06/25/2024

やや強気
AT&T
やや強気
評価なし 評価なし
Part 3:AT&T(T)とベライゾン(VZ)どっちが割安?両社の配当政策(予想配当利回り・配当性向)と今後の株価見通しを徹底比較!

the verizon logo is displayed on an iphoneヴェンカット・ ラガーヴァンヴェンカット・ ラガーヴァン
  • 米国情報通信セクターはディフェンシブ産業として魅力的なパッシブ・インカムである配当収入の機会を提供しています。
  • そして、AT&T(T:予想配当利回り6%)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ:予想配当利回り6.6%)ともに、継続的な配当支払いを通じて、強力な配当スチュワードシップを発揮していると言えます。
  • 配当金は配当収入重視のインカム投資家にとって非常に重要であることからも、魅力的な銘柄を見極める上では、予想配当利回りと配当性向は特に一層重要となります。
  • そこで、本稿では、両社の配当政策(予想配当利回り・配当性向・配当金)、そして、今後の株価見通しと将来性を徹底比較し、どちらがより割安で、高配当株として魅力的かを詳細に解説していきます。

※「Part 2:AT&T(T)とベライゾン(VZ)どちらが魅力的?設備投資と財務状況の比較を通じて、両社の今後の成長見通しと将来性に迫る!」の続き

Part 3の概要

3部作のPart 3である本稿でも、引き続き情報通信業界の投資環境を分析していくが、本稿では業界のリーダーであるAT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZの配当政策とバリュエーション指標を分析していく。投資家が常に変化する市場環境でリターンと成長の機会を追求する中、米国情報通信セクターの配当の持続可能性とバリュエーションを理解することは重要である。

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の配当政策

配当収入重視のインカム投資家にとって、配当は株式を保有することによる報酬である。そして、投資収益率と配当の安全性は、この報酬の安定性を確保するために評価すべき重要な指標である。

(出典:筆者作成)

Jun-24:2024年6月

Dividend:配当

Yield:予想配当利回り

FY 2024 EPS Payout Ratio (Projected):2024年度の予想EPSベースの配当性向

FY 2024 FCF Payout Ratio (Projected):2024年度の予想フリー・キャッシュフローベースの配当性向

※ベライゾン・コミュニケーションズの配当性向の計算は、2024年9月に3%の増配を実施することを前提としている。

※AT&Tの配当性向の計算は、2023年度と同じ配当水準を前提としている。

ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は、17年連続増配という堅実な株主還元実績を誇っている。同社の四半期配当金は1株当たり0.665ドルとなっており、年率換算の予想配当利回りは6.6%となっている。 2024年の予想EPSは4.5~4.7ドルであることから、9月に3%の増配があると仮定すると、2024年度の配当性向は約58%となり、株主への配当支払いが増加するという見通しの明るさを示している。

(出典:YCharts)

一方で、AT&T(T)の配当の歴史は少々物議を醸している。同社は2021年、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーWBD)のスピンオフ発表を受けて配当支払いの凍結を決定し、配当貴族(25年間以上連続して増配している優良配当銘柄に与えられる称号)の地位を失ったという背景がある。AT&Tはその後、配当金を新生AT&Tの収益に基づいて支払うよう調整した。この新生AT&Tは四半期ごとに0.2775ドルの配当金を支払い、年率換算の予想配当利回りは6.3%となっている。AT&Tは、2024年度のフリー・キャッシュフロー(FCF)を170億~180億ドルと予想しており、これはワイヤレス・サービス売上高の3%増とブロードバンド売上高の7%増に支えられている。これにより、同社の年間配当は、堅実な45%のフリー・キャッシュフローベースの配当性向によりカバーされることとなる。そして、AT&Tの2024年の調整後EPSガイダンスは2.15ドルから2.25ドルであることからも、現在の四半期毎の1株当たり配当金である0.2775ドルは、持続可能なEPSベースでの50%の配当性向によりカバーされることとなる。

注:AT&Tの2024年の配当支出は79億ドルに減少し、2024年度の予測フリーキャッシュフロー(FCF)170億ドルから180億ドルにより、2.2倍以上のカバレッジを享受することになります。

上記のグラフにある通り、予想ベースの配当性向を基に比較すると、AT&Tの配当性向の方が全体的に低いことからも、同社の配当は、ベライゾン・コミュニケーションズと比較した場合には、将来にわたってより安全であるように見える。

しかし、ベライゾン・コミュニケーションズの過去の堅実な配当の成長実績も見逃せないというのも本音である。

現時点では、両社ともも配当収入を重視するインカム投資家にとって有望な選択肢であるように見える。しかし、インカムゲイン(配当収入)を得るためには、その対価を常に意識する必要がある。そこで、両情報通信大手のバリュエーションを比較してみたい。

関連コラム

配当金とは?配当金の詳細と仕組みを徹底解説!

配当株投資のメリットとリスクとは?

インカム・高配当株投資家として成功するためには?米国株高配当銘柄から成るポートフォリオのメリットと作り方を徹底解説!

50年以上連続して増配する米国株配当王の一覧・ランキングと投資を検討する際に考慮すべきポイントを徹底解説!

最新のバフェット銘柄:ウォーレン・バフェット氏がポートフォリオに保有する株式一覧と投資哲学、最新の注目銘柄を徹底分析!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)のバリュエーション

市場の投資家は金利上昇の環境下で「安全な」政府保証の証券に集中している。そのため、実績があり、景気後退に強い企業でさえも低価格で取引され、高い予想配当利回りを提供しているというのが現状である

(出典:筆者作成)

Jun 24:2024年6月

Valuation:バリュエーション

PE Ration(FWD):予想PER

EV/EBITDA:EV/EBITDA倍率

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)はともに、広範な市場のバリュエーションと比較すると、割安で魅力的なバリュエーションで取引されていると言える。しかし、現時点の価格では、AT&Tの方がはるかに割安なエントリーポイントを提供しているというのが現状である。

関連コラム

PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)とは?PERとPBRの詳細と目安を徹底解説!

PERはマイナスになることがあるのか?PERの詳細と目安を徹底解説!

PER(株価収益率)100倍の銘柄は買うべき?PERの考え方を徹底解説!

株価売上高倍率(PSR)とは?株価売上高倍率の詳細と目安を徹底解説!

配当株投資関連の専門用語と重要指標一覧

AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)に対する結論

2Gはデジタル通信への道を開き、3Gでインターネットへの本格的な無線アクセスが可能となった。4Gの力で携帯電話はコンピューターとなり、今日では5Gが無限の可能性を秘めた新しい世界への扉を開いている。この通信インフラはデジタル時代の基盤を形成し、将来の労働力を支えるために非常に重要な役割を担っている。好むと好まざるとにかかわらず、今後数年で家庭内の多くの機器がインターネットに接続されることであろう。景気後退があろうとなかろうと、求職者は次の機会を求めてソーシャルメディアに夢中になり、これまで以上にデータを消費することになる。

情報通信業界は、景気後退局面でもディフェンシブ(防御)的な性質を持つ堅固な産業であり、受動的な配当収入を求める投資家にとって理想的な銘柄と言える。AT&T(T)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)は共に、利益を株主と共有する過去の実績が豊富な優れた高配当銘柄である。どちらの銘柄(または両方)も非常に魅力的に映るだろう。本稿では、各社のいくつかのカテゴリーにおける顕著な強み、並びに、競争優位性を紹介し、投資家が投資の意思決定に役立てることのできる情報の提供を目的としている。投資先として選ぶ企業は、自分がより理解することができ、投資後も、あなたが夜も安心して眠れるような企業であるべきである。

読者の皆様は、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズのどちらが好みだろうか?是非、コメント欄に皆様の意見を共有していただければと思う。


アナリスト紹介:ヴェンカット・ ラガーヴァン

テクノロジー・アドバイザーのヴェンカット・ ラガーヴァン氏は、高配当銘柄を中心に、日々、投資アイデアを執筆しております。

執筆活動以前は、米国とカナダにて、経営コンサルタントとして、主にフォーチュン500社に含まれる大手テクノロジー企業を中心に、コンサルティング業務に従事しておりました。

ラガーヴァン氏は、強固なファンダメンタルズと競争優位性を持ち、さらに、巨大なキャッシュフローを生み出す可能性のある魅力的なビジネスモデルを特定・評価するプロフェッショナルです。その為、インカム・ゲイン(配当収入)と長期キャピタルゲインを同時に狙える割安な高配当成長銘柄を主な投資対象としています。

ラガーヴァン氏のその他の配当関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ラガーヴァン氏のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。

さらに、その他のベライゾン(VZに関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、ベライゾンのページにアクセスしていただければと思います。


インベストリンゴでは、弊社のアナリストが、高配当関連銘柄からAIや半導体関連のテクノロジー銘柄まで、米国株個別企業に関する動向を日々日本語でアップデートしております。そして、インベストリンゴのレポート上でカバーされている米国、及び、外国企業数は250銘柄以上となっております。米国株式市場に関心のある方は、是非、弊社プラットフォームよりレポートをご覧いただければと思います。

弊社がカバーしている企業・銘柄の一覧ページはこちら

※インベストリンゴ上のいかなるレポートは、投資や税務、法律のアドバイスを提供するものではなく、情報提供を目的としています。本資料の内容について、当社は一切の責任を負いませんので、あらかじめご了承ください。具体的な投資や税務、法律に関するご相談は、専門のアドバイザーにお問い合わせください。