバー敷設によるデジタル革命から利益を得る立場にある。
  • 本稿では、AT&Tとベライゾンのビジネスチャンスとフリー・キャッシュフローを徹底比較することで、どちらがより魅力的かを分析していきます。

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の概要

リモートワーク、バーチャル・スクール、そしてソーシャル・ディス タンスへの対策は、デジタル接続の改善の必要性を加速させている。アクセスしやすく、手頃な価格で、信頼性の高い情報通信サービスは、今日ますます不可欠なものとなり、私たちの学習、仕事、交流の方法を完全に変えてしまった。この結果、情報通信セクターは前例のない「パンデミック加速型」の変貌を遂げたのである。

情報通信事業は、非常に大きな競争力を持つ魅力的なビジネスである。私たちはスマート・デバイスに非常に依存しており、その数は年々増え続けている。AT&T(T)、ベライゾン・コミュニケーションズVZ)、TモバイルUS(TMUS)の米国ビッグスリーはほぼ98%の市場シェアを維持している。

現代社会におけるデジタル接続の重要性を認識し、バイデン政権は連邦インフラ法を成立せ、ブロードバンド・インフラのさらなる展開ために歴史的な650億ドルの金額の拠出を決定している。 そして、各国がデジタル革命のリーダーになるために不可欠なこの分野に、多額の資本が流入することが予想される。

本稿では、今後数年間、業界の世代交代から恩恵を受ける上で好位置にある米国の大手通信事業者2社、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズを取り上げたい。

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のビジネスチャンスを比較

5Gおよび光ファイバーの展開は、通信業界における重要な変革である。これらは、消費者のニーズに対応するだけでなく、B2Bの進展にも大きな影響を与えている。確かに、メタ・プラットフォームズ(META)のような企業は拡張現実(AR)を利用して巨大なビジネスを構築しているが、私にはむしろこのすべての革新を支えるインフラストラクチャの基盤に投資する方が魅力的に映る。

子供の頃、ウォーレン・バフェットは通りを行き交う車に魅了され、その動きからお金を稼ぐことができないことを嘆いていたと言われている。

"All that traffic, what a shame you aren't making money from the people going by"

「こんなに多くの交通量があるのに、人々が通り過ぎるだけでお金を稼げないなんて、なんて残念なことだ。」 - 子供時代のウォーレン・バフェット

一方で、このデジタル時代において、私はテラバイトやペタバイトのデータトラフィックからお金を稼ぎたいと考えている。そして、通信業界はその機会を提供してくれるのである。

(出典:Dellのウェブサイトより

5Gの収益化に関するジュニパー・リサーチは、 5Gサービスによる世界の売上高は2026年までに6000億ドルに達すると予測している。 AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、デジタルトランスフォーメーションを実現するために複数の企業と提携している。ベライゾン・コミュニケーションズは特に、政府機関の近代化、 インダストリー4.0、プライベート5Gに注力しているのに対し、AT&Tはコネクテッドカーモノのインターネット(IoT)、Open RANによるコスト最適化等に取り組んでいる。そして、これらは始まりに過ぎないと見ている。

両社を比較すると、AT&Tはカバレッジに優れ、消費者に低価格のプランを提供している。一方、ベライゾン・コミュニケーションズは5Gの信頼性に優れ、ディズニー+(DIS)やネットフリックス(NFLX)などのストリーミング・サービスへの加入という形で、顧客にさらなる特典を提供している。そして、ベライゾン・コミュニケーションズはよりプレミアムなプランに重点を置くことで、米国の通信業界において一貫してより良い利益率を確保している。

(出典:YCharts)

一方で、ベライゾン・コミュニケーションズは高い収益性を維持しているが、厳しい経済状況では消費者は価格に敏感になる傾向がある。そのため、AT&Tの低価格の接続オプションは、価格に敏感なバーゲンハンターにとってはより良い価値を提供する可能性があり、同社は不況環境においてより良いポジションにあるように見える。しかし、ベライゾン・コミュニケーションズはグローバル企業向けに5Gの民間展開を推進しているため、「ビジネス顧客」セグメントでの成長には有利な立場にあると言える。

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のフリー・キャッシュフロー比較

米国の通信事業がキャッシュカウ(金のなる木)であることは否定できない。ネットワークの構築、顧客の獲得、定期的な技術アップグレードには多額の費用がかかるが、各社は寡占システムを利用して徐々に価格を引き上げ、このデジタル時代に不可欠な多くのサービスを顧客にバンドルさせることができる。

近年のフリー・キャッシュフロー(FCF)に関しては、両社とも似たようなパターンとなっている。5Gと光ファイバーのインフラに多額の支出が行われる中、両社とも2022年と2023年のフリー・キャッシュフローは減少しているが、設備投資が縮小し、投資が収益に貢献するようになるため、2024年以降は成長が続く見込みである。

2024年4月24日に発表された、AT&T(T)の2024年度第1四半期決算においては、フリー・キャッシュフローは31億ドルで、ガイダンスを上回る着地となっている。そして、同社は、年間のフリー・キャッシュフローが170億ドルから180億ドルの範囲内に達する見込みとなっている。

(出典:筆者作成)

AT&T Quarterly FCF (billions USD): AT&Tの四半期ごとのフリー・キャッシュフロー推移(10億ドル)

Quarterly FCF (billions USD):四半期ごとのフリーキャッシュフロー(10億ドル単位)

Dividend Expense (billions USD):配当金支払いに伴う支出(10億ドル単位)

一方で、ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、2024年4月22日に2024年度第1四半期決算を発表しているが、2024年度のフリー・キャッシュフローガイダンスを発表していない。しかし、市場のアナリストは2023年度の187億ドルを上回ると予想している。

(出典:筆者作成)

Verizon FCF and Dividend Spend (millions USD): ベライゾン・コミュニケーションズのフリー・キャッシュフローおよび配当金支払いに伴う支出(100万ドル単位)

Free Cash Flow:フリー・キャッシュフロー

Dividend Spend:配当金支払いに伴う支出

※続きは「Part 2:AT&T(T)とベライゾン(VZ)どちらが魅力的?設備投資と財務状況の比較を通じて、両社の今後の成長見通しと将来性に迫る!」をご覧ください。

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アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン

📍インカム・高配当株担当

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