03/09/2025

【半導体】エヌビディア(NVDA)配当推移:配当利回りは0.04%で配当金は0.01ドル!配当性向1%も配当成長率は10%超え!

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  • 本稿では、注目の米国半導体銘柄であるエヌビディア(NVDA:予想配当利回り0.04%・配当性向1%・1株当たり配当金0.01ドル)の2025年2月26日に発表された最新の2025年度第4四半期(暦年:2024年第4四半期)決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
  • 同社は、カリフォルニア州サンタクララに本社を構える半導体メーカーで、GPU市場をリードし、AIやデータセンター、自動運転分野などで技術革新を推進しています。
  • 2025年度第4四半期決算では、1株当たり利益(EPS)が前年同期比で大幅に成長し、粗利益率も過去10年間で最高水準となる74.99%を記録しました。
  • 同社の配当成長率は高いものの、予想配当利回りは0.04%と低く、成長投資を優先する戦略を取っており、今後も持続的な成長が期待されています。

エヌビディア(NVDA)の概要


セクター:半導体

現在の株価:112ドル

時価総額:2.75兆ドル

過去5年間の配当成長率:11.40%

次回配当落ち日:2025年3月12日

次回配当支払い日:2025年4月2日

予想配当利回り:0.04%

過去5年間の売上高成長率:59.30%

過去10年間の売上高成長率:34.20%


関連用語

売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。


足元の株価推移

(出所:筆者作成)

エヌビディア(NVDA:予想配当利回り0.04・配当性向1%・1株当たり配当金0.01ドル)は、アメリカ・カリフォルニア州サンタクララに本社を構える半導体メーカーで、グラフィックス処理ユニット(GPU)の開発で世界をリードしています。従来はPC向けのゲーム用GPUが主力でしたが、現在では人工知能(AI)、データセンター、自動運転、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)など、多岐にわたる分野で技術革新を推進しています。

同社のユニークな特徴の一つが、AI市場における圧倒的な優位性です。AIモデルの開発やトレーニングに不可欠な「CUDA」プラットフォームを提供し、GPUの計算能力を最大限に活用するエコシステムを構築しています。さらに、データセンター向けのネットワーキングソリューションを拡充し、高度な演算処理の効率化を実現しています。

エヌビディアは、AI・データセンター分野での強みを生かし、持続的な成長を目指す企業です。市場におけるバリュエーションは割高傾向にありますが、長期的な成長ポテンシャルを考慮すると、戦略的な投資対象として魅力的な企業であるようにも見えます。

そして、同社は2025226日に2025年度第4四半期(暦年:2024年第4四半期)決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。


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エヌビディア(NVDA)の最新の2025年度第4四半期決算発表に関して

エヌビディア(NVDA)は、2025226日に発表された最新の2025年度第4四半期決算において、特別項目を除いた1株当たり利益(EPS)を0.89ドルと報告しました。これは前四半期の0.81ドルから増加し、前年同期の0.49ドルから大幅に成長しています。この結果、四半期ごとの利益成長(QoQ)は力強いものとなり、1株当たり売上も1.592ドルと、前四半期の1.416ドルから増加しました。

年間EPS(特別項目除く)の過去5年間および10年間の年平均成長率(CAGR)は、それぞれ74.70%および47.60%となっており、同社の長期的な収益成長が非常に力強いことを示しています。さらに、業界予測では、今後10年間の成長率は年間約8%と見込まれており、セクター全体の明るい見通しを反映しています。

同社の粗利益率は74.99%に達し、これは過去10年間で最高水準となっています。これは、直近5年間の中央値である64.93%を大きく上回っており、同社の業務効率や価格決定力が向上していることを示唆しています。

また、過去1年間の自社株買い比率は0.70%であり、発行済み株式の0.7%が買い戻されたことを意味します。これにより、市場に出回る株式数が減少し、EPSの押し上げに寄与します。なお、過去10年間の自社株買い比率の平均は-1.30%であり、直近の方針とは異なり、市場に出回る株式数が増加したことがうかがえます。

今後の見通しについて、市場のアナリストは2026年1月期の売上を2,033億0748万ドル、2028年1月期の売上を2,928億1176万ドルと予測しています。また、来年度および翌年度のEPS予想は、それぞれ4.345ドルおよび5.602ドルとなっており、今後も利益成長が続く見込みです。

以上より、市場のアナリストは、同社が引き続き業界のトレンドを活かし、成長を維持できると楽観的に見ています。

次回の決算発表は2025年5月22日に予定されており、財務状況や戦略的な取り組みに関するさらなる詳細が明らかになる見込みです。

非経常損益項目を除くベースでのEPS

(年間ベース:直近4四半期の合計値

(出所:筆者作成)


関連用語

EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。

非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。

希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。

1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。

粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。

自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エヌビディア(NVDA)の財務パフォーマンスに関して

エヌビディア(NVDAの財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。

同社の財務パフォーマンスと資本配分の効率性は非常に優れており、ROICがWACCを大幅に上回っていることからも明らかです。現在のROICは176.06%で、WACCの18.34%を大きく上回っています。この大きな差は、同社が経済的な価値を強く生み出し、投資資本を効果的に活用していることを示しています。

過去5年間のROICの中央値は57.00%であり、WACCの中央値である12.98%を依然として大きく上回っています。この一貫した高い収益性は、強力な経営と戦略的な資源配分の結果といえます。また、自己資本利益率(ROE)も123.32%と非常に高く、株主資本を活用して収益を生み出す能力が卓越していることを示しています。

総じて、同社がROICをWACCより大幅に高く維持していることは、資本の効率的な運用、競争力のある市場でのポジショニング、そして株主価値の大幅な創出を意味します。この高いパフォーマンスは、今後も成長と収益性を持続できる可能性を示唆しており、投資先としての魅力を高めていると言えるでしょう。

投下資本利益率(ROIC)加重平均資本コスト(WACC)の比較

(出所:筆者作成)


関連用語

総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。

自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。

投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。

ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。

加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エヌビディア(NVDA)の配当に関して

エヌビディア(NVDA)は近年、力強い配当成長を示しており、過去5年間の成長率は11.40%、直近3年間の1株当たり成長率は28.60%と高水準にあります。直近の四半期では、1株当たり配当が0.01ドルで、前四半期と同水準を維持しました。

一方で、同社の予想配当利回りは0.04%と控えめであり、1.0%という低い配当性向からも分かるように、慎重な配当方針を採っています。セクター平均の配当利回りと比較すると低めですが、これは同社が短期的な株主還元よりも、成長と再投資を優先していることを示しています。

また、同社のEBITDA有利子負債倍率は0.12倍と極めて低く、業界水準を大きく下回っています。この指標は、同社の財務健全性が極めて高く、負債返済能力が優れていることを表しています。

一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2倍以下であれば財務リスクが低く、4倍以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。

さらに、今後3〜5年の配当成長率は10.07%と予測されており、近年の高成長と比べるとやや緩やかになる可能性がありますが、それでも安定した増配が見込まれます。次回の権利落ち日は、四半期配当のスケジュールに基づくと2025年3月12日となる見込みであり、株主はこのスケジュールを考慮して投資計画を立てることができます。

総じて、同社の財務の安定性と低いレバレッジは、持続的な配当成長の基盤を支える要素となっています。予想配当利回りはセクター平均と比べて低いものの、成長投資を優先する戦略が、長期的な企業価値の向上につながる可能性があるでしょう。

予想配当利回り0.04%

配当性向:1%

配当カバレッジ・レシオ:86.41倍

過去5年間の配当成長率: 11.40%

EBITDA有利子負債倍率:0.12倍

DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金

(出所:筆者作成)

Dividend Yield:予想配当利回り

(出所:筆者作成)

Dividend Payout:配当性向

(出所:筆者作成)


関連用語

1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。

配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。

予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。

配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。

EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。

配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。

配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。

配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エヌビディア(NVDA)のバリュエーションに関して

エヌビディア(NVDAの現在の株価は112.69ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である55.78ドルよりも大幅に高い水準にあり、割高である可能性が示唆されています。

一方で、予想PERは25.0倍で、過去10年間の中央値である52.32倍を下回っており、やや慎重な評価がなされていることがうかがえます。しかし、直近12カ月(TTM)ベースの実績PERは38.36倍で、過去の最高値ほどではないものの、過去10年の最低水準の16.74倍と比較すると依然として高い評価を受けています。

また、直近12カ月(TTM)ベースのEV/EBITDA倍率は30.94倍で、過去10年の中央値41.81倍を下回っていますが、全体としては依然として高い評価水準にあります。さらに、直近12カ月(TTM)ベースの株価売上高倍率(PSR)は21.41倍で、過去10年の中央値の14.86倍を大幅に上回っており、売上高に対して割高な評価を受けていることを示唆しています。

加えて、直近12カ月(TTM)ベースの株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は45.88倍で、過去10年の中央値の53.34倍よりは低いものの、依然として過去の最低水準と比べると高い水準です。そして、株価純資産倍率(PBR)は34.78倍と、過去10年の中央値のほぼ2倍に達しており、純資産価値と比較しても割高であることが分かります。

しかし、市場のアナリストの評価は安定しており、目標株価のばらつきは比較的小さいものの、現在の目標株価の平均値は172.57ドルとなっています。これは、同社の将来的な成長とバリュエーション回復を見込んだものと考えられます。

以上より、業界全体が同社の成長性に対して楽観的な見方を持っていますが、現在のバリュエーション指標は過去の基準と大きく乖離しており、今後の業績が現状の市場期待を大きく上回らない限り、割高な水準が続く可能性があるでしょう。

(出所:筆者作成)


上記グラフにおける関連用語

Price:現在の株価

Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値

DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価

DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価

Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価

Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価

赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値


関連用語

安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。

実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。

PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。

株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。

株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。

EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。

PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。

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エヌビディア(NVDA)のリスクとリターンに関して

エヌビディア(NVDAのリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。

同社は、財務面での健全性と業務効率の高さを示す複数のポジティブな指標を持っています。ピオトロスキーのFスコアは8となっており、同社の財務状況が強固であり、経営が優れていることを示唆しています。

また、ベン・グレアムが推奨する基準を大幅に上回る利息負担能力を持っており、債務の管理能力にも優れています。加えて、営業利益率(Operating Margin)の拡大が進んでおり、これはコスト管理の適切さと強固な売上成長を反映しています。さらに、アルトマンのZスコアは55.34と非常に高く、破綻リスクが極めて低いことを示しています。

一方で、投資家が注意すべきリスク要因も存在します。最近のインサイダーによる同社株式の売却が見られる一方で、インサイダーによる買い増しは確認されていません。これは、短期的な株価パフォーマンスに対する経営陣の自信の欠如を示唆している可能性があります。

また、ベニッシュのMスコアは-0.99であり、これは同社の利益が操作されている可能性を示す懸念材料となっています。さらに、スローン比率(Sloan Ratio)が示すように、利益の多くがキャッシュフローではなく発生主義会計(Accruals)に依存している点も慎重に分析すべき要素です。

以上より、これらの懸念点があるものの、同社は強固なファンダメンタルズと戦略的成長見通しを持っており、慎重なアプローチを前提とすれば魅力的な投資対象であると考えられます。


関連用語

財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。

アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。

ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。

ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。

インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、2倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の2倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。

ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。

各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。

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エヌビディア(NVDA)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して

エヌビディア(NVDA)の過去1年間のインサイダー取引を分析すると、取締役や経営陣による売却の傾向が顕著であることが分かります。直近3カ月間では、インサイダーによる売却が4件発生し、購入はありませんでした。さらに、6カ月間では売却が15件、過去1年間では合計63件の売却が行われており、一貫して買い増しが行われていない状況です。この継続的な売却の動きは、インサイダーが株価のパフォーマンスを活かして利益を確定している可能性を示唆しますが、必ずしも企業の将来に対する悲観的な見方を意味するものではありません。

一方で、インサイダーによる同社株式の保有比率はわずか0.39%と低水準であり、経営陣による直接的な財務的関与が限定的であることを示しています。これにより利益相反の懸念は軽減される一方で、経営陣が株式市場でのリスクを共有していない可能性もあります。しかし、プロの機関投資家の保有美率は64.76%と高く、大手投資家がエヌビディアの長期的な成長性に強い信頼を寄せていることを示しています。このように、インサイダーと機関投資家の動向には明確な違いが見られ、市場のセンチメントを読み解く上で注意深い分析が求められます。

インサイダー(内部関係者)による売買

(出所:筆者作成)


関連用語

インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。

機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。


エヌビディア(NVDA)の流動性に関して

エヌビディア(NVDA)は高い流動性と活発な取引が特徴であり、最近の取引量からもその強さが確認できます。直近の1日当たりの取引量は約3億3,979万株で、過去2カ月の平均取引量である2億8,546万株を上回っています。これは、市場における関心の高まりと積極的な取引が行われていることを示しています。

また、同社のダークプール指数(DPI)は45.19%であり、取引の大部分がダークプール(プロの機関投資家が市場への影響を抑えて大口取引を行うための非公開市場)で実施されていることを示唆しています。このDPIの水準は、機関投資家と個人投資家のバランスが取れており、市場の安定性が維持されていることを意味します。

現在の取引量とDPIの状況から、同社は市場で強い存在感を持ち、高い流動性を確保していることが分かります。これにより、大口投資家と小口投資家の双方にとって、比較的スムーズな売買が可能となり、大規模な取引による価格変動リスクが軽減されます。そのため、同社は多様な市場参加者の活発な取引に支えられた、取引環境の良い銘柄として考えられます。


関連用語

ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。

ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。


加えて、直近では、インベストリンゴの半導体セクター担当アナリストであるウィリアム・ キーティング氏が、同社に関する下記のより詳細なレポートを執筆しております。

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