【高配当】エクソン・モービル(XOM)の配当推移と将来性:配当利回り3.81%・配当性向49%・配当金0.99ドル
- 本稿では、注目の米国上場高配当株であるエクソン・モービル(XOM:予想配当利回り3.81%・配当性向49%・1株当たり配当金0.99ドル)の2025年1月31日に発表された最新の2024年度第4四半期決算と配当推移の分析を通じて、今後の株価見通しと将来性を詳しく解説していきます。
- 同社は、世界最大級の統合型エネルギー企業で、原油・天然ガスの探鉱から販売まで幅広い事業を展開しています。
- 最新の2024年度第4四半期決算では、EPSが減少し、1株当たり売上高も減少しましたが、石油・ガスセクターは今後年平均約3%の成長が見込まれています。
- エクソン・モービルは、財務基盤が堅固で、過去5年間のROICは8.75%で、WACCを上回る水準を維持している一方で、配当成長率は安定しており、今後も増配の可能性があるように見えます。
エクソン・モービル(XOM)の概要
セクター:石油・ガス
現在の株価:104ドル
時価総額:4,527.5億ドル
過去5年間の配当成長率:2.20%
前回配当落ち日:2025年2月12日
次回配当支払い日:2025年3月10日
予想配当利回り:3.81%
過去5年間の売上高成長率:11.50%
過去10年間の売上高成長率:2.40%
関連用語
売上高成長率:企業の売上高が前年と比べてどれだけ増加したかを示す割合で、企業の成長スピードや市場での競争力を評価するための指標。一般的にプラス成長が望ましく、高いほど企業の成長力が強いと言える。
足元の株価推移
(出所:筆者作成)
エクソン・モービル(XOM:予想配当利回り3.81%・配当性向49%・1株当たり配当金0.99ドル)は、米国テキサス州アーヴィングに本社を置く世界最大級の統合型エネルギー企業です。
原油・天然ガスの探鉱、生産、輸送、精製、販売に至るまで幅広い事業を展開しており、加えて化学製品の製造にも強みを持ちます。
同社は1日あたり約2.4百万バレルの液体燃料と77億立方フィートの天然ガスを生産し、世界最大級の精製能力(450万バレル/日)を有しています。
ユニークな特徴として、エネルギーサプライチェーン全体を垂直統合しており、上流から下流までの安定した収益構造を構築しています。
配当面では、四半期配当を0.99ドルまで増配し、予想配当利回りは3.81%と、セクター平均を上回る水準です。
配当性向は49.0%と余裕があり、今後の増配余地も残されています。
そのため、長期的な安定配当と財務健全性を背景に、エクソン・モービルは配当株としても高い魅力を持つ企業です。
そして、同社は2025年1月31日に2024年第4四半期決算を発表しており、本稿では同社の最新の決算と財務パフォーマンス、並びに配当推移を詳しく分析していきます。
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エクソン・モービル(XOM)の最新の2024年度第4四半期決算発表に関して
エクソン・モービル(XOM)は、2025年2月13日に発表された最新の2024年度第4四半期決算において、一時的要因を除いたEPS(特別項目除外後1株当たり利益)を1.67ドルと報告しました。これは、前四半期の1.92ドルおよび前年同期の2.48ドルからの減少となります。希薄化後EPSも、2024年第3四半期の1.92ドルから1.72ドルへと減少しましたが、2023年第4四半期の1.91ドルからはわずかに増加しています。また、1株当たり売上高も前四半期の19.68ドルから18.37ドルへと減少しました。
一方で、業界予測によれば、石油・ガスセクターは今後10年間で年平均約3%の成長が見込まれています。
ただし、同社の2024年第4四半期の粗利益率は22.62%であり、これは過去5年間の中央値である23.45%をわずかに下回る水準です。粗利益率は過去10年間で大きく変動しており、最高値は25.85%、最低値は4.55%でした。
さらに、直近1年間の自社株買い比率は-9.60%となっており、これは通常の自社株買いとは逆に、発行済株式数が増加したことを示しています。過去10年間の平均自社株買い比率は0.10%であり、同社の自社株買い活動は控えめなものであったことがうかがえます。
今後の見通しとして、市場のアナリストは同社の2025年度のEPSを7.48ドル、2026年度を8.98ドルと予想しています。売上高については緩やかな成長が見込まれており、2025年末には3,336億ドル、2026年には3,449億ドルに達するとの予測です。
これらの予測は、原油価格や市場環境の変動が続く中での慎重ながらも前向きな見通しを反映しており、戦略的投資やコスト管理の取り組みによる上振れの可能性も期待されています。
そして、次回の決算発表は2025年4月25日に予定されています。
非経常損益項目を除くベースでのEPS
(年間ベース:直近4四半期の合計値)
(出所:筆者作成)
関連用語
EPS(Earnings Per Share、1株当たり利益):企業が一定期間内に得た純利益を、その期間中に発行されている株式の総数で割った値のこと。EPSは、株主が1株あたりどれだけの利益を得たかを示す指標であり、企業の収益力を評価する際によく用いられ、EPSが高いほど、一般的にはその企業が効率的に利益を上げていると判断される。
非経常損益項目を除くベースでのEPS(EPS without NRI):非経常的な収益や費用(例: 一時的な訴訟費用や災害損失)を除いた後の1株当たりの利益(EPS)。これにより、通常の業績をより正確に反映することが可能。
希薄化後EPS:既存株主にとって、潜在的に新しい株式が発行された場合(例: ストックオプションや転換社債の行使)に、1株あたりの利益(EPS)がどの程度薄まるかを考慮したもの。
1株当たり売上高:企業の総売上高を発行済株式数で割った値で、1株あたりが生み出す売上を示しており、企業の売上規模と株式の価値を評価するのに役立つ。
粗利益率:売上高に対する粗利益の割合を示す指標。企業が商品やサービスを販売した際に、売上から直接かかったコスト(売上原価)を差し引いて得られる利益の割合を計算する。粗利益率が高いほど、企業が商品やサービスから得られる利益が大きいことを意味する。
自社株買い比率:企業が自社の発行済み株式を買い戻した割合を示す指標。この比率は、過去の一定期間において企業がどれだけ自社株を買い戻したかを示しており、通常は1年間の比率として表される。具体的には、買い戻された株式数をその期間の発行済株式総数で割ることで計算される。高い比率は、企業が積極的に自社株を買い戻し、EPS(1株当たり利益)を押し上げる可能性があることを示唆している。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)の財務パフォーマンスに関して
エクソン・モービル(XOM)の財務パフォーマンスを、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の観点から分析していきます。
同社は、WACCを上回るROICを継続的に達成しており、強力な経済的価値創出能力を示しています。過去5年間の同社のROICの中央値は8.75%であるのに対し、WACCは7.66%となっています。このプラスのスプレッドは、同社が資本を有効に活用し、株主価値を創出していることを意味しており、投資から得られるリターンが資本コストを上回っていることを示しています。
直近のデータにおいても、ROICは8.46%、WACCは7.45%と、引き続き価値創出の傾向が裏付けられています。ROICがWACCを継続的に上回っているという事実は、同社が資本配分において慎重かつ適切な判断を行ってきたことを示しており、投資プロジェクトが資本コストを上回るリターンを生み出していることを意味します。
さらに、同社の株主資本利益率(ROE)も堅調であり、過去5年間の中央値は14.38%に達しています。これは、自己資本に対して高いリターンを実現していることを示しており、同社の財務効率の高さと価値創出能力をさらに裏付けるものとなっています。
投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の比較
(出所:筆者作成)
関連用語
総資産利益率(ROA: Return on Assets):企業が保有する全ての資産を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を総資産で割ることで算出され、ROAが高いほど、企業が資産を効率的に運用していることを示す。
自己資本利益率(ROE: Return on Equity):企業が株主の出資(自己資本)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算は純利益を自己資本で割ることで算出され、ROEが高いほど、株主にとって効率的な運用が行われていることを示す。
投下資本利益率(ROIC: Return on Invested Capital):企業が投下資本(株主資本+負債)を使ってどれだけの利益を生み出したかを示す指標。計算はNOPAT(税引後営業利益)を投下資本で割ることで算出され、ROICが高いほど、企業が効率的に資本を運用していることを示す。
ジョエル・グリーンブラット氏の資本利益率(ROC: Return on Capital):株主資本と長期負債の合計である資本に対して、どれだけの利益(NOPAT)を生み出しているかを示す指標。ROICと同様に、資本の効率的な運用を評価する。
加重平均資本コスト(WACC: Weighted Average Cost of Capital):企業が資金を調達する際に必要となる平均的なコストを示す指標で、株主資本と負債のコストを加重平均して求める。WACCが低いほど、企業の資本コストが低く、投資がより利益を生む可能性が高くなる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)の配当に関して
エクソンモービル(XOM)は、着実な配当成長を示しており、最近では四半期配当を1株あたり0.99ドルへと増配しました。同社の予想配当利回りは3.81%と、セクターの中央値をやや上回っており、株主への価値還元に対する強い姿勢がうかがえます。過去5年間の配当成長率は2.20%であり、直近3年間では3.20%と、安定した改善傾向を示しています。
また、同社の財務健全性は、EBITDA有利子負債倍率が0.57と非常に低い点からも明らかであり、業界基準では2.0未満が低リスクとされる中で、同社の債務返済能力の高さが際立っています。一般的には、EBITDA有利子負債倍率は2以下であれば財務リスクが低く、4以上であれば財務リスクが高いことを示すとされています。
配当性向も49.0%と、過去10年間の最高値や中央値を大きく下回っており、今後の増配余地が十分にあること、そして持続可能な配当政策が採られていることを示しています。
将来に向けては、市場のアナリストは今後3~5年間の配当成長率を4.19%と予測しており、エクソンモービルが今後も配当の維持・増加に注力する戦略と整合しています。
また、次回の権利落ち日は2025年2月12日に予定されています。
このように、安定した配当成長と慎重な財務運営によって、同社はエネルギーセクター内でも有利な立ち位置にあり、市場の変動によって配当の安定性が脅かされやすい業界において、信頼性の高い存在となっているように見えます。
予想配当利回り:3.81%
配当性向:49%
配当カバレッジ・レシオ:2.04倍
過去5年間の配当成長率: 2.20%
EBITDA有利子負債倍率:0.57倍
DPS(Dividend Per Share):1株当たりの配当金
(出所:筆者作成)
Dividend Yield:予想配当利回り
(出所:筆者作成)
Dividend Payout:配当性向
(出所:筆者作成)
関連用語
1株当たりの配当金:企業が株主に支払う配当金を、発行されている株式の総数で割った値。これにより、株主が保有する1株あたりに受け取ることができる配当金の金額が示される。
配当成長率:企業が過去数年間にどれだけ配当金を増加させたかを示す割合。配当成長率が高いほど、企業が株主に対して利益を還元する意欲が強いことを示す。
予想配当利回り:企業が次年度に支払うと予想される配当金を現在の株価で割った割合。投資家にとって、どれだけのリターンを配当として受け取ることができるかの見込みを示す。
配当性向:企業の純利益に対して、どれだけの割合を配当金として支払っているかを示す指標。計算は、配当金を純利益で割って算出され、配当性向が高すぎると、企業の成長投資に使える資金が減少する可能性がある。
EBITDA有利子負債倍率:EBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)に対する有利子負債の割合を示す。企業の有利子負債が利益によってどれだけカバーできるかを示す指標で、低いほど財務的な健全性が高いとされている。
配当カバレッジ・レシオ:企業の利益が、支払われる配当金をどれだけ上回っているかを示す指標。計算は、利益(通常は純利益かEBITDA)を配当金で割ることで算出され、配当カバレッジ・レシオが高いほど、配当が持続可能であると考えられている。
配当王:50年以上にわたり連続して配当を増やし続けている企業。これに該当する企業は、長期間にわたり安定した利益成長と配当支払いを維持していることを示している。
配当貴族:25年以上連続して配当を増やしている企業。これも安定した配当成長を実現している企業に与えられる称号。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)のバリュエーションに関して
エクソン・モービル(XOM)の現在の株価は104.34ドルで、弊社算出の一株当たり本質的価値である97.38ドルよりも高い水準にあり、安全余裕率(マージン)が-7.15%となっていることから、割高である可能性が示唆されています。
一方で、直近12か月(TTM)ベースの実績PERは13.31で、過去10年間の中央値である16.21を下回っており、過去と比較して相対的に割安な評価となっています。一方で、予想PERは14.3となっており、今後の収益成長への期待が織り込まれており、慎重ながらも楽観的な見方と整合しています。
また、TTMの実績PBRは1.72であり、10年中央値の1.91を下回っていることから、資産価値に対する評価は好意的であるといえます。さらに、TTMのEV/EBITDA倍率は7.00で、こちらも10年中央値である7.88をわずかに下回っており、利払前・税引前・減価償却前利益に対する企業価値の面でも妥当な水準と考えられます。
加えて、TTMの株価フリーキャッシュフロー倍率(P/FCF)は14.48で、過去10年中央値の22.56を大きく下回っており、キャッシュフロー創出能力の観点からは割安と評価される可能性があります。
一方で、TTMの株価売上高倍率(PSR)は1.38と、10年中央値の1.24をやや上回っているものの、警戒すべき水準ではなく、時価総額に対する売上高は安定していると見られます。
市場のアナリストの見通しは慎重ながらも前向きで、目標株価の平均値は128.34ドルとされており、現在の株価からの上昇余地があると考えられています。このようなポジティブな見通しと堅調なキャッシュフローメトリクスを踏まえると、市場がエクソンモービルの価値を過小評価している可能性もあります。
ただし、安全余裕率がマイナスであることから、投資家は慎重な姿勢を保ち、経済全体の見通しや石油・ガス業界特有のリスクを十分に考慮する必要があるでしょう。
(出所:筆者作成)
上記グラフにおける関連用語
Price:現在の株価
Yiazou Value:弊社算出の一株当たり本質的価値
DCF (FCF Based):フリーキャッシュフローに基づくDCF法を用いて算出した理論株価
DCF (Earnings Based):収益に基づくDCF法を用いて算出した理論株価
Median P/S:株価売上高倍率の中央値ベースの理論株価
Perter Lynch:ピーター・リンチ氏のバリュエーション計算方法に基づく理論株価
赤線:上記の各バリュエーション手法により算出された理論株価の平均値
関連用語
安全マージン(Margin of Safety):株式の本質的価値(本来の価値)とその市場価格との間にある差のこと。投資家はこの差を利用して、予想が外れた場合や市場の変動によるリスクを軽減するための「安全な余裕(マージン)」を確保する。例えば、本質的価値が100円の株が市場で80円で取引されている場合、その20円の差が安全マージンとなる。この差が大きいほど、投資のリスクが低くなるとされている。
実績PER(Price Earnings Ratio):過去1年間の実績ベースの1株当たり利益(EPS)に対する現在の株価の倍率。企業が過去にどれだけの利益を上げたかに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
予想PER(Forward PER):予想される1株当たり利益(来年度のEPS予想)に対する現在の株価の倍率。将来の利益見込みに基づいて、株価が割安か割高かを評価する指標。
PEGレシオ(Price/Earnings to Growth Ratio):PERを企業の利益成長率で割った指標。成長率を考慮した株価の割安・割高を判断するために使われ、一般的に1以下が割安とされる。
株価売上高倍率(Price to Sales Ratio, PSR):企業の売上高に対する現在の株価の倍率。売上高に対して株価がどれだけの価値を持つかを示す指標で、低いほど割安とされる。
株価フリー・キャッシュフロー倍率(Price to Free Cash Flow Ratio, P/FCF):企業がフリー・キャッシュフロー(営業キャッシュフローから資本的支出を差し引いた金額)に対する現在の株価の倍率。企業のキャッシュフロー創出能力に対して株価が割安か割高かを判断する。
EV/EBITDA倍率(Enterprise Value to EBITDA Ratio):企業価値(EV:株式時価総額+負債−現金)をEBITDA(税引前利益、利払い、減価償却前の利益)で割った指標。企業全体の価値に対する収益力を評価するために用いられる。
PBR(Price to Book Ratio, 株価純資産倍率):企業の純資産(簿価)に対する現在の株価の倍率。株主資本に対して株価がどれだけの価値を持つかを示し、1倍以下だと市場での評価が純資産を下回っているとされる。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
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エクソン・モービル(XOM)のリスクとリターンに関して
エクソン・モービル(XOM)のリスク・リターン評価分析では、投資家が投資決定を下す前に考慮すべきいくつかのポイントを取り上げたいと思います。
まず、同社は、投資家にとってリスクが入り混じったプロファイルを示しています。
注意が必要な点としては、過去3か月間に4,200株のインサイダー売却が行われており、これは社内関係者による将来への懸念を示している可能性があります。また、PERは過去2年間で最高水準に近づいており、収益力に対して株価が割高である可能性を示唆しています。さらに、過去1年間で1株当たり売上高が減少していることからも、同社の成長見通しに対する懸念が強まっています。
加えて、現在の株価は過去10年間での高値に近づいており、PSRも過去5年間での高水準に達していることから、今後の株価上昇余地が限られている可能性も考えられます。
一方で、同社は強固な財務基盤を有しており、ポジティブな側面も多く見受けられます。ベニッシュのMスコアおよびアルトマンのZスコアのいずれも、財務操作リスクの低さと財務的安定性の高さを示しています。また、PBRは過去3年間での最低水準に近づいており、簿価に対する割安感があることを示しています。そのため、同社のバランスシートは堅固であり、市場の下振れリスクに対する十分な耐性を備えています。
以上より、こうしたプラスの指標と懸念材料の双方を慎重に比較検討し、市場環境やご自身のリスク許容度を考慮したうえで、投資判断を下すことが重要でしょう。
関連用語
財務レバレッジ:企業が負債をどれだけ活用して資産を増やしているかを示す指標。高い財務レバレッジはリスクを伴うが、うまく活用すればリターンが増加する可能性もある。 目安は業界によって異なるが、一般的には2~3倍が理想とされ、高すぎると財務リスクが高まるとされている。
アルトマンのZスコア:企業の財務健全性を評価するための指標で、特に倒産リスクを予測するのに用いられる。複数の財務指標を組み合わせて計算され、Zスコアが低いほど倒産リスクが高いとされる。目安としては、3.0以上は安全、1.8未満は倒産リスクが高いとされている。
ベネッシュのMスコア:企業が財務報告において不正行為や収益の過大計上を行っている可能性を評価する指標。スコアが高いと、財務操作のリスクが高いとされ、-2.22以下で不正の可能性が低いとされている。
ピオトロスキーのFスコア:企業の財務健全性や成長性を評価するための指標で、9つの財務指標に基づいてスコアが付けられる。スコアが高いほど、財務状況が健全であると評価される。目安としては、7〜9は財務状況が非常に健全、4〜6は平均的、0〜3は財務上の懸念がある可能性が高いとされている。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(利息カバレッジ比率):企業が稼いだ利益(通常は営業利益)が、支払わなければならない利息に対してどれだけ余裕があるかを示す指標。計算式は、営業利益 ÷ 利息費用。目安としては、3倍以上が望ましいとされ、これは企業が利息の3倍以上の利益を稼いでいることを意味し、財務的な余裕があると評価される。逆に、1倍以下だと、利息の支払いが困難になる可能性があり、財務リスクが高まる。
ベンジャミン・グレアム:現代のバリュー投資の父と呼ばれる著名な投資家であり、経済学者。「証券分析」や「賢明なる投資家」などの著書を通じて、企業の本質的価値に基づいて株を割安に買うというバリュー投資の概念を広めた人物。彼の投資哲学は、リスクを抑えつつ堅実なリターンを得ることを目指し、多くの投資家に影響を与えている。
各指標のより詳細な解説は、下記のコラムをご覧ください。
関連コラム
エクソン・モービル(XOM)のインサイダー(内部関係者)による売買に関して
エクソンモービル(XOM)の過去1年間におけるインサイダー取引の動向を分析すると、取締役や経営陣の間に慎重な姿勢が見受けられます。過去3か月および6か月の間に、インサイダーによる買いは記録されておらず、いずれの期間においても売却が2件ずつ行われました。この売却傾向は過去12か月にも継続しており、合計で売却が3件、購入がわずか1件という結果になっています。これは、企業の内情を最もよく知る人物たちが、短期的な株価上昇に対する自信をあまり持っていない可能性を示唆しています。
しかしながら、インサイダーによる同社株式の保有比率は0.80%と控えめであり、経営陣や取締役が自社株をあまり保有していないことがわかります。これは、彼らの意思決定やリスク選好に影響を与える可能性があります。
一方で、プロの機関投資家の保有比率は65.34%と非常に高く、大口投資家がエクソン・モービルの将来性に強い関心と信頼を寄せていることがうかがえます。
総合的に見ると、インサイダーの取引動向と保有構成からは慎重な見方が読み取れる一方で、プロの機関投資家はエクソン・モービルの長期的な価値に対して信頼を持っているように見えます。
インサイダー(内部関係者)による売買
(出所:筆者作成)
関連用語
インサイダーによる自社株式の保有比率:企業の経営陣や役員、主要株主(一般的に10%以上の株式を保有する人)が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。インサイダーが多くの株式を保有している場合、彼らが企業の将来に自信を持っていると見なされることが多い。
機関投資家による株式の保有比率:投資ファンドや保険会社、年金基金などのプロの機関投資家が、その企業の株式をどれだけ保有しているかを示す割合。機関投資家の保有比率が高いと、その企業が市場で信頼されていると判断されることがある。
エクソン・モービル(XOM)の流動性に関して
エクソンモービル(XOM)は、直近営業日の取引量が30,797,439株に達しており、非常に強固な流動性を示しています。この数字は、過去2か月間の平均取引量である16,477,029株を大きく上回っており、投資家の関心が高まっていること、そして堅調な流動性が確保されていることを意味しています。これにより、大口取引であっても株価に与える影響を最小限に抑えて執行することが可能です。
また、同社のダークプール指数(DPI)は45.71%となっており、全取引のおよそ半数がダークプールで行われていることを示しています。この割合は、取引の多くが取引所外で実施されていることを意味し、機関投資家などの大口投資家が、公開市場での価格に与える影響を抑えながら積極的に取引している可能性があります。
総じて、同社の現在の取引指標は、伝統的な取引所と非公開市場の両方において取引量が豊富であり、非常に流動性の高い市場環境が整っていることを示しています。このような流動性の高さは、投資家が効率的にポジションを構築・解消するうえで大きな利点となります。
ただし、DPIが高いということは、一部の市場活動が公開注文簿には即座に反映されない可能性があることも意味しており、短期的には需給の見え方に影響を及ぼす可能性がある点にも注意が必要です。
関連用語
※ダーク・プール(私設取引所):株式などの金融商品が公開市場(例えば証券取引所)ではなく、非公開の場で取引されるプラットフォームのこと。ダーク・プールでは取引の内容(注文の価格や数量)が一般に公開されないため、大量の株式を売買する際に市場に与える影響を最小限に抑えることができる。主に機関投資家が利用し、取引の透明性が低い点が特徴。
※ダーク・プール指数(DPI):ダーク・プール(私設取引所)内において、同社株式がどの程度取引されているかを示すものであり、注目すべき指標の1つである。
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