03/03/2025

【半導体】インテル(INTC)の買収はどこがするのか?TSMC(TSM)によるインテル買収観測の真相に迫る!

a close up of a computer chip with the intel core logo on itウィリアム・ キーティングウィリアム・ キーティング
  • 本稿では、「インテル(INTC)の買収はどこがするのか?」という疑問に答えるべく、足元で報道されているTSMC(TSM)によるインテル買収の可能性に関して詳しく解説していきます。
  • 元インテルの取締役4名がフォーチュン誌に寄稿し、TSMCがインテルのファウンドリー事業を引き継ぐ計画に警鐘を鳴らしました。彼らは、この取引が米国の半導体産業に悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。
  • インテルの経営不振の原因は、過去の取締役会の判断にあるとしつつも、彼ら自身はその責任を認めていません。また、米国政府がインテルを設計部門とファウンドリー部門に分割するよう求めるべきだと主張しています。
  • TSMCがインテルの工場を引き継ぐ可能性は、米国政府の圧力が背景にあると考えられます。最終的にTSMCは先端技術を台湾に集中させ、インテルの工場閉鎖や従業員削減につながる恐れがあると警戒されています。

TSMC(TSM)によるインテル(INTC)の買収報道の真相とは?

元インテル(INTC)の取締役で、長年にわたり同社に関わってきた4名が、直近、フォーチュン誌に寄稿し、TSMC(TSM)がインテル・ファウンドリーを引き継いで運営する計画に警鐘を鳴らしました。その詳細についてはこちらで確認できます

トランプ氏はTSMCにIntelの工場を引き継がせたい考えのようだ。しかし、それは最悪の案だ――代わりに取るべき選択肢とは?

(出所:フォーチュン

これは、彼らがインテルの将来について意見を述べるのが2度目となります。同社の現在の苦境は、まさに彼らが取締役を務めていた時期の経営判断に深く根ざしています。彼らが初めてこの問題に言及した際に執筆した下記の分析レポートにて、私の見解を詳しく解説しておりますのでインベストリンゴのプラットフォーム上より併せてご覧ください。

では、今回の寄稿ではどのようなことが語られているのでしょうか?詳しく見ていきましょう!


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彼らの最新の意見記事を読んだ際、最初に私が思ったことは、「TSMCが米国政府からインテル・ファウンドリーへの関与を打診された」という噂に対し、一定の信ぴょう性を与える内容になっているということです。正直なところ、直近、下記のレポートにてこの件について書いた際、私はこの噂の真偽に疑問を抱いていました(詳細はインベストリンゴのプラットフォーム上にてご覧ください)。

しかし、今回寄稿した4名はいずれも政界に強いコネクションを持つ人物です。インテル、米国政府、TSMCの間で何が話し合われているのかを最もよく知っているとすれば、まさに彼らでしょう。

そのため、私はこの噂に少なくとも一定の真実が含まれていると考えるようになりました。ただし、この件の最終的な結末についての見解を変えるつもりはありません。

フォーチュン誌の記事の冒頭では、米国のCHIPS法(半導体産業支援法)について触れられ、バイデン政権下で事実上失敗に終わったと結論づけています。

「しかし、商務省はこの法律の施行に2年もの時間をかけ、資金の利用可能性を制限し、社会的目標を求め、所有権の選択肢を制限しました。一言で言えば、バイデン政権は失敗したと言えます。」

「社会的目標を求めた」という表現に注目してください。これは一体どの層に向けたものなのでしょうか。

次に挙げられているのは、インテルが先端半導体分野における米国のリーダーとして最有力候補であるべきだという主張です。そして、それに付随する形で、現在の取締役会に対する厳しい批判も含まれています。

「その一方で、適切な条件が整えば、米国を先端半導体製造のリーダーにするという目標を達成できる唯一の企業はインテルです。しかし、同社は低迷を続けています。昨年11月にはCEOが解任されましたが、取締役会には後任計画がなく、短期的な株主利益を維持するために財務戦略に依存する状況に陥っています。」

もし確認が必要だったとすれば、これは元CEOのパット・ゲルシンガー氏が自ら退任を決断したのではなく、解任されたという事実を裏付けるものだと言えます。

その後の記事では、インテルに何が起こったのかが説明されていますが、「過去5年間」に焦点を当てることで、自分たちには責任がないと強調しようとしているようです。

「過去5年間だけを見ても、製造分野ではTSMC、チップ設計分野ではエヌビディアNVDAやAMD(AMD)などの競争相手が台頭し、インテルは両市場においてその地位を失いました。」

ここだけの話ですが、インテルの問題は過去5年どころか、もっと以前にさかのぼります。いずれにせよ、彼らはその段落を、「インテルの未来は米国の国益にとって極めて重要であり、短期的な取引を優先する者たちの手に委ねるべきではない」という主張で締めくくっています。

「しかし、インテルはその規模と根本的な技術力を考えれば、依然として非常に重要な企業です。同社の失敗は、人工知能の進展を含むあらゆるコンピューティング分野において、米国の長期的な国益を危険にさらす可能性があります。インテルの設計および製造事業の行方は、短期的な取引を優先する者たちに委ねるにはあまりにも重要な問題です。」

インテルのAI関連事業が悲惨な状況にあることを考えると、同社が米国のAI分野の旗手となるべきだとは到底思えませんし、そうなるべきでもないと考えます。しかし、短期的な思考が問題であるという主張には同意します。この点について、著者たちは具体的に誰を念頭に置いているのでしょうか。

そして次に、トランプ氏の圧力によるTSMCの関与についての話が続きます。

「トランプ政権は、バイデン政権が失敗した分野で成功できるのでしょうか?公開されている報道によると、トランプ氏はTSMCに対し、インテルの工場を引き継ぎ、運営するよう圧力をかけているとされています。」

…そして、インテルの製造能力の概要についての説明が続きます。

「インテルの製造能力は、研究、製造、組み立てを含むグローバルなサプライチェーンによって支えられています。同社は、アリゾナ州、オレゴン州、カリフォルニア州に工場と従業員を抱えているほか、オハイオ州、アイルランド、イスラエルをはじめとする複数の国で工場を建設中です。総帳簿価額は約1,000億ドルにのぼり、世界中を見渡しても、これほど大規模な資産が売却対象となる例はありません。」

彼らは、TSMCが関与する唯一の理由は、米国政府からの圧力によるものであり、その際、台湾の安全保障が交渉の材料として利用される可能性があると指摘しています。

「TSMCがこの巨大で重荷とも言えるネットワークを買収する理由は何でしょうか?おそらく、米国政府からの圧力があった場合に限られるでしょう。もしかすると、米国の防衛能力を担保に台湾の安全を交渉材料として利用する可能性も考えられます。」

彼らの主張の最後のポイントは、もし何らかの取引が成立した場合、TSMCが最終的にどのような行動を取るのかという点に基づいています。

「たとえTSMCがこの取引に前向きであったとしても、最先端の研究拠点が台湾に残ることはほぼ確実でしょう。その結果として、研究と密接に結びついているTSMCの最先端の製造拠点も、台湾にとどまることになるはずです。時間が経つにつれ、TSMCはインテルの研究・製造部門の従業員の大半を解雇し、工場を閉鎖する可能性が高いと考えられます。」

記事の残りの部分は、昨年10月に彼らが述べた「インテルを設計部門とファウンドリー部門に分割する必要がある」という主張を繰り返している内容となっています。

「正しい解決策は、そしてそれは何年も前から変わらない解決策ですが、米国がインテルに対し、設計部門とファウンドリー部門を分割するよう求めることです。米国政府は、インテルの取締役会に対して製造部門を分離し、それを米国または西側諸国の民間投資家によるコンソーシアムにのみ売却できるよう求めるべきです。」

インテル(INTC)に対する結論

以前の考察でもはっきり述べたとおり、TSMC(TSM)がインテル・ファウンドリーに本格的に関与する可能性については、私はまったく確信を持てていません。前回は「TSMCがこの取引に関心を持たない理由」に焦点を当てましたが、今回のフォーチュン誌における意見記事では「米国がこの道を進むべきでない理由」に重点が置かれています。

率直に言って、彼らの主張にはすべて同意します。ただし、彼ら自身がインテル(INTC)の現状について一切責任を認めていない点には疑問を感じます。彼らは長年にわたりインテルの取締役会の重鎮として、同社の経営に大きな影響を与えてきました。彼らのもとで、インテルの「革新の文化」は衰退し、「傲慢の文化」が台頭しました。また、彼らが承認した3人のCEOはいずれも、インテルが迷走する一因となっています。もはや過去のことではありますが、一応指摘しておきます。

現在の米国政権の意思決定のスピードを考えると、インテルの今後の方向性についても近いうちに決定が下される可能性が高いと考えています。今後どうなるのか温かく見守るとともに、皆様にはレポートの執筆を通じて、常にインテルに関する最新の情報をお届けしていきますのでお見逃しなく!


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エヌビディア(NVDA)


アナリスト紹介:ウィリアム・キーティング

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