もしこれがポーカーのゲームなら、トランプ大統領は2カ月前までロイヤルフラッシュを手にして世界の貿易テーブルに座っていたと言えるでしょう。株式市場は過去最高値を更新し続け、ドルは急速に強さを増し、高頻度経済指標も次々と予想を上回る好結果を示していました。一方で、世界の主要な貿易相手国はといえば、市場の低迷、通貨の下落、経済成長の鈍化に苦しみ、せいぜいフェイスカードを手にしている程度でした。
しかし、トランプ大統領が貿易相手国すべて、友好国であろうと敵対国であろうと、無差別に関税を仕掛けるという拙速な「電撃戦」に踏み切った結果、状況は一変しました。賭け金は引き上げられ、大統領の手札は大きく弱体化しています。世界各国は彼のブラフを見破り、市場は今すぐ「降りるべきだ」と警告を発しているのです。

(出所:Finviz)
今年、米国市場は世界で最も好調だったはずが、一転して低迷し、今や主要市場の中でも最悪の成績を記録しています。一方で、中国の株式市場は20%以上も急騰し、ユーロSTOXX 50は11%上昇、メキシコ市場も10%近く値上がりしています。ドルは急落し、インフレを伴う関税の悪影響を相殺するはずだった購買力が失われつつあります。さらに、中国と欧州は財政刺激策を講じて経済を活性化させようとしているのに対し、米国は緊縮政策を進めています。こうして、わずか数週間のうちに、トランプ大統領の手札はロイヤルフラッシュから「ツーペア」へと一気に悪化し、今や最も信頼すべき同盟国ですら彼のブラフを見抜いているのです。
こうした状況を受け、ついにトランプ大統領は、自身の貿易政策が行き過ぎていることを間接的に認める初めての一手を打ちました。それは、カナダとメキシコからの自動車輸入に対する関税を1カ月延期するという決定です。この措置は、皮肉にも、本来関税によって保護されるはずの米国の大手自動車メーカーの要請によるものでした。この発表を受けて、株式市場は急反発しました。テクニカル的にも反発のタイミングではありましたが、市場はこれを「今後さらなる関税撤回が続くかもしれない」という期待の兆しと受け取ったのです。
カナダのジャスティン・トルドー首相は、米国の方針転換を見越し、正式な発表前に米国側へ「大統領の関税がすべて撤廃されない限り、
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