【米国株式投資】When To Buy? / 株式を購入するタイミングはどのように確定すべきか?

- 今後1-2年で収益性が大幅に向上する可能性のある事業に投資することが重要である。
- PEGレシオのような指標を用いて、利益成長率に対する株式の評価額を評価するべきである。
- 個人的な飽きや感情に基づくのではなく、投資家の期待があまりにも楽観的で完全に一致したときに株を売るべきである。
サマリー
私は、年率15%の複利リターンを実現しようと日々努力している。
そのためには、私は「Inflection Businesses(変曲点を迎えているビジネス)」に投資する必要があると考える。
このようなビジネスは、今は人気がないが、今後1~2年で収益性が大幅に向上する見込みのあるビジネスである。
そして、その期待に対して、過大な支払い(著しく割高な銘柄への投資)をしないように気を付けなければならない。
それが、私が本稿で論じたいテーマである。
When to Buy? / いつ買うべきか?
幾つかの原則を確認しておきたい。
あなたが株を所有していることは誰も知らない。
そして株も、あなたが株を所有していることを知らない。
さらに、株はあなたが株を買った値段も知らない。
つまり、株価があなたが投資価格を下回っている場合であっても、株価はあなたが損益分岐点に達するためにどの価格まで戻るべきかを知らないのである。
だから、もしあなたの投資対象への投資理論が破綻しているのであれば、その会社の株から手を引くことが賢明である。
同様に、ある投資が上手くいっていて、それを非常に長い間保有している場合、飽きを感じるかもしれない。
そして、現金化して利益を確定しようと思うかもしれない。
しかし、飽きたからといって、上手くいっているビジネスを売り払ってはいけない。
その代わりに、市場の投資家の期待が完全に一致し、特定の銘柄に対して市場が楽観的すぎる時に株を売り抜けるべきである。
覚えておいて欲しいのは、あなたがその銘柄をどう思うかは決して重要ではないということである。
重要なポイントは、他の投資家が、その特定の企業の将来性をどう考えるか、そして株価が割高、或いは、割安で取引されているかである。
将来を予測する
優秀な投資家に共通するの点は下記の通りである。
彼らは、自分たちが正しいという正当性を市場に求めているのではない。
ウォーレン・バフェットからチャーリー・マンガーに至るまで、彼らは賭けをしているのである。
バフェットは平均回帰に賭けているのに対し、マンガーはトレンドが続くことに賭けている。
しかし、両者とも自分の仮説が常に検証されることを求めている。
二人とも、仮設の前提が変われば、自身の考えを変えることに寛容である。
参考として、バフェットの航空会社への投資、マンガーのアリババ(BABA)への投資を考えてみて欲しい。
つまり、全てがバラ色に続くという話を鵜呑みにすべきでない。
あなたが発掘すべき企業は、非常に長い期間、高い成長率を提供し続ける会社である。
上記のグラフからも分かる通り、大半の場合、投資家は企業の収益成長率を過大評価している。
具体例:トレード・デスク(TTD)
企業の業績には2つの側面がある。
長期的に拡大・縮小する倍率。
そして、企業の本質的価値の成長である。
しかし、この2つは密接に関係している。
企業の成長率が収益性の向上とともに高まっている場合、これは事業の本質的価値が高まっていることを意味する。
そしてこれが株価を上昇させる。
したがって、より簡潔に言えば、期待と成長ということになる。
しかし、冒頭で述べたように、投資の全ては将来への期待である。
将来への期待をどのように測るのか?
PEGレシオは、収益成長率に対する株価の評価という意味で、収益成長率に基づいて株価が割高か割安かを評価する指標である。
PEGレシオ = PER / EPS成長率
ある企業のEPSが年平均成長率20%で伸びている場合、その成長率の2倍以上の株価は望めない。
つまり、この場合、将来EPSの約40倍ということになる。
もちろん、できるだけ安く買いたい。
しかし、EPSを20%で安定的に成長させそうな銘柄をフォワードEPSの40倍以下で手に入れるのは難しい。
では、フォワードEPSの50倍の銘柄を避けるだろうか?
私は、避けないだろう。
なぜなら、企業のバリュエーションを見極めることは、本質的に難しい作業だからである。
しかし、フォワードEPSの60倍を超える株価の場合には、株価には既に非常に大きな期待が織り込まれていると言えるだろう。
トレード・デスクの場合、以前は25%程度の成長率と考えられていた。
しかし、比較対象が緩和されるにつれ、成長率は20%台後半で安定するか、あるいは、成長率が上昇し、年平均成長率30%近くまで再加速するだろうという期待があった。
そして、投資家の期待は高まっていた。
しかし、トレード・デスクが2022年度第4四半期のガイダンスに2%の売上高の改善を織り込んでいることから、2023年度第4四半期の同社の成長率は20%程度になりそうだ。
同社の場合、EBITDA対比で48倍程度だったが、年平均成長率は30%台半ばから後半だった。
ということは、おそらくこの事業は25%前後の成長を何年も続けられるということであり、投資家はそれに非常に高いバリュエーションを与える可能性がある。
しかし、ひとたび年平均成長率が20%を下回ると、投資家は突然、企業の根本的な収益性に注意を払うようになる。
そして、高成長株から、成長は遅いが収益性の高い企業へ変化する際には、新たな株主基盤を再構築するのに時間がかかるのも事実である。