【半導体・AI】注目の台湾半導体・AI銘柄一覧 / ITEQ / TUC / EMC / アンデステクノロジー - 後編
ウィリアム・ キーティング- ITEQ、TUC、EMCは、特にAIサーバー向けの銅張積層板(CCL)市場における主要な競争相手である。
- EMCはグリーン・ラミネートの供給でリードしており、AIサーバー市場に大きなエクスポージャーを持っている一方、ITEQは特殊ラミネートに特化しており、ハイエンドCCLへのエクスポージャーは少ない。
- メタ(META)を主要顧客とするアンデス・テクノロジーは、AIに多額の投資を行っており、最近の純損失や株価の変動にもかかわらず、大幅な増収を目指している。
※「【半導体・AI】注目の台湾半導体・AI銘柄一覧 / TSMC(TSM) / AIChip / ASPEED - 前編」の続き
ITEQ / TUC / EMC
ITEQ(6213.TW):アイ・ティー・イー・キュー
TUC(6274.TW):タイワン・ユニオン・テクノロジー
EMC(2383.TW):エリート・マテリアル
これら3社は、ラミネート市場、特にサーバーに使用される銅張積層板(CCL)の主要プレーヤー / 競合企業であり、現在特にAIサーバーの需要が高まっている。
CCLについての詳しい紹介はこちらをご覧いただきたい。
CCLに関して簡単に要約すると下記の通りである。
「銅張積層板(CCL)は、すべての回路とプリント回路基板(PCB)のベースとなる材料である。民生用電子機器(ラジオやテレビ等)、移動体通信産業、コンピュータ、航空電子工学、軍用ハードウェアなど、幅広い用途で使われるPCB産業の基本素材である。銅張積層板製造業は、特に中国や東南アジアで、移動体通信技術、民生用・産業用電子機器、半導体製造技術、PCB製造技術、表面実装技術などの発展や革新の結果、大きな発展が見込まれる成長産業となっている。」
EMC(2383.TW)は時価総額で3社の中で最も大きく、約37億ドル市場であるグリーン(ハロゲンフリー)ラミネートのNo.1サプライヤーであると主張している。
我々の分析によれば、EMCはAIサーバー市場へのエクスポージャーも最も大きいと思われる。
注:CCLを消費するのはサーバーボードだけではない。
CCLは、データセンター内のサーバー / ラックを取り囲むすべてのサポート・スイッチや周辺通信機器に使用されている。
一方で、ITEQ(6213.TW)は、時価総額では3社の中では小さい。
しかし、同社の最新の投資家向け報告書(詳細はこちら)によれば、特殊ラミネートの世界的リーダーである。
ITEQは先週台北で開催されたバンク・オブ・アメリカのTMTカンファレンスでプレゼンテーションを行った。
直接参加した同僚によると、ITEQは競合他社に比べてハイエンドのCCLへのエクスポージャーが少なく、AIサーバーに関しては主に周辺基板に注力しているとのことである。
台湾聯合科技股份有限公司(6274.TW)、略してTUCは、時価総額ではITEQとEMCの中間に位置する。
グリーンラミネートの市場シェアでは第3位で、EMCが第1位、ITEQが第2位である。
これら3社が一般的なサーバー市場、特にAIサーバー市場に存在していることは、投資家に気づかれなかったわけではない。
実際、これらの企業の株価は2023年半ばに大きく上昇し始めた。
その結果、これらの企業はもはや割安な投資対象ではなくなった。
しかし、下記の通り、これら競合3社の直近過去12カ月間ベースのPERの乖離は興味深い。
ITEQ:~53倍
EMC:30倍
TUC:60倍
個人的には、TUCのPERがEMCのPERの2倍である理由をファンダメンタルズの観点から正当化するのは難しい。
そして、私は間違いなくこのスペースに注目している。
TUCとEMCのバリュエーションが下がるか、或いは、EMCのバリュエーション上がるのか。
今後の展開を楽しみにしたい。
アンデス・テクノロジー・コーポレーション
アンデス・テクノロジー・コーポレーション(6533.TW)については、ほぼ1年前にリリースしたRISC-Vディープ・ダイブ・レポートで簡単に紹介した。
アンデスには、AI関連製品から売上を上げてきた長い歴史がある。
より正確には、アンデスには数年前にさかのぼるAI関連製品の主要な米国顧客がいる。
上のグラフから、その1社のAI顧客は、アンデスの上位10社の顧客リストの下位5社を合わせたよりも収益面で価値があるように見える。
明らかな理由だが、これは理想的な状況ではない。
2021年当時、アンデスは収益成長の新たな源泉としてAIをあまり重視していなかった。
アンデスの最新の投資家向けプレゼンテーション(詳細はこちら)によると、AI関連の売上は2021年には全体の28%だったが、2023年には38%に成長している。
アンデスは現在、AIに大きく賭けており、トップ3の成長ドライバーの1つとしてAIを強調し、2027年までに年平均成長率(CAGR)〜76%で成長し、250億ユニット、2910億ドルの売上高に達すると予想している。
念のため言っておくが、私はこの成長率は現実的ではないと思うが、たとえ予測されている半分に過ぎないとしても、アンデスにとっては巨大な市場機会であることに変わりはない。
現時点では、最新の投資家向けプレゼンテーションからわかるように、アンデスはその米国のAI顧客が誰であるかを明らかに自由に開示している。
その顧客とはもちろんメタ(META)であり、彼らは2023年5月に第一世代のAI推論アクセラレータであるMTIA v1を発表している(詳細はこちら)。
アンデスがメタを顧客として獲得した経緯は魅力的なものであり、ここにうまく記録されている。
原文:We might not be the most recognizable or the most affordable in the industry. However, Meta was profoundly satisfied with our proposition, primarily because their requirements were extensive and demanded a collaborator who was fully invested,” Su emphasizes.
日本語訳:「我々は、業界で最も知名度が高いという訳でもなく、最も手頃な価格ではないかもしれない。 しかし、メタは私たちの提案に非常に満足してくれました。なぜなら、彼らの要求が広範囲に及び、全面的に投資してくれる協力者を求めていたからです」とスーは強調する。
先に述べたように、単一の顧客に高い収益が集中することには長所と短所がある。
短所のひとつは、その顧客の要求を満たすために必要な研究開発費が高くつくことだ。
このため、上記のレポートによると、アンデスは2023年に純損失を計上している。
原文:Primarily due to the spike in R&D expenditure, the operational costs surged by 40.9 percent in the first half of 2023, relative to the corresponding period the previous year. Although consolidated revenue experienced a 15.1 percent YoY growth, amounting to NT$404 million during the first half of the year, the augmented R&D-centric operational expenses resulted in a net loss per share of NT$1.91.
日本語訳:主に研究開発費の急増により、2023年上半期の営業費用は前年同期比で40.9%急増した。上半期の連結売上高は前年同期比15.1%増の4億400万台湾ドルに達したが、研究開発費を中心とした営業費用の増加により、1株当たり純損失は1.91台湾ドルとなった。
メタとの提携は、当然ながらここ数年のアンデスの株価に大きな影響を与えた。
しかし、ある種の現実が見えてきた。
現在、アンデスの株価は432台湾ドルであり、2021年以降の610台湾ドル以上の高値から下落していることが分かる。
アンデスの株価はまだ高いが、今回の調整で400台湾ドルを下回れば、検討する価値はあるだろう。