【2024年5月:最新の台湾半導体セクター売上高動向】TSMC/台湾積体電路製造、AspeedとWiwynnの業績に注目

- 5月の台湾半導体関連企業の売上高は全体的に好調で、特にAspeed Technology Inc(5274.TW)が92.9%の成長率で首位に立っている。
- TSMC / 台湾積体電路製造(TSM)は5月の売上高が前年同月比30.1%増加し、年初来の売上高も27%の増加を達成し好調なトレンドを継続している。
- Wiwynn Corp(6669.TW)とQuanta Computer(2382.TW)の5月の売上高もそれぞれ59.5%、31.5%の増加を記録し、株価も急騰している。
ACER、Asus、ASEを除き、台湾半導体関連企業の大半はすでに5月の売上高を発表しており、前年同月比を見る限り、全体的にかなり好調のように見える。
特に、Aspeed Technology Inc(5274.TW:エースピード・テクノロジー)のパフォーマンスは際立っている。
こちらのレポートにある通り、我々は2024年3月、Aspeed Technology IncのAIサーバーへのエクスポージャーに基づき、トップピックとして同社に注目している。
そこでは、Aspeed Technology Incに関して以下のように述べた。
(原文)With a TTM P/E of ~106, it’s not cheap by any means. However, as the year progresses and ASPEED starts to turn in solid YoY revenue growth and the uplift from AI server growth starts to become more obvious, I suspect that ASPEED’s share price will benefit nicely. Would probably make sense to wait for a better entry point than current levels though.
(日本語訳)しかし、直近過去12カ月間ベースのPERは~106倍で、決して割安とは言えない。ただし、年が明けて ASPEED が堅調な前年比増収に転じ、AI サーバーの成長による増益がより明白になり始めると、ASPEEDの株価は良い恩恵を受けるのではないだろうか。しかし、現在の水準よりも良いエントリー・ポイントを待つのが賢明だろう。
この記事を掲載した日のAspeed Technology Incの終値は3,320台湾ドルだった。
そして、より良いエントリー・ポイントは4月24日頃の2,900台湾ドル近辺を推移していた頃だろう。
この記事を書いている現在、同社は4,715台湾ドルで取引されており、1ヶ月強の間のパフォーマンスとしては素晴らしいリターンである。
それでは、5月の台湾半導体関連企業の最新売上高動向を見ていきたい。
特にTSMC / 台湾積体電路製造(TSM)、Aspeed Technology Inc、Wiwynn Corp(6669.TW:ウィウィン)、Quanta Computer(2382.TW:クアンタ・コンピューター)、Globalwafers(6488.TW:グローバルウェーハズ)、Nanya Technology(2408.TW:ナンヤ・テクノロジー)に注目している。
そして、以下の表は、対象企業の5月の売上高前年同月比伸びを示している。
上記のグラフの通り、Aspeed Technology Inc(ASPEED)は前年同期比92.9%増という驚異的な成長率で首位に立ち、また、下記のグラフの通り、年初来の売上高はすでに66%増(YoY Change% / May:66.03%)となっていることからも、同社にとって今年は非常にエキサイティングな年になりそうである。
そして、次にランクインしたのはWiwynn Corpで、5月の売上は前年同月比59.5%増となっており、Aspeed Technology Incと同様、Wiwynn Corpの株価もこの1年で急騰している。
これは2023年4月に我々が予想していたことであり、その際に下記のように述べている。
(原文)With WiWynn and Quanta, we have two companies whose entire business revolves around the ODM-direct server model, servicing the largest hyperscale and cloud computing companies. We already previously noted WiWynn’s 46% YoY growth in Q1. We anticipate that this growth will be sustained and will spread to Quanta. Both companies are not cheap, but they’re also not ridiculously high in TTM P/E terms.
(日本語訳)WiWynnとQuantaの2社は、ODM-ダイレクト・サーバー・モデルを中心に事業を展開し、最大手のハイパースケール企業やクラウド・コンピューティング企業にサービスを提供している。WiWynnの第1四半期の成長率が前年同期比46%増であったことは既に触れている。この成長は持続し、Quantaにも波及すると予想している。両社とも決して割安ではないが、直近過去12カ月間ベースのPERで見れば、異常なまでに割高という訳でもない。
上記のグラフの通り、WiWynn同様に、Quanta Computerも業績は好調のようであり、5月の売上高は前年同月比31.5%増となっている。
ここでもWiWynnと同様、Quanta Computerの株価は前述のレポートの日付からおよそ3倍になっている。
ちなみに、ちょうど1年前に、Aspeed Technology Inc、WiWynn、Quanta Computerのいずれかに投資するという幸運に恵まれた投資家であれば、今が利益確定を検討する良いタイミングかもしれない。
では、次はTSMC / 台湾積体電路製造(TSM)について触れていきたい。
同社は5月の売上高は前月比では若干減少したが、前年同月比では30%増加している。
(原文)HSINCHU, Taiwan, R.O.C. – Jun. 7, 2024 - TSMC (TWSE: 2330, NYSE: TSM) today announced its net revenue for May 2024: On a consolidated basis, revenue for May 2024 was approximately NT$229.62 billion, a decrease of 2.7 percent from April 2024 and an increase of 30.1 percent from May 2023.
(日本語訳)2024年6月7日 - TSMC(TWSE:2330 / NYSE:TSM)は本日、2024年5月の純売上高を発表しました。連結ベースの2024年5月の売上高は約2,296億2,000万台湾ドルで、2024年4月より2.7%減少し、2023年5月より30.1%増加しました。
TSMC / 台湾積体電路製造の年初来の売上高を見ると、前年同期比で27%増となっている。
(原文)Revenue for January through May 2024 totaled NT$1,058.29 billion, an increase of 27.0 percent compared to the same period in 2023
(日本語訳)2024年1月から5月までの売上高は1兆582億9000万台湾ドルで、2023年同期比で27.0%増加しています。
明らかなことかもしれないが、TSMC / 台湾積体電路製造にとっては豊作の年になりそうである。
4月と5月の売上高は、2023年10月に記録した過去最高の月次売上高にかなり近い数字であり、10月を除けば今年いっぱいの前年同期比はかなり楽なものになるだろう。
そのため、同社が成長目標を上回り、前年同期比30%超を達成する可能性は十分にあると見ている。
一方で、Nanya Technology(2408.TW:ナンヤ・テクノロジー)は5月の売上高が前年同月比45%増となり、2023年11月に始まった毎月の前年同月比増収トレンドを力強く維持しており、また、前月比では4.5%の増収となっている。
余談ではあるが、同社の株価パフォーマンスには少し出遅れ感があるというのが現状である。
しかし、同社には追い風が吹いており、第3四半期、第4四半期にはそれがより明白になると見ていることからも、是非、同社には引き続き注目していきたい。
最後に、Globalwafers(6488.TW:グローバルウェーハズ)は5月の売上高が前年同月比12.7%減と、予想通りトレンドに逆行し続けているが、前月比では8.7%増と好調な着地となっている。
同社もまた、株価の観点からは遅れをとっている銘柄の1つである。
たしかに、シリコンウェハー部門は独特の不況に見舞われており、成長の年とはならない可能性が高いが、同社のファンダメンタルズは盤石であることからも、我々は足元の同社株式の水準を魅力的な水準であると見ている。
その他の半導体銘柄関連レポート
1. TSMC / TSM:前年同月比60%増、台湾半導体・AI銘柄の2024年4月・月次売上高分析と今後の株価見通し・将来性
2. クアルコム(QCOM)がインテルとAMDを抜き、40TOPS以上のNPU搭載のマイクロソフトCoPilot+ PCを開発
3. アプライド・マテリアルズ / AMAT / 予想配当利回り0.73%:最新の2024年2Q決算・業績分析と今後の株価予想・将来性
また、私のその他のテクノロジー関連銘柄のレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、私のプロフィールページにアクセスしていただければと思います。
さらに、その他のTSMC / 台湾積体電路製造(TSM)に関するレポートに関心がございましたら、是非、こちらのリンクより、TSMC / 台湾積体電路製造のページにアクセスしていただければと思います。