やや強気アップスタート・ホールディングスアップスタート・ホールディングス(UPST)の将来性と今後の株価見通しに迫る!

- 本稿では、注目の米国フィンテック関連銘柄であるアップスタート・ホールディングス(UPST)の2025年5月6日に発表された最新の2025年第1四半期決算分析を通じて、同社の目標株価、並びに、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 最新の決算を受けて、2026年夏までの目標株価を100ドルに引き下げますが、同社に対して強気な姿勢は変えておりません。
- 2025年第3四半期にはGAAPベースでの黒字化を達成すると予想しており、それが投資家のセンチメントを大きく変える可能性があると考えています。
- 短期的な逆風はあるものの、今年のフリーキャッシュフローは1億ドルに達する可能性があると見ています。
- 資金調達環境は依然として厳しい状況ですが、新たなパートナーシップは着実な進展を示していると感じています。
アップスタート・ホールディングス(UPST)の最新の2025年第1四半期決算発表に関して
アップスタート・ホールディングス(UPST)は、5月6日に2025年第1四半期の決算で厳しい結果を発表しました。この四半期ではキャッシュフローがマイナスとなり、バランスシートの健全性についても依然として懸念が残っています。
さらに同社は、2024年2月にSECに提出した書類についても改めて言及しました。これは、市場環境が厳しくなった場合に最大5億ドルの希薄化を行えるようにするもので、投資家にとっては注意すべき点でしょう。
一方で、私は読者の皆様に、同社の経営陣が自社株の16%を保有していることもお伝えしておきたいと思います。つまり、経営陣自身が株価を上昇させる強いインセンティブを持っているということです。
(出所:アップスタート・ホールディングスのIR資料)
加えて、同社の本質的な収益性は2025年第3四半期に改善する見通しです。GAAPベースでの黒字化が期待されており、2025年末にはGAAPベースでの通年黒字達成が見込まれています。
総じて言えば、今回の決算内容は力強いものではありませんでしたが、根本的な投資ストーリーは依然として揺らいでいないと考えています。
結論として、私は同社の目標株価を2026年夏までに1株あたり100ドルへと引き下げましたが、それでもこの銘柄に対する強気スタンスは維持しています。なぜなら、同社の将来性が改善しているためです。
アップスタート・ホールディングス(UPST)とは?
アップスタート・ホールディングス(UPST)は、AIを活用して個人ローンやホームエクイティローン(HELOC)をより簡単に利用できるようにするオンライン融資プラットフォームです。
従来の銀行が信用スコアに頼って融資判断を行うのに対し、同社のAIは膨大なデータを解析して、信用履歴に不備がある人でも「良い借り手かどうか」を判断します。これにより、多くの人が素早く審査に通ることができ、場合によっては人間との会話すら不要になります。
銀行にとっての利点は、従来の融資方法よりも優れた金利とスムーズな手続きで、優良な借り手層にアクセスできることです。つまり、デフォルトしそうな顧客をあらかじめ見極めて、そうでない顧客にのみ融資することで、リスクを抑えられるのです。
また、同社のビジネスモデルが機能するためには、多額の資金調達が必要です。これに対応するため、同社はFortressのようなパートナーから長期資金を確保したり、銀行や貸金業者との提携を進めたりしています。さらには、ウォルマートのフィンテック部門との提携も実現し、日常消費者へのリーチ拡大が期待されています。
次に、財務指標について見ていきます。
アップスタート・ホールディングス(UPST)の売上高:成長率は力強い見通し
アップスタート・ホールディングスの売上高成長率(%)
(出所:筆者作成)
2025年第2四半期の収益は、2025年内で最も強いと予想されていました。実際、同四半期の売上は2億2,500万ドルと見込まれており、アナリスト予想の2億2,600万ドルからわずかに下回った形です。この1,000万ドルの未達を理由に、リスクを回避しようとする投資家も出てきました。
というのも、アップスタート・ホールディングス(UPST)は以前から不安定な投資先と見なされており、多くの投資家が厳格なストップロス(損切りライン)を設定しているためです。そのため、アルゴリズム取引がこの売上未達を感知した瞬間、株価は急落することになりました。
客観的に見れば、今回の業績は依然として非常に強いといえます。確かに第2四半期はアナリストの予想をやや下回りましたが、現在のように「まず売ってから考える」という相場環境では、投資家がすぐに様子見に回るのも無理はありません。
それでも、私は同社のビジネスが明確に回復基調にあると確信しています。同社は急速に収益基盤を拡大しており、しかも収益性の改善を伴っているという点が、次に詳しく取り上げるテーマです。
アップスタート・ホールディングス(UPST)のバリュエーション:予想フリーキャッシュフローの42倍
アップスタート・ホールディングス(UPST)のバランスシートには、約7億3,500万ドルのネット債務があります。これは、時価総額が50億ドルの企業にとって、ネット債務が時価総額の約15%を占めていることを意味します。バランスシートとしては決して健全とは言えず、この点が明確なリスク要因であることは私も十分認識しています。
加えて、同社のフリーキャッシュフローはマイナス2,000万ドルであり、1年前の同期間に計上したプラス4,300万ドルから大きく後退しています。
このような大幅なキャッシュフローの悪化と、厳しいマクロ環境が重なっていることから、投資家がこの期待外れの銘柄を我慢できずに手放したくなる気持ちは十分に理解できます。
さらに、同社のEBITDA貢献率も前年同期の59%から55%へと低下しました。これにより、投資家の間ではフリーキャッシュフローの弱さを裏付けるような、収益性の低下への懸念が広がっています。
それでも私が注目しているのは、同社が2025年第3四半期からGAAPベースで黒字化を達成する可能性が高く、年間を通じてGAAPベースでの黒字を維持する見通しが立っている点です。
したがって、2025年第3四半期からGAAPベースの黒字を計上し始めるという前提に立てば、同社が年間1億ドルのフリーキャッシュフローを生み出せる力を持っていると私は考えています。
この前提のもとでは、同社の株価は予想フリーキャッシュフローの42倍という水準にあり、年率55%以上で売上が成長している企業としては、魅力的なバリュエーションであると判断しています。
さらに、同社の年間売上は今年10億ドルに達する見込みであり、事業としてもようやくスケールに到達しつつあります。2026年には収益性の最適化が進み、1億3,000万ドル以上のフリーキャッシュフローを生み出す可能性もあります。そうなれば、フリーキャッシュフロー倍率は32倍に低下し、金利動向次第では、このフィンテック企業は好調な展開を見せる可能性があると見ています。
アップスタート・ホールディングス(UPST)を取り巻くリスク要因
アップスタート・ホールディングス(UPST)は多額の債務を抱えており、この点は以前から私も認識していました。ネット債務が7億ドル以上あり、年間1億ドル程度のフリーキャッシュフローしか生み出せていないことは問題です。同社の経営陣もこの問題を理解しており、マクロ環境が悪化した際に、最大5億ドルの資金を株式希薄化によって調達できるよう、SECに申請を行っています。この点だけを見ても、なかなか受け入れ難いリスクであることは確かです。しかし、こうしたリスクは既に株価に何度も織り込まれてきたとも言えます。
もう一つのリスク要因は、同社が安定的に資金調達を継続できるかどうかです。これはつまり、ローンの新規起債をスケールして継続する能力に直結しています。
Fortressとのコミットメント資金契約を締結したり、貸し手のパートナーを増やすなど一定の前進は見られますが、依然として環境は厳しいです。機関投資家からの資金調達は特に金利が高い状況では不安定になりがちです。
また、新たな商品であるホームエクイティローン(HELOC)や自動車ローンのように、スケールに多くの資金を要するプロダクトでは、資金調達は常にバランスの取れた判断が求められます。
加えて、フィンテック融資市場は非常に競争が激しいです。SoFiやLendingClubといった競合企業もデジタル融資の分野で着実に力をつけてきています。
アップスタート・ホールディングス(UPST)に対する結論
今回の四半期は私が期待していた内容とは異なりましたが、それでも諦めるつもりはありません。私はアップスタート・ホールディングス(UPST)の目標株価を2026年夏時点で1株あたり100ドルに引き下げました。これは、フリーキャッシュフローや債務、資金調達の安定性といった短期的課題を反映したものです。
とはいえ、私は強気の姿勢を維持しています。特に、同社が2025年第3四半期にGAAPベースで黒字転換を目指して順調に進んでいる点は重要です。財務状況は改善の方向にあり、売上は急速に拡大し、利益率も向上しています。もしスケールを効率的に進められれば、今後の株価には上昇余地があると見ています。
一直線の展開にはならないかもしれませんが、長期的には魅力的なストーリーであることに変わりはないと考えています。
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