TSMCの半導体自動車関連ビジネスは底打ち?半導体関連自動車セクターとテレコム(情報通信)セクターの今後の見通しに迫る!

- 本稿では、TSMC(TSM)の半導体自動車関連ビジネスが底打ちの兆しを見せる中、半導体関連の自動車セクターとテレコム(情報通信)セクターの今後の見通しを詳しく解説していきます。
- 半導体関連テレコムおよび自動車セクターにおいて、TSMCの自動車分野の底打ちや、テレコム(情報通信)業界の回復が期待されています。
- ノキアとエリクソンの売上増加が確認され、通信業界全体の回復が見込まれる中、マーベル・テクノロジーやブロードコムなどの半導体企業も恩恵を受けると予測されています。
- マックスリニアやブロードコムは、50G PON技術において進展が期待され、特に通信業界の成長に寄与する可能性があると考えられています。
※「TSMCの株価は10年後も堅調?最新の業績とガイダンスは好調で、年初来で100%上昇した今でも株価は魅力的?」の続き
半導体関連テレコム(情報通信)セクターと自動車セクターの見通し
この分野に対する懸念が多い中で、TSMC(TSM)における自動車関連の底打ちを前向きに捉えています。
また、IoT分野は消費者向けのセグメント、特にWi-FiやBluetoothチップを扱うシリコン・ラボラトリーズ(SLAB)やノルディック・セミコンダクター(NOD.OL/NDCVF)、シーラス・ロジック(CRUS)のような企業にとって、良い兆候だと考えています。
プラットフォーム別の2024年度第3四半期売上高
(出所:TSMCの2024年度第3四半期決算資料)
さらに、エリクソン(ERIC)やノキア(NOK)から得られた通信業界の情報は非常に有益で、あまり注目されていない点も指摘しておきたいです。
マックスリニア(MXL)に関しては、底打ちを予測するのが少し早すぎたように思います。
同社は市場でのシェアを失い、私が予想していた以上に厳しい状況にあります。
とはいえ、マーベル・テクノロジー(MRVL)やブロードコム(AVGO)がこの分野で加速し始める可能性は十分にあると感じています。
半導体企業の通信分野での売上は底を打ったようで、これから回復に向かうと見ています。
キャリアの直近過去12ヶ月(LTM)売上増加額
これは、エリクソンやノキアの売上加速を観察することに似ています。
すでに売上は増加し始めており、決算内容も今後の市場回復を後押しするものになっています。
キャリアの直近過去12ヶ月(LTM)売上増加額
在庫の状況を見ても、それを裏付ける材料があります。
在庫の減少が安定してきており、その結果が近いうちに数値に現れるはずです。
キャリアの在庫と在庫増加率
特に興味深いのは、SemiAnalysisが言及していた内容が、実際に業績に表れ始めていることです。
ノキアは、マルチデータセンターの機会を具体的に200億ドル規模として示していました。
この200億ドル規模のチャンスはすべて追加的な成長機会であり、ノキアはインフィネラ(INFN)との提携を通じて有利な立ち位置を築きつつあります。
下記は、同社の最新の2024年度第3四半期決算説明会における遣り取りの一部です。
(原文)We are increasing investments in this space as we see a significant opportunity to diversify our IP Networks business with mission-critical networks and also into the data center. We are investing to expand our product portfolio to accelerate these opportunities. Various estimates put the TAM in these areas at about EUR 20 billion. So it's a great opportunity for us to grow into.
(日本語訳)この分野では、ミッションクリティカルなネットワークやデータセンターを活用し、IPネットワーク事業を多角化する絶好のチャンスがあると考え、投資を強化しています。さらに、このチャンスを最大限に活かすため、製品ポートフォリオの拡充にも注力しています。さまざまな推計によると、これらの市場規模は約200億ユーロとされており、当社にとって大きな成長機会となっています。
さらに、CoreWeave(AIや機械学習、高性能コンピューティング向けのクラウドインフラを提供する企業)にも具体的に言及されています。
(原文)In terms of some more tangible elements of our progress on the diversification of IP into enterprise and webscale, we can see on this slide some of the progress we have made in this strategic pillar. CoreWeave is an AI hyperscaler and we will deploy our IP routing and optical transport portfolios globally as part of an expensive backbone build-out -- extensive backbone build-out with immediate rollout across CoreWeave's data centers in the U.S. and Europe.
(日本語訳)IPの企業向けおよびウェブスケールへの多角化に関する進捗について、具体的な成果をこのスライドで確認できます。CoreWeaveはAIハイパースケーラーであり、私たちはIPルーティングや光伝送技術のポートフォリオを世界中に展開する予定です。これは、CoreWeaveの米国およびヨーロッパのデータセンターに向けた大規模なバックボーンネットワークの構築プロジェクトの一環であり、即時に展開が進められる計画です。
ノキアは、四半期ごとに売上が順調に伸び、成長が再び加速することを見込んでいます。
テレコム(情報通信)株は底を打ち(ノキアとエリクソンは年初から30〜40%上昇)、その動きが半導体企業の業績にも反映されると予想されます。
私が最も注目しているのはマーベル・テクノロジーです。
サムスン(005930.KS)はインテル(INTC)を選びましたが、それでも底打ちの兆候は続いていると感じています。
さらに、通信機器のサプライヤー分野ではシエナ(CIEN)にも注目しています。
OCP(Open Compute Project:データセンターのハードウェア設計やインフラの効率化を目的としたオープンソースのコミュニティプロジェクト)で披露された448Gデモには非常に感銘を受けました。
私は以前マーベル・テクノロジーについて下記のレポートを執筆していますが、引き続き独自の理由で彼らに注目しています。
詳細に関心のある方は、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上でご覧いただければと思います。
マーベル・テクノロジー / MRVL:AI・半導体銘柄の最新の2025年1Q決算速報・財務分析と今後の株価見通し&将来性
さらに、ブロードコムやマックスリニアもこの上昇の波に乗ると期待されています。
マックスリニアはシェアを失い、50G PON(50ギガビット受動光ネットワーク:光ファイバーを利用した高速通信技術で、最大50Gbpsのデータ転送速度を提供)でブロードコムに遅れを取っていますが、それでも通信業界の回復がすべての企業に恩恵をもたらすはずであると見ています。
また、インテルがサムスン電子向けのシェアを少しずつ伸ばしていることも注目すべきポイントです。
では、次章では、半導体デバイスのテスト装置を提供する注目企業であるエア・テスト・システムズ(AEHR)に関して詳しく解説していきます。
※続きは「エア・テスト・システムズ(AEHR)の将来性:最新の2025年度第1四半期決算は市場予想を上回る好調な着地!」をご覧ください。
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