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06 - 03 - 2024

中立
ウォルマート
中立
全体として、株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率に基づけば、ウォルマートは過去の平均と比較して割安であり、同業他社と比較しても適正なバリュエーションであるように見える。
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ウォルマート(WMT)予想配当利回り1.2% / 配当性向17% / 中立:2025年1Q決算速報・財務分析と今後の株価予想・将来性

イアニス・ ゾルンパノスイアニス・ ゾルンパノス
  • ウォルマート(WMT:予想配当利回り1.26% / 配当性向17%)は米国最大手の小売企業で、2024年5月16日に2025年度第1四半期決算を発表している。
  • 同社の現在の株価は65ドルで、弊社算出の本質的価値である55.4ドルを上回っているものの、EV/EBITDA倍率では14.24倍と、過去の平均と比較して割安に評価されている。
  • 同社は配当王として51年間連続して増配を実施しており、予想配当利回りは1.26%と低いものの、安定した配当を求める投資家にとって魅力的な選択肢となっている。

ウォルマート(WMT)の概要

セクター:小売

現在の株価:65ドル

時価総額:5283.2億ドル

弊社算出の一株当たり本質的価値:55.4ドル

安全マージン:-18.31%

過去5年間の配当成長率:1.90%

次回配当落ち日:2024年8月16日

次回配当支払い日:2024年9月3日

予想配当利回り:1.26%

過去5年間の売上高成長率:6.60%

過去10年間の売上高成長率:5.20%

ウォルマート(WMT:予想配当利回り1.26% / 配当性向17%)は米国で最大手の小売企業である。

同社の戦略は、優れた営業効率と、消費者に最安値の商品を提供することで、店舗へのトラフィックと商品の回転率を高めることにある。

同社は、1988年に最初のスーパーセンターをオープンし、便利なワンストップショッピングを提供することで、低価格ビジネス戦略を強化した。

現在、米国で4,600店以上(サムズクラブを含めると5,200店)、世界で10,000店以上を運営している。

2024年度のウォルマートの国内売上高は4,400億ドルを超え、サムズクラブはさらに860億ドルの貢献をしている一方で、海外での売上高は1,150億ドルとなっている。

また、同社は毎週、全世界で約2億4,000万人の顧客にサービスを提供している。

そして、同社は2024年5月16日に2025年度第1四半期決算を発表している。

加えて、同社は過去51年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っている。

ウォルマート(WMT)の収益と成長に関して

ウォルマート(WMT)の2025年度第1四半期の非経常損益項目を除くベースでのEPS0.60ドルで、一株当たり売上高は19.979ドルを計上している。

前四半期と比較すると、非経常損益項目を除くベースでのEPS(2024年度第4四半期:0.60ドル)に大きな変化はなかったが、一株当たり売上高(2024年度第4四半期:21.39ドル)はわずかに減少していることが分かる。

一方で、長期的なパフォーマンスを見ると、同社株の非経常損益項目を除くベースでのEPSの過去5年間の年平均成長率(CAGR)は15.20%で、過去10年間の年平均成長率は1.80%となっていることからも、同社は長年にわたり安定した成長軌道を維持しており、特に、足元、成長のペースが加速しているように見える。

また、今後10年間の小売業界の成長予測はプラスであり、同社が資本を投下する上で潜在的な成長機会を示していると言える。

さらに、過去の同社の財務レバレッジの度合いと同社の一貫した業績を考慮すると、同社は安定した成長を実現する可能性があると見ている。

全体として、最近の四半期の業績は比較的安定していたものの、ウォルマートの長期的な成長軌道と市場機会を考慮すると、同社はこの業界で継続的に成功する上で好位置にあると考えられる。

ウォルマート(WMT)の配当に関して

ウォルマート(WMTは過去数年間一貫した配当成長を示しており、過去5年間の配当成長率は1.90%で、過去3年間の配当成長率は1.80%と安定した成長を示している。

また、同社は過去51年間連続して増配を実施しており、米国株配当王の一角を担っている。

さらに、EBITDA純有利子負債倍率は1.57倍と健全な水準にあり、配当の支払いを支える強固な財務体質を保持していることを示している。

加えて、同社は過去数四半期、一貫して定期的に0.19ドルから0.2075ドルの範囲で配当金を支払っている。

一方で、予想配当利回りは1.26%と比較的低い水準となっており、また、同社の配当成長率をセクター平均と比較すると、必ずしも優れているとは言えないことからも、高い配当利回りを求める投資家にとっては、他の機会の方が魅力的に映るかもしれない。

しかし、ウォルマートの安定した配当の歴史と、健全なEBITDA純有利子負債倍率を維持する能力を踏まえると、低リスクで安定した配当収入を求める投資家にとって同社は魅力的な選択肢となろう。

予想配当利回り:1.26%

配当性向:17%

配当カバレッジ・レシオ:3

過去5年間の配当成長率:1.90%

EBITDA純有利子負債倍率:1.57倍

ウォルマート(WMT)のバリュエーションに関して

ウォルマート(WMTの現在の株価は65ドルとなっており、弊社算出の一株当たり本質的価値である55.4ドルを上回っていることからも、潜在的な割高感を示している

一方で、現在の株価売上高倍率は0.81倍となっており、市場が過去の平均と比較して低い株価売上高倍率で同社を評価していることを示している。

また、EV/EBITDA倍率は14.24倍で、同社がEBITDAに基づくと相対的に低いバリュエーションで取引されていることを示唆している。

さらに、5年平均、10年平均と比較すると、株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率が過去の水準を下回っているため、同社の現在のバリュエーションはより魅力的に見えるかもしれない。

一方で、業界平均を見ると、同社の現在のバリュエーション指標は概ね業界標準と同水準か、それをやや下回っており、同業他社と比較して株価が妥当な水準で取引されていることを示唆している。

全体として、株価売上高倍率とEV/EBITDA倍率に基づけば、ウォルマートは過去の平均と比較して割安であり、同業他社と比較しても適正なバリュエーションであるように見える。

ウォルマート(WMT)のリスクとリターンに関して

ウォルマート(WMTのリスク評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたい

まずマイナス面では、同社は、過去3年間で総額11億ドルの新規債務を発行しており、財務レバレッジが高まる可能性がある。

さらに、過去3ヶ月間にインサイダーによる同社株式の買い付けが確認されていない一方で、19件のインサイダーによる同社株式の売却が確認されており、合計で25,620,447株が売却されている。

加えて、同社の営業利益率は過去5年間、年平均-1.4%のペースで低下しており、収益性に影響を与える可能性がある。

そして、PBRは10年ぶりの高水準に近く、株価が潜在的に割高である可能性を示している。

また、株価水準と株価売上高倍率も10年ぶりの高水準に近い一方で、予想配当利回りは10年ぶりの低水準に近く、投資家にとって今後のリターンが限定的である可能性を示唆している。

一方でプラス面では、ピオトロスキーのFスコアが8となっており、非常に健全な財務状況を示している。

また、ベニッシュのMスコアは-2.64となっており、基準値の-1.78を下回っていることからも、同社が利益操作を行っている可能性が低いことを示唆している

さらに、アルトマンのZスコアは5.27と強力で、同社が良好な財務状態にあることを示唆している

ウォルマート(WMT)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

ウォルマート(WMT)のインサイダー取引分析によると、過去12ヶ月間でインサイダーによる同社株式の買い付けは確認されていない一方で、99件のインサイダーによる売却が確認されている。

このインサイダーによる同社株式の売却件数の多さは、社内のインサイダーが保有株を売却していることを示しており、同社の将来の業績に対する自信のなさを示している可能性がある。

ただし、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか1.07%である点にはご留意いただきたい。

一方、機関投資家による同社株式の保有比率は19.29%となっており、他の大型銘柄と比較するとやや少ない水準となっている。

全体として、ウォルマートのインサイダー取引活動のトレンド分析は、同社の見通しや取締役・経営陣の同社への見方について投資家に懸念を抱かせる内容であるようにも見える。

ウォルマート(WMT)の流動性に関して

ウォルマート(WMT)の直近営業日の1日の出来高は2,153,924株で、過去2ヶ月間の1日平均出来高は16,041,803株となっており、同社株式の流動性の高さを示唆している。

また、同社株式のダークプール指数(DPI)は34.37%で、取引活動の一定の割合がダークプールで行われていることを示している。

※ダーク・プール指数は、ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。

この高水準のDPIは、同社株式の価格発見への透明性と市場全体の効率性に影響を与える可能性がある。

そして、この水準は、機関投資家がこの銘柄を積極的に取引していることを示唆している可能性がある。

また、ダーク・プールにおける流動性は同社株価の安定に寄与し、株価のボラティリティを低下させるとも言える。

全体として、上述の市場での出来高に基づくと、ウォルマートは健全な流動性のレベルを保持しているように見えるが、加えて、投資家はダークプールにおける同社株式の取引が同社の株価ダイナミクスに与える影響を考慮する必要があるだろう。