【2024年4月:最新の月次世界半導体販売高】TSMC(TSM:台湾積体電路製造)、SIA、WSTSによる見通しを分析!
ウィリアム・ キーティング- SIA(Semiconductor Industry Association:米国半導体工業会)は、2024年4月の世界半導体業界販売高は464億ドルで、前年同月比15.8%増、前月比1.1%増と発表。
- SIAは2024年の半導体市場全体(メモリーを除く)の成長率を約10%に下方修正し、ファウンドリー業界の成長率も10%台半ばから後半としている。
- また、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)の最新予測によると、特定のセグメント、特に生成AI関連のセグメントが活況を呈しており、それ以外の大部分は前年同期比で減収となる見通しである。
最新の2024年4月の月次世界半導体販売高に関して
2024年6月6日、SIA(Semiconductor Industry Association:米国半導体工業会)が2024年4月の最新月次世界半導体販売高を発表している。
(原文)WASHINGTON—June 6, 2024—The Semiconductor Industry Association (SIA) today announced global semiconductor industry sales were $46.4 billion during the month of April 2024, an increase of 15.8% compared to the April 2023 total of $40.1 billion and 1.1% more than the March 2024 total of $45.9 billion.
(日本語訳)ワシントン / 2024年6月6日:Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2024年4月の世界半導体業界販売高が464億ドルとなり、2023年4月合計の401億ドルに比べて15.8%増、2024年3月合計の459億ドルを1.1%上回ったと発表しました。
前月比の増加は小幅ではあるが、過去3ヵ月間の前月比の連続減少が底を打ち、半導体の販売が再び増加傾向にあることを示唆している点で重要である。
言い換えれば、1月以来の落ち込みは、構造的なものよりも季節的なものだったということである。
また、SIAは4月の売上高とともに、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)が発表した春の世界半導体販売台数予測に注目し、この予測は、昨年11月に発表した前回予測の13.1%増から、2024年には16.1%増に成長すると予測している(詳細はこちら)。
これは回復という点では確かに良いニュースであるが、この予測はメモリ価格の上昇に大きく偏っているため、実際には複雑なものとなっている。
具体的には、ディスクリート、オプトエレクトロニクス、センサー&アナログ等、複数の半導体カテゴリーが1桁台の減少を予想している。
では、これらの点に関して詳しく見ていきたい。
一見したところ、最新のWSTS予測は、TSMC(TSM:台湾積体電路製造)が最近2024年の半導体売上高見通しを小幅に引き下げたことと食い違っているように見える。
しかし、TSMCの予測は常にメモリーを除外しており、その理由としては、おそらく、メモリー価格の方が遥かに不安定で予測が難しいからだと見ている。
いずれにせよ、TSMCは最新の決算説明会で下記のように述べている。
(原文)We lowered our forecast for the 2024 overall semiconductor market, excluding memory, to increase by approximately 10% year-over-year, while foundry industry growth is now forecast to be mid- to high-teens percent, both are coming off the steep inventory correction and low base of 2023.
(日本語訳)2024年の半導体市場全体(メモリーを除く)については、前年比約10%増、ファウンドリー業界の成長率については10%台半ばから後半になると見通しを下方修正したが、いずれも2023年の急激な在庫調整と低水準からの脱却の途上にあるためである。
そして、WSTSの最新予測を参考にすると、下記の通りとなっている。
予測(Total Products - $M)からメモリー部門(Memory)を除くと、2023年の半導体売上高は約4,345億ドル、2024年は約4,480億ドルとなる。
そして、この結果は、2024年の前年比成長率(メモリを除く)がわずか3.1%であり、TSMCの10%成長予測をはるかに下回ることを示しており、大きな食い違いが発生していることが分かる。
何がこの原因なのだろうか?
最もわかりやすいのはロジック部門(Logic)である。
第一に、ロジック部門はドル(金額)ベースで最大の部門であること、第二に、ロジック部門はTSMCの主力部門であるということである。
私の推測では、TSMCは今年いっぱいの自社の生産予測を見通すことができるため、WSTSの~3.1%の成長に対し、2024年に10%の成長を予測する自信があるのだと見ている。
次に、他のセグメントの2024年の成長率を見てみよう。
ディスクリート(Discrete Semiconductors)とセンサー(Sensors)は共に7%以上減少し、オプトエレクトロニクス(Optoelectronics)とアナログ部門(Analog )はそれぞれ1%と2.7%減少する見通しとなっている。
一方、ロジック部門とメモリ部門はそれぞれ10.7%と76.8%で唯一の成長セグメントとなっている。
WSTSの予測では、どの成長予測についても説明はないが、マクロレベルでは直感的に納得できるものが多い。
例えばメモリの場合、メモリ価格が第1四半期に力強く上昇し、年間を通じて上昇し続ける可能性が高いことは誰もが知っている。
しかし、WSTSの76.8%という予想は高すぎると思う。
ご参考までに、2023年11月の前回予測では、WSTSはメモリ部門の成長率を44.8%としていたことは興味深いポイントである。
実際、これが11月の予測と最新の予測の最も大きな違いとなっている。
さらに、グローバルファウンドリーズ(GFS)、アナログ・デバイセズ(ADI)、SMIC(981 HK)などの予測に反映されているように、産業用やIoTなどのセグメントは引き続き弱いと我々は感じている。
前述の通り、ロジック部門はWSTSの予想とTSMCの予想の間に最も大きな食い違いがあるポイントであると思われる。
つまり、AIサーバー、AI PC、AIスマートフォンの立ち上げを考えると、ロジック部門の10.7%増というWSTSの予測は低すぎる可能性が高いと見ている。
2024年4月の月次世界半導体販売高に対する結論
最新のWSTS予測は、現在進行中の半導体の回復が全体的に均等に起こっているわけではないという事実を思い起こさせるものである。
つまり、特定のセグメント、主に生成AI(ジェネレーティブAI)関連に強いつながりを持つセグメントが活況を呈しているのであり、それ以外の大部分は精彩を欠き、かなりのケースで前年同期比減収となりそうである。
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