米国バリュー株投資

企業の価値をどう測り、価格との差をどう扱うか。

バリュー株投資とは、価格と価値の差に着目する考え方です

バリュー株(割安株)とは、企業が持つ資産や生み出す利益に対して、株価が控えめな水準に置かれている銘柄を指します。 市場は短期的には企業の実態を正しく評価しないことがある、という前提に立ち、その差が埋まるまで保有するのが基本的な考え方です。

インベストリンゴでは、バリュー関連のレポートを151本、109銘柄について公開しています。 このページでは、価値を測るための指標と、実際に陥りやすい落とし穴を整理しました。

バリュー株とグロース株は何が違うのか

どちらが優れているという話ではありません。企業のどこを見るか、そして収益がどこから生まれると考えるかが異なります。

バリュー株グロース株
着目する点現在の資産・利益に対する株価水準将来の売上・利益の伸び
前提市場は短期的に企業の価値を見誤ることがある成長が続けば株価はいずれ追いつく
典型的な業種金融、資源、生活必需品、通信、資本財ソフトウェア、半導体、インターネット
よく見る指標PER、PBR、FCF利回り、ROIC、配当利回り売上成長率、PSR、ルール40、粗利率
収益の源泉価格と価値の差が埋まること、および配当企業そのものが大きくなること
必要になるもの差が埋まるまで待つ時間成長の前提が崩れていないかの確認

ひとつの企業が両方の性格を併せ持つこともあります。分類は絶対的なものではありません。

価格と価値をどう扱うか

バリュー投資が向き合うのは、この2つの関係です。測り方と、測り違えたときに何が起きるかを整理します。

価値をはかる 物差しを持つ

株価が安いか高いかは、それ単体では決められません。利益に対してか、純資産に対してか、生み出す現金に対してか。どの物差しを当てるかで結論は変わります。バリュー投資では、複数の物差しを同時に当てて、どれで見ても説明がつく水準かどうかを確認します。

バリュートラップ という落とし穴

指標が低いまま、何年経っても株価が動かない銘柄があります。安く見えたのではなく、事業そのものが構造的に縮んでいたという場合です。数字が低い理由を説明できないうちは、それが好機なのか衰退なのかを区別できません。

企業の価値を測る6つの指標

ひとつの指標だけで判断できるものではありません。利益、資産、現金、そして事業の質を、それぞれ別の角度から確認します。

EARNINGS

PER(株価収益率)

株価が1株あたり利益の何倍かを示します。低いほど利益に対して株価が控えめということになりますが、業績が落ちている企業では利益の減少によって見かけ上低くなることがあります。

ASSETS

PBR(株価純資産倍率)

株価が1株あたり純資産の何倍かを示します。1倍を下回ると、市場が解散価値を下回る評価をしていることになります。ただし資産の中身が実態を伴っているかは別途確認が必要です。

CASH

FCF利回り

フリーキャッシュフローを時価総額で割った値です。会計上の利益は処理方法で変わりますが、手元に残る現金は動かしにくいため、実態に近い指標として使われます。

RETURNS

ROIC と WACC

投下した資本がどれだけ利益を生んだか(ROIC)が、資金調達にかかったコスト(WACC)を上回っているか。この差が続いている企業は、事業そのものが価値を生んでいると考えられます。

MOAT

経済的な堀(Economic Moat)

競合が容易に真似できない優位性のことです。ブランド、切り替えコスト、規模の経済、ネットワーク効果などが挙げられます。高い収益性がどれだけ長く続くかを左右します。

SAFETY

安全余裕率(Margin of Safety)

算出した本質的価値と現在の株価との差です。ベンジャミン・グレアムが提示した考え方で、自分の見立てが外れた場合に備えて、あらかじめ差を確保しておくという発想に基づきます。

バリュー投資が受け継がれてきた道筋

バリュー投資は一人の発明ではありません。安さを測る手法として始まり、事業の質を見る考え方へと変化してきました。誰が何を加えたのかを追うと、指標の意味も見えてきます。

1930年代

ベンジャミン・グレアム

『証券分析』と『賢明なる投資家』で、本質的価値と安全余裕率という2つの概念を提示しました。市場を日々気分の変わる相手として捉え、その気分に付き合わないという姿勢は、現在のバリュー投資の土台になっています。

1950年代〜

ジョン・テンプルトン

第二次大戦の直前、市場が総悲観にあった局面で買いを入れたことで知られます。悲観が最大になった地点に目を向ける逆張りの発想と、投資先を米国外へ広げる考え方を早くから実践しました。

1960年代〜

ウォーレン・バフェット

グレアムの弟子として出発しましたが、統計的に安いだけの企業を拾う手法から、優れた事業を適正な価格で長く持つ方向へ移っていきました。自分が理解できる範囲の外には出ないという原則も、この時期に固まっています。

1970年代〜

チャーリー・マンガー

バフェットの判断が「安さ」から「事業の質」へ移る過程で、最も大きな影響を与えた人物とされています。競合が容易に真似できない優位性、いわゆる経済的な堀を評価軸に加えました。

1970年代〜

ピーター・リンチ

身近な生活の中に投資対象を見つけるという考え方と、成長性と株価水準を組み合わせて見る発想を広めました。バリューとグロースの境界を意識させた人物でもあります。

指標が低いことには理由があります

バリュー投資でつまずくのは、たいてい買った後です。何が起こりうるかを先に知っておくことが、判断を保留する材料になります。

バリュートラップ

PERやPBRが低いままいつまでも動かない状態を指します。指標が低いことには理由がある場合が多く、構造的に事業が縮小しているのか、一時的な要因なのかを見分けられないと、資金が長期間動かせなくなります。

会計上の数字と実態のずれ

のれんの計上、リースの扱い、一時的な特別損益などによって、利益や純資産は実態から離れることがあります。損益計算書だけでなくキャッシュフロー計算書を併せて確認します。

待つ期間が読めない

価格と価値の差がいつ埋まるかは誰にも分かりません。数年かかることもあります。その間の機会損失をどう考えるかは、投資期間の設定に関わる問題です。

景気循環に左右される業種が多い

資源、金融、資本財といったバリュー株が多い業種は、景気の波の影響を強く受けます。業績の谷でPERが高く、山で低く見えるという、指標が逆に振れる現象が起きます。

バリュー株投資を学ぶ