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01/11/2025

【Part 1 - ③】大手ソフトウェア企業によるM&Aが失敗しがちな理由とは?

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記事要約
  • 本稿Part 1では、大手ソフトウェア企業によるM&Aが失敗しがちな理由に関して詳しく解説していきます。
  • ソフトウェア企業の無形資産や会計基準の複雑さにより、収益性やROICの正確な評価が難しく、投資収益率の見積もりが困難になる場合があります。
  • SaaS企業は代替指標(ARR、CLVなど)を用いることでサブスクリプション型ビジネスの特性を評価し、顧客維持や長期的収益性を高めるモデルを強調しています。
  • M&A成功には、技術的適応力、文化的シナジー、顧客適合性の評価が重要であり、統合戦略や取引構造が株主価値に与える影響を慎重に検討する必要があります。
この記事は約 9 分で読むことができます。(記事文字数:約 4,400 文字)

※「【Part 1 - ②】大手ソフトウェア企業によるM&Aが失敗しがちな理由とは?」の続き

前章では、経営陣に関する問題やバリュエーションサイクルに関して詳しく解説しております。

本稿の内容への理解をより深めるために、是非、インベストリンゴのプラットフォーム上にて、前章も併せてご覧ください。

無形資産と会計上の複雑さ

ソフトウェア企業は、知的財産、ブランド価値、独自のコードなど、多くの無形資産を保有しており、これらの資産を正確に評価するのは難しく、バランスシート上での定量化も困難です。また、従来のGAAP(一般に認められた会計原則)では、S&M(セールス&マーケティング)やR&D(研究開発)といった特定の営業費用の真の経済的価値を反映することができません。たとえば、S&M費用は資産として計上されるのではなく費用として扱われますが、実際には12カ月以上の長期的な利益をもたらすことが多いため、収益性を過小評価した損益計算書が作成される結果になります。

さらに、ソフトウェア企業のバランスシート上に計上される高額な繰延収益が原因で、ROIC(投下資本利益率)の計算が難しくなることもあります。繰延収益が多いと、投下資本がマイナスとなる場合があり、従来のROIC計算が実用的でなくなることがあります。この問題は、一部の費用を資産として計上できないことによってさらに悪化し、収益性を一層歪める結果となります。そのため、買収側が現実的な投資収益率を見積もるのが難しくなるのです。

SaaS企業向け代替指標

SaaS(サービスとしてのソフトウェア)企業の評価では、従来の収益やEBITDAといった指標だけではサブスクリプション型ビジネスの特有のダイナミクスを十分に捉えられないため、投資家は代替指標に頼ることがよくあります。たとえば、年間経常収益(ARR)、顧客生涯価値(CLV)、純収益維持率(NRR)などの指標は、キャッシュフローの予測可能性、顧客のロイヤルティ、アップセルやクロスセルによる成長可能性を評価するために役立ちます。これらの指標は特に、顧客獲得のために大規模な初期投資を必要とするものの、サブスクリプション型の継続収益を通じて長期的なリターンを見込める初期段階や高成長段階のSaaS企業において重要です。

こうした大規模な初期投資の背景には、SaaSと従来のライセンス型ソフトウェアの構造的な違いが

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