2024年9月FOMC予想:FRBパウエル議長は0.25%の利下げ発表し、その後の記者会見でハト派的な姿勢を示す展開か?
ローレンス・ フラー- 本稿では、今晩に控える2024年9月のFOMCとその後の米国株の動向における私の予想を詳しく解説していきます。
- 昨日の米国株式市場はFOMCでの利下げ発表を前に様子見でしたが、私はFRBは0.25%の利下げを行うと予想しており、パウエル議長はその後の記者会見でハト派的な姿勢を示す展開となると想定しています。
- FRBのパウエル議長は利下げの幅よりも市場へのメッセージ性を重視している一方で、足元の経済指標は堅調で、8月の工業生産は自動車生産の伸びにより0.8%増加し、小売売上高も予想を上回りました。
- これにより、FRBは段階的な利下げを行う可能性があると見ており、結果、市場は利下げ期待で上昇基調にあり、特に小型株が牽引しています。
2024年9月のFOMC:FRBのパウエル議長は0.25%の利下げを行う展開を予想
昨日の米国株式市場は、本日の利下げ発表を前に様子見の状態でした。
私の予想では、FRBは0.25%の利下げを行うと見ています。
FRBのパウエル議長は、0.25%か0.50%かの数値そのものよりも、初回で0.50%の利下げを行うことの意味合いを懸念しているようです。
過去に初回で0.50%の利下げを行ったのは、景気後退を控えていた時だけです。
期待外れだと感じる人もいるかもしれませんが、パウエル議長はその後の記者会見でハト派的な姿勢を示し、残りの2回の会合でさらなる利下げの可能性を示唆することで市場の不安を和らげるでしょう。
そして、それによって市場には安心感が広がるでしょう。
仮にFRBの決定を受けて株式市場が一時的に売られたとしても、その後の数時間から数日で積極的な買い戻しが起こると考えます。
最初の利下げの後は、段階的かつ慎重な利下げが今後の会合ごとに行われ、最終的に3.00-3.50%の中立金利に達すると見込んでいます。
(出所:Finviz)
昨日の経済指標は、経済の堅調さへの不安を和らげるものでした。
8月の米国工業生産は、7月のハリケーンによる落ち込みから0.8%増加し、自動車生産の大幅な伸びが製造業全体を押し上げました。
そして、このセクターは、利下げの恩恵を最も受けると見ています。
借入コストの低下により、高価格な耐久財への需要が増えるからです。
特に住宅ローン金利が下がれば、住宅需要が増加し、その効果はさらに大きくなるでしょう。
米国の工業生産が急回復
8月の増加は、前月のハリケーン・ベリルによる落ち込みを受け、予想を上回る結果となりました。
(出所:Bloomberg)
8月の小売売上高は前月比で0.1%増加し、予想されていた0.2%の減少を上回りました。
また、7月の数字も上方修正されました。GDPの計算に使われる食品サービス、自動車、建築資材、ガソリンを除いたコントロールグループの売上高も0.3%増加しています。
この数字は、過去3カ月で年率5.7%の増加ペースとなっており、消費者が厳しい状況にあるとは言えません。
消費者支出の増加は雇用の増加につながるため、先月の雇用統計で示されたほど労働市場が悪化していないことがわかります。
これがパウエル議長が0.25%の利下げから始めると考える理由の一つです。
米国の8月小売売上高が予想外の増加
オンライン購入が全体の売上を押し上げた一方で、その他のカテゴリーはまちまちの結果となりました。
(出所:Bloomberg)
一方で、過去1年間の実質(インフレ調整後)小売売上高を見てみると、8月は前年比で0.4%減少しており、通常なら懸念される数字です。
しかし、消費者は依然としてサービスへの支出を重視しており、小売売上高は主に商品に限定されているためです(バーやレストランを除く)。
8月の個人消費全体のデータは月末に発表される予定で、インフレ調整後で2%以上のしっかりとした成長が見込まれています。
(出所:FRED)
そのため、実際には景気拡大が順調に進み、今日から利下げが始まることで、この強気相場はさらに勢いを増しています。
過去3カ月では、小型株が市場を牽引し、ラッセル2000指数(IWM)は約10%上昇しました。
また、大手テクノロジー株の影響を抑えたイコールウェイト型のS&P 500(RSP)も7.5%の上昇を見せています。
一方、時価総額加重型のS&P 500(SPY)は3.5%の上昇にとどまり、ナスダック100(QQQ)は2%下落しました。
これは、この強気相場の最初の2年間で市場をリードしていた銘柄から、その他の銘柄へ資金がシフトしていることを示しています。
以上より、強気相場は着実に勢いを増していると見ています。
(出所:StockCharts.com, Inc)
アナリスト紹介:ローレンス・フラー
ローレンス・フラー氏は、1993年にメリルリンチ証券でファイナンシャル・コンサルタントとしてキャリアをスタートしました。その後、ファースト・ユニオン・ブローカレッジ、モルガン・スタンレー証券、INGグループで同職を務め、30年以上にわたり個人投資家顧客の投資ポートフォリオを管理してきました。
その後、2005年には長期的な目標であったFuller Asset Management LLCを設立し、独立を果たしました。さらに、2013年より米国金融ニュースサイトSeeking Alphaにて、米国投資家に対してマクロ経済・投資リサーチの提供を開始しており、現在では14,000人以上のフォロワーを獲得しております。
フラー氏は、ノースカロライナ大学チャペルヒル校を卒業し、政治学の学士号を取得しております。
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